輸送機器業界で再編対象となる可能性のある会社の分析

輸送機器業界の今後の再編の要となる投資ファンドが保有している会社についてロングリストを作成しています。自動車、自動車部品、鉄道部品、航空機部品、ヘリコプター運行といった分野で、投資ファンドによるエグジットの動きが予想されます。
なお、本記事の作成日以降にM&Aによって下記会社が買収されている可能性もありますことを予めご了承下さい。

自動車OEM分野で今後エグジットが予想される会社

Aston Martin Lagonda Global Holdings(アストンマーティン・ラゴンダ・グローバル・ホールディングス)
1913年に設立された英国に本拠を置く高級乗用車メーカーです。ジェームズ・ボンド主演の映画007シリーズを飾る乗用車としても有名です。フォード傘下や他英国のスポーツモーター会社傘下を経て、インベストインダストリアルが2012年に約37.5%出資しました。投資実行時点での売上高は700百万ユーロとなります。DB11シリーズの成功もあり、2018年にロンドン証券取引所に上場を果たしました。2020年2月時点での持ち分は約28%となっております。

Morgan Motor(モーガンモーター)
1909年に創業された英国に本拠を置くクラシックカーメーカーです。モーガンブランドの車を製造販売しています。インベストインダストリアルが2019年に出資しています。出資時点の売上高は40百万ユーロです。

自動車部品やアフターマーケット分野で今後エグジットが予想される会社

ラジエーターキャップ

Stant Corporation(スタントコーポレーション)
自動車部品メーカーです。ラジエーターキャップ、コントロールバルブ、オイルキャップなどを手掛けています。メキシコ、フランス、日本、中国、韓国で展開しています。HIGキャピタルが2008年6月 に買収をしました。

シリンダーヘッド

Weber Automotive(ウェーバーオートモーティブ)
1969年にAlbert Weberによって設立されました。乗用車、大型トラック、パワースポーツ車両用のエンジンブロックやシリンダーヘッドなどのドライブコンポーネントを製造しています。現在、ドイツ、ハンガリー、米国の6つの生産拠点で、1,300人の従業員を雇用しています。アーディアンが買収しました。

インテリア

Motus
北米に本拠を置く、自動車用ヘッドライナー(自動車天井材)と、ドアおよびコンソールアームレスト、インストルメントパネルトリム、インテリアハンドルメーカーです。アトラスホールディングスが買収しました。

ターボチャージャー

Garrett Motion(ギャレット・モーション)は、米国に本拠をおくターボチャージャーやエレクトリックブースティングの専業メーカーです。1999年にハネウェル(Honeywell)がAlliedSignal(アライドシグナル)より買収しましたが、2019年にGarrett Motion(ギャレット・モーション)として分社化されました。2020年にチャプター11を申請し、KPS Capital Partners(KPSキャピタルパートナーズ)が約21億ドルで買収しました。

車体やシャシー

Autokiniton Global Group (AGG)
車体プレス部品、フレーム、シャシー大手のTower Internationalや金属加工大手のL&Wを傘下におく自動車部品メーカーです。KPSキャピタルパートナーズが買収しました。

トレーラー車軸

DexKo Global
130年超の社歴を有するトレーラー車軸大手メーカーです。KPSキャピタルパートナーズが2017年に買収して以降周辺事業の追加買収を通じて成長をしています。

インフォテイメント

パイオニア
日本を代表するカーナビなどを手掛ける車載機器メーカーです。2018年にベアリング・プライベート・エクイティ・アジアが約1020億円で買収しました。自動運転やコネクテッド・カーという新しい流れの中で自動車各社ともにインフォテイメント分野を強化し、またカーナビ自体はスマホで代替されつつあり、カーナビというハードウェア単体の売上は減少しています。アルパイのアルプス電気や日立製作所によるクラリオンのフランス大手部品メーカーのフォルシアへの売却もカーナビメーカーの苦境を示しています。

特殊輸送機タイヤ

Carlstar Group(カールスター・グループ)
アメリカン・インダストリアル・パートナーズが2013年に建材大手のCarlisle Company(カーライル・カンパニー)から375百万ドルで買収した米国に本拠を置く特殊タイヤメーカーです。フラットフリー(ノーパンク)タイヤも製造しており、農機、建機、トレーラー(牽引車)、草刈り機、バギー向けに、Black Rock(ブラックロック)、 Carlisle(カーライル)、Cragar、 ITP(バギー向けでは世界シェア1位)、Marastar、Uniqueのブランドで提供しています。直近の売上高は約6億ドルです。2015年にベルト事業をTimken Company(ティムケン・コーポレーション)に売却をしています。

芝刈り機エンジン

Briggs & Stratton Corporation(ブリッグス アンド ストラットン)
1908年に設立された芝刈り機や除雪機向けの汎用ガソリンエンジン、芝刈り機、除雪機、発電機、高圧洗浄機等の製造販売を手掛けるメーカーです。2020年にチャプター11を申請し、KPSキャピタルパートナーズが買収をしました。

自動車部品情報提供

CCC Information Services(CCCインフォメーション・サービス)
1980年に設立され、シカゴに本社を置く、自動車・保険・衝突修理業界向けのソフトウェアとワークフローツールを提供する大手プロバイダーです。 アドベントインターナショナルが2017 年に買収しました。

航空機部品やメンテナンス分野で今後エグジットが予想される会社

Ascent Aerospace(アセント・エアロスペース)
米国に本拠を置く航空機のパーツ関連のメーカーです。アメリカン・インダストリアル・パートナーズが2012年にHampson Industries(ハンプソンインダストリーズ)から買収しました。買収時点での売上高は2億ドルです。軍用機の風防・キャノピーの製造に加え、航空機のパーツ製造におけるオートメーション化(リベット打ち機、ロボット、組み立て装置)等のターンキー設備や金型、治具、固定用及び切断機器を提供しています。

Cobham(コブハム)
1934年に設立された、防衛・商業航空宇宙・宇宙市場にRF、マイクロ波、ミリ波マイクロエレクトロニクス製品を提供している会社です。 Cobham Advanced Electronic Solutions、Cobham Aviation Services、Cobham Communications and Connectivity、Cobham Mission Systemsの4つのセクターを持ちます。 アドベントインターナショナルが2019 年に買収しました。 推定企業価値は 5127 億ドルです。

Revima(レヴィーマ)
1952年に設立された民間航空機機器のメンテナンス、修理、オーバーホールを手掛ける企業です。中距離、長距離の航空機の補助動力装置(APU)と着陸装置のメンテナンスに強みがあります。アーディアンが買収しました。

Rubix(ルービックス)
1920年に設立され、ロンドンに本社を置きます。欧州で航空エンジン等の産業用機器に対してメンテナンス、修理、オーバーホールといったMROサービスを提供しています。アドベントインターナショナルが2016 年に買収しました。 買収時点の推定企業価値は 514 億ドルです。

輸送機小売や流通分野で今後エグジットが予想される会社

農機やフォークリフト卸ディストリビューター

Royal Reesink
オランダに本拠をおくフォークリフト、倉庫物流システム、掘削機、ロードローラー、芝刈り機、トラクターやハーベスターなどの農業機械製品、パイプ、薄板などの鉄鋼部品等の販売会社です。ベネルクス諸国、英国、ドイツ、デンマーク、カナダ、南アフリカ、カザフスタン、トルコで事業を行っています。2019年にTriton Partnersが買収しました。2018年の売上高は約7億ユーロです。

自動車部品卸ディストリビューター

Fortbras Group(フォートブラスグループ)
1992年に設立された、ブラジルのアフターマーケット自動車部品の大手販売代理店です。アドベントインターナショナルが2016 年に買収しました。

中古車オークション

BCA Marketplace (BCAマーケットプレイス)
英国に本拠を置く中古車のオークションサービス提供会社です。オンライン及び会場でのオークションの両輪で事業を展開しています。同システムを通じて、2019年には約1百万台の中古車が成約しました。TDRキャピタルが買収しました。

輸送機器オペレーターで今後エグジットが予想される会社

ヘリコプター運航

NHV Group/エヌエイチブイグループ
ベルギーに本拠をおくヘリコプター運航会社です。 アーディアンが買収しました。

救急車運行

HTG(ヘルス・トランスポーテーション・グループ)
スペインに本拠を置く救急車の運行サービス提供会社です。Investindustrial(インベストインダストリアル)が2010年に出資しました。出資時点の売上高は280百万ユーロです。約3350台の救急車を保有し、9000名の従業員がおります。

クルーズ船運航

Hurtigruten(フッティルーテン)
1893年にノルウェーで創業したクルーズ船運航会社です。元々はノルウェー内での運輸を行う内航海運会社でした。2014年12月に、TDRキャピタルがPeriscopus社とHome Capital社とともに約770百万ドルで共同買収しました。2019年度の同社の売上高は約6億ユーロ、営業利益は約71百万ユーロとなっています。3日から1ヶ月程度のノルウェー近海クルーズを得意とします。

その他の輸送機関連分野で今後エグジットが予想される会社

鉄道車両部品

Dellner Couplers(デルナーカプラー)
1941年にデルナー社としてスウェーデンで創業した鉄道車両部品製造会社です。カプラー(連結器)、ダンパー、ブレーキなどを取り扱っています。2018年の売上高は約19億クローネです。EQTが2019年に買収しました。

クルーズ船インテリア

De Wave Group
イタリアに本拠をおくクルーズ船のインテリア(キャビン、バスルームユニット、ギャレーケータリングシステム等)を提供しています。2019年にプラチナムエクイティがXenon Private Equityから買収をしました。

タンクトレーラー製造

EnTrans International(エントランス・インターナショナル)
2011年にDover Corp(ドーバー・コープ)からの買収したHeil Trailer(ヘイル・トレーラー)と2014年にWexford Capitalからの買収したSERVA Group(サーヴァ・コープ)が経営統合して誕生しました。2017年にはPolar (ポーラー)を吸収合併しています。
同社は、米国に本社を置く石油タンクトレーラーメーカーです。買収した会社のHeil Trailer(ヘイル・トレーラー)、Polar (ポーラー)やJARCO(ジャルコ)というブランドでタンクトレーラーを製造販売しています。メンテナンス用のサービスセンターや、石油タンクトレーラーに必要な備品等をSERVAブランドで提供しています。直近の売上高は約6億ドルです。アメリカン・インダストリアル・パートナーズが買収しました。

トレーラー流通・ディストリビューター

TruckPro(トラックプロ)
大型トラックおよびトレーラー製品の大手ディストリビューターです。プラチナムエクイティが2019年にHarvest Partnersから買収を行いました。

軍事用車両

AM General(AMジェネラル)
大型車両や軍事用車両の製造会社です。ハマー、ハンヴィー等のブランドを展開しています。KPSキャピタルパートナーズが2020年に買収をしました。