亜鉛採掘業界の世界市場シェアや市場規模について分析をしております。グレンコア、ヒンズスタン亜鉛、ニルスター、ヴォトランチン、テックといった亜鉛採掘会社の動向も掲載しております。
【亜鉛の特徴】
亜鉛は融点が低く加工しやすいことから鋳造品やイオン化傾向の大きさを利用した腐食防振に用いられます。
用途 | 使用例 |
---|---|
メッキ | 亜鉛メッキをすることで鉄の錆を防ぐことができます |
超合金 | おもちゃなどに使われます |
真ちゅう | 銅との合金です。板や棒状に加工して使われます |
【市場シェア】
亜鉛採掘会社各社の2022年度の採掘量を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2022年の市場シェアを簡易に試算しますと、1位と2位が逆転し、1位にベダンタ・リソーシズ、2位はグレンコア、3位は昨年と同様 ヒンドゥスタン・ジンクとなりました。
2021年2位のニルスターですが、2019年以降採掘量の記載がないため本ランキングより除外いたしました。
亜鉛採掘業界の世界市場シェア(2022)
順位 | 企業名(日本語) | 市場シェア |
---|---|---|
1 | ベダンタ・リソーシズ | 7.80% |
2 | グレンコア | 7.33% |
3 | ヒンドゥスタン・ジンク | 6.26% |
4 | テックリソーシーズ | 5.08% |
5 | 高麗亜鉛 | 4.96% |
6 | ボリデン | 3.71% |
7 | 紫金鉱業 | 3.44% |
8 | インダストリアス・ペネロス | 2.14% |
9 | ボルカン・カンパニア・ミネラ | 1.73% |
10 | 東邦亜鉛 | 0.26% |
11 | コンパニア・デ・ミナス・ブエナベンチュラ | 0.18% |
【市場規模】
当サイトでは、調査会社等の公表データを参考にし、2022年の亜鉛業界の市場規模(採掘量ベース)を12.8百万トンとして市場シェアを計算しております。参照にしたデータは以下の通りです。
マイニング・テクノロジーによると、2022年の亜鉛採掘量はコロナの影響で昨年より1.2%減少し12.8百万トンとなりました。
亜鉛採掘量の減少要因としては、コロナの影響もありますが、カナダ・メキシコでの亜鉛生産施設は設備の故障と操業中断に見舞われ、鉱業生産高全体のさらなる減少へと繋がりました。国際鉛・亜鉛研究グループ(ILZSG)は、2022年に世界の精製亜鉛生産量が2.7%減少すると推定し、この減少により、計算上の亜鉛消費量である数値よりも生産量が下回る結果となりました。
調査会社のレポートリンカーによると、金額ベースの同市場規模は2022年の266億4000万ドルから2023年には295億4000万ドルへ、年平均成長率10.9%で成長するとみられています。2027年には457億8,000万ドル、CAGR11.6%で成長すると予想されています。
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【M&Aの動向】
2015年 ニルスターはGreat Panther Silver Limitedのペルーのコリカンチャ鉱山売却オプションに合意
2016年 テックはAQM Copperの買収に成功
2017年 グレンコアはボルカン・カンパニア・ミネラの議決権付株式の取得を完了
2020年 紫金鉱業がガイアナ・ゴールドフィールズを買収
2022年 高麗亜鉛米国に拠点を置くIgneo Holdings LLCの株式の過半数を3億3200万ドルで買収することに合意
2022年 Newmontがブエナベントゥーラのミネラヤナコチャの43.65%の持分を取得する最終売買契約を締結
2023年 グレンコアは、Norsk Hydro ASAとAlunorte S.A.の株式30%、およびMineracão Rio do Norte S.A.株式45%を取得の合意に至りました。
2023年 ヒンドゥスタン・ジンクによるヴェダンタの海外鉱山買収オファーが破綻
【世界の主要な亜鉛生産会社の一覧】
Teck Resources(テック・リソーシズ)
カナダに本拠を置く非鉄大手です。亜鉛、銅、原料炭等の分野に強みを持ちます。
MMG
豪州に本拠を置く亜鉛大手です。中国の国有鉱山会社のChina Minmetals Corporation(中国五鉱集団公司)傘下にあります。
Korea Zinc(高麗亜鉛)
1974年に設立された韓国に本拠を置く資源大手です。亜鉛に加えて、鉛、金、銀、銅等の鉱物を生産します。上場企業です。
Nyrstar(ニルスター)
スイスに本拠を置く世界的亜鉛生産会社です。豪州のZinifex (現OZ Minerals)とベルギーの化学大手Umicore(ユミコア)の亜鉛事業を統合して誕生しました。ベルギー、オランダ、オーストラリアに精錬所を所有します。2019年に債務のリストラを行い、石油商社のTrafigura(トラフィギュラ)が大株主となりました。
Vedanta Resources(ベダンタ・リソーシズ)
Vedanta Resources(ベダンタ・リソーシズ)は、Anil Agarwal(アニル・アガルワル)氏率いるイギリスに本拠を置く資源開発大手です。1966年に創業されたインドの亜鉛・鉛・銀生産大手であるHindustan Zinc(ヒンズスタン亜鉛)を傘下に所有します。鉄鉱石、鉄鋼、銅、アルミニウム、電力、石油、ガスも生産・開発しています。資源大手アングロアメリカンの大株主でもあります。
Glencore(グレンコア)
グレンコア(Glencore)はスイスに本拠を置く資源商社です。1974年にスイスのトレーダーであるマーク・リッチによって設立されました。2012年にカナダの穀物流通大手バイテラを、2013年には資源メジャーであるエクストラータを買収しています。亜鉛、原料炭、一般炭、銅、コバルト、ニッケルなどの採掘やエネルギー及び穀物トレーディングが事業の柱となっています。トレーディング機能と上流権益の開発機能をあわせもつ資源メジャーとも言えます。2017年1月に穀物トレーディング部門をグレンコア・アグリカルチャーとして分社化し、バイテラへと社名変更しました。さらに詳しく
Votorantim(ヴォトランチン)
ブラジルに本拠を置くブラジルの大手財閥・複合企業グループです。非公開会社です。資源以外にも電力・鉄鋼・セメント等の事業を展開しています。亜鉛開発・生産はNexa Resources(ネクサ・リソーシーズ)社が行っています。
Boliden(ボリデン)
1931年に設立されたスウェーデンに本拠を置く資源大手です。亜鉛、銅、鉛、金、銀等の資源を生産しています。フィンランドのコッコラ(Kokkola)で精錬を行っています。
東邦亜鉛
1937年に設立された日本亜鉛製錬株式会社を源流とする非鉄精錬会社です。亜鉛、鉛、銀の生産に強みを持ちます。精錬に加え、2010年にから豪州の鉱山会社に出資を行い、亜鉛・鉛鉱石の採掘もおこなっています。
紫金鉱業
Zijin Mining Group(ツージンマイニング、紫金鉱業)は中国に本拠を置く産金・鉱山開発大手です。金などの鉱物資源の探査、採掘、精製、販売を手掛けています。金以外には銅、鉛、亜鉛、タングステン、鉄等の採掘を行っています。
Youser Shaanxi Non-ferrous Metals (陕西有色金属)
中国に本拠を置く国有資源会社です。
参照したデータの詳細情報について
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