ビジネスプロセスアウトソーシング(Business Process Outsourcing、BPO)業界の世界市場シェアの分析

ビジネスプロセスアウトソーシング(Business Process Outsourcing、BPO)業界の世界市場シェアと市場規模について分析をしています。アクセンチュア、キャップジェミニ、TCS(タタ・コンサルタンシー・サービス)、オートマチック・データ・プロセッシングといった世界大手BPO会社の概要や動向も掲載しています。

【BPO業界の定義】

BPOとは企業の特定分野の業務を外部の企業にアウトソースすることをいいます。アウトソースをする業務としてはITや管理系の業務が多く、ITアウトソーシング、人事業務(Human Resource Outsourcing、HRO)、財務・会計業務(Finance and Accouting, FA)、顧客管理(Customer Managemt, CM)、文書管理(Document Management)、保険申請といった多岐の領域にわたります。アクセンチュア、IBM、キャップジェミニといったシステムインテグレーターはグローバルクライアントへのITアウトソーシングを得意としています。

なお、製造業においても、ファブレス企業から製造工程の受託を受けている製造会社(EMSなど)、施設の運営受託(ファシリティマネジメント)、警備サービスの受託も広義ではBPOですが、別ページにてカバーしているため含んでおりません。

【世界シェア】

ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)サービスプロバイダー各社の2022年度の売上高を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、BPO業界の2022年の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はアクセンチュア、2位はキャップジェミニ、3位はTCS(タタ・コンサルタンシー・サービス)となります。

BPO業界の世界市場シェアと業界ランキング(2022年)

順位 企業名(日本語) 市場シェア
1 Accenture(アクセンチュア) 10.51%
2 Cap Gemini(キャップジェミニ) 8.90%
3 Tata Consultancy Services(TCS、タタ) 8.61%
4 Automatic Data Processing(オートマチック・データ・プロセッシング) 6.30%
5 Infosys(インフォシス) 5.60%
6 Wipro(ウィプロ) 3.46%
7 Teleperformance(テレパフォーマンス) 3.11%
8 Cognizant(コグニザント) 2.75%
9 Concentrix(コンセントリクス) 2.41%
10 RICOH(リコー) 1.97%
11 Genpact(ジェンパクト) 1.67%
12 EXL Services(EXL) 0.54%

【市場規模】

当データベースでは、調査会社等の公表データを参考にし、BPO業界の2022年の世界市場規模を2619億ドルとして市場シェアを計算しております。参照にしたデータは以下の通りです。

調査会社のグランドビューリサーチによると、2022年の同業界の市場規模は2619億ドルです。2030年にかけて年平均9.4%での成長を見込みます。

調査会社のリサーチアンドマーケットによると、2022年の同業界の市場規模は2923億ドルです。2030年にかけて年平均6.3%での成長を見込みます。

【M&Aの動向】

・2021年9月、アクセンチュアがクラウドを活用した顧客体験とデジタルコマースのプラットフォームを提供するExperityを買収。

・2015年、キャップジェミニはiGATEを40億ドルで買収した。

・2008年、 Tata Consultancy Services LtdがCitigroup Global Servicesを5.12億ドルで買収した。

・2012年、Infosys LimitedがLodestone Management Consultants AGを3.3億スイスフランで買収した。

【会社の概要】

Automatic Data Processing(オートマチック・データ・プロセッシング)

1949年に設立された米国に本拠を置く給与計算代行大手です。勤怠管理、採用、福利厚生などの人事系サービス全般の提供も行なっています。

Genpact(ジェンパクト)

1997年に設立された北米に本社を置くBPO大手です。元々はGEの間接部門のアウトソース業務を担っていましたが、その後独立して誕生しました。業務プロセス全般のアウトソースを得意としています。日本においても日産や日立の人事・財務会計系のサービス会社を買収しています。

Accenture(アクセンチュア)

Accenture(アクセンチュア)は、2002年に当時の世界4大会計事務所のアーサー・アンダーセンより分社化して誕生した米国を代表するコンサルティング会社です。戦略策定から実行、ITシステム構築、アウトソーシングされたオペレーションの実行まで幅広いサービスを提供しています。デジタル広告分野の急進を受け、デジタルマーケティング戦略強化の一環としてインタラクティブ領域も強化しています。さらに詳しく

IBM

IBMは、1911年に設立された世界を代表する米国に本拠を置くIT会社です。ハードウェア主流のメインフレーム事業からソフトウェア・ITソリューション会社へと変貌を遂げています。シンクパット(ThinkPad)ブランドのパソコン、ハードディスク、プリンター事業等は売却しました。現在は、クラウドサービス、ITサービス、コンサルティング、ソフトウェア、ハードウェア、コグニティブ・コンピューティング(AI事業)に注力をしています。

Tata Consultancy Services(TCS、タタ)

タタは、1868年にペルシャ系ゾロアスター(拝火、インドではパルシーとも言われる)教徒であるジャムシェトジー・タタ氏がムンバイで設立した木綿貿易会社が発祥です。インド西部のムンバイに本社を置きます。インド三大財閥の一角です。規模ではインド最大級で、塩からソフトまでと言われ、鉄鋼、自動車、ホテル、紅茶、ITサービス、時計、宝飾品、電力、通信、化学、食品、小売などに至る多岐分野で事業を展開する財閥です。海外100ヶ国で事業を展開し、約70万人の従業員と1000億ドル超の売上を計上しています。日本企業では、三菱商事、新日鐵住金、日立製作所、スズキ、NTTグループ等と提携をしています。リライアンス、アーディティヤ・ビルラー・グループを擁するビルラグループを含めインド3大財閥と評されます。初代ジャムセトジー・タタ、二代目ドラブジ・タタ、三代目ノウロジ・サクラトヴァラ、四代目JRD・タタに続き、現在は五代目となるラタン・タタ氏がグループの総帥です。さらに詳しく

Wipro(ウィプロ、旧Western India Products Limited)

インド大手ITソリューション会社です。インドの大手ITサービス会社の略称であるSWICH(サティヤム・コンピュータ・サービス、ウィプロ、インフォシス・テクノロジーズ、タタ・コンサルタンシー・サービシズ、コグニザント・テクノロジー・ソリューションズ、HCLテクノロジーズ)の一角です。2021年に英国の同業カプコを14.5億ドルで買収しました。

Cap Gemini(キャップジェミニ)

仏大手ITコンサルティング会社です。ITシステム設計から受託に強みを持ちます。

Infosys(インフォシス)

1981年に設立されたインドのITサービスプロバイダーです。SWICHの一角です。

RICOH

リコーは、1936年に設立された事務機器および光学機器メーカーですが、近年はデジタルサービスの会社としても知られております。

Teleperformance

Teleperformance(テレパフォーマンス)は、フランスに本拠を置くグローバルなデジタルビジネスサービス企業であり、顧客ケアやビジネスプロセスのアウトソーシングを提供しています。世界最大のコールセンターアウトソーシング企業であり、世界各地に拠点を持ち、42万人以上の従業員が在籍しています。

Concentrix

Concentrixは、顧客体験のソリューションとテクノロジーを提供するグローバル企業であり、世界のトップブランドのビジネスパフォーマンスを向上させる役割を果たしています。

Genpact

Genpact(ジェンパクト)は1997年に創業され、元々はGEキャピタルのバックオフィス業務を担当するプロジェクトとして始まりました。現在はニューヨーク証券取引所に上場し、世界中のクライアントにサービスを提供しています。

Cognizant

Cognizantは世界的なプロフェッショナルサービス企業であり、デジタル時代を生き抜く企業のデータイネーブルメントやデータドリブンの実現をサポートしています。

EXL Service

EXL Serviceはグローバルなデータ分析とデジタルソリューションを提供する会社であり、保険、医療、銀行、金融サービス、メディア、小売業など幅広い業界にサービスを提供しています。

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