ロレアルの市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析

ロレアルは、1909年に設立された世界最大級の仏総合化粧品メーカーです。祖業の事業はヘアカラーです。日本のShu Uemuraを始めとして、高級ブランドが手掛ける化粧品や香水事業の買収を通じて成長をしています。仏小売り大手PPR(現ケリング)からイブ・サン・ローラン・ボーテ(YSLボーテ)、ランコム、ラルフローレン、アルマーニ等の香水事業を買収しています。他にブシュロン(Boucheron)、元ビートルズのポールマッカートニーの次女ステラ・マッカートニー(Stella Nina McCartney)等のブランドを有しています。

年次業績推移

2019年度
売上高は前年度比10.90%増の298億7360万ユーロになりました。営業利益は12.71%増の55億4750万ユーロになりました。営業利益率は18.57%になりました。売上高、営業利益ともに前年度比で二桁の伸び率を示し、好調な業績となりました。

2020年度
売上高は前年度比6.30%減の279億9210万ユーロになりました。営業利益は6.10%減の52億900万ユーロになりました。営業利益率は18.61%になりました。新型コロナウイルスの影響により、売上高と営業利益が前年度比でマイナスとなりましたが、営業利益率は高水準を維持しました。

2021年度
売上高は前年度比15.35%増の322億8760万ユーロになりました。営業利益は18.26%増の61億6030万ユーロになりました。営業利益率は19.08%になりました。新型コロナウイルスの影響から回復し、売上高、営業利益ともに大幅な増加を達成しました。

2022年度
売上高は前年度比18.50%増の382億6060万ユーロになりました。営業利益は21.05%増の74億5690万ユーロになりました。営業利益率は19.49%になりました。売上高、営業利益ともに高い伸び率を示し、営業利益率も上昇しました。事業拡大と収益性の向上が同時に実現された年度となりました。

2023年度
売上高は前年度比7.64%増の411億8250万ユーロになりました。営業利益は9.20%増の81億4330万ユーロになりました。営業利益率は19.77%になりました。売上高、営業利益ともに着実な増加を示し、営業利益率も過去最高水準に達しました。安定的な成長と高い収益性を維持しています。

ロレアルの業績推移

ロレアルの業績推移

半期業績推移

2021年第4半期(7ー12月)
売上高は前年同期比6.27%増の307億6800万ユーロになりました。営業利益は31億7220万ユーロ、営業利益率は10.31%になりました。前年同期と比べ、売上高、営業利益ともに増加し、事業の回復傾向が見られます。

2022年第2半期(1ー6月)
売上高は前年同期比20.86%増の183億6630万ユーロになりました。営業利益は37億4550万ユーロ、営業利益率は20.39%になりました。売上高、営業利益ともに大幅な増加を達成し、高い収益性を示しました。

2022年第4半期(7ー12月)
売上高は前年同期比35.34%減の198億9430万ユーロになりました。営業利益は37億1140万ユーロ、営業利益率は18.66%になりました。売上高は前年同期比で大幅に減少しましたが、営業利益率は高水準を維持しました。

2023年第2半期(1ー6月)
売上高は前年同期比12.02%増の205億7410万ユーロになりました。営業利益は42億5880万ユーロ、営業利益率は20.70%になりました。売上高、営業利益ともに増加し、営業利益率も上昇しました。事業の回復と収益性の向上が見られます。

2023年第4半期(7ー12月)
売上高は前年同期比3.59%増の206億840万ユーロになりました。営業利益は38億8450万ユーロ、営業利益率は18.85%になりました。売上高は前年同期比で増加しましたが、営業利益率は若干低下しました。しかし、全体としては安定的な業績を維持しています。

ロレアルの半期業績推移

ロレアルの半期業績推移

EPS・配当額・配当性向の推移

希薄化後EPSは前年度比8.58%増の11.52ユーロになりました。1株当たりの配当は前年度比10.00%増の6.60ユーロになりました。配当性向は57.29%になりました。

ロレアルのEPS・配当額・配当性向の推移

ロレアルのEPS・配当額・配当性向の推移

売上構成

2024年4月(第一四半期)
売上高は112億4,000万ユーロで、実質ベースで9.4%増、報告ベースで8.3%増。北米での新しいITシステムの導入に先立ち、第1四半期の売上高には1億3,000万ユーロのプラスの影響がありました。調整後の実質ベースの成長率は8.1%と堅調です。

売上構成

セグメントは、プロフェショナルプロダクト、コンシューマープロダクト、ロレアルリュクセ、美容皮膚科用に分類されます。セグメント別の売り上げ構成は以下の通りです。

ロレアルの売上構成(2023年度)

ロレアルの売上構成(2023年度)


プロフェショナルプロダクト
主に美容室向けのヘアケアやヘアカラーなどを販売しています。

コンシューマープロダクト
ロレアルやメイベリンニューヨークブランドの化粧品を小売店などで販売しています。

ロレアルリュクセ
製品ごとに販売チャネルを構築しています。ランコム、イヴ・サンローラン、ジョルジオ アルマーニといったコンシューマープロダクトよりも高級ブランドを取り扱っています。

美容皮膚科用
医療に基づいた美容用品を取り扱っています。

M&A情報

ロレアルは、美容業界でグローバルな事業拡大のためにさまざまな企業を買収しています。
また、近年のModiFaceの買収は、美容とテクノロジーを融合させる「ビューティテック」分野への投資を示しています。また、Gjosaの買収は、革新的な技術を取り込む意欲の表れと言えます。

2005年 アメリカのスキンケア企業であるSkinceuticalsを買収
2012年 フランスのスキンケア製品メーカーであるCadumの100%株取得
2015年 ブラジルの化粧品会社であるNiely Cosmeticos groupを買収
2016年 米国のIT Cosmetics(イットコスメティックス)を買収
2016年 ビューティテック企業であるModiFaceを買収
2018年 自然派化粧品のLogocos Naturkosmetik AGを買収
2020年 日本のスキンケアブランドであるタカミを買収
2020年 クラランスよりThierry MuglerSASとLorisAzzaroを買収
2021年 ユース トゥ ザ ピープル(YOUTH TO THE PEOPLE)を買収
2023年 化粧品メーカーのAesopを買収
2023年 デンマークのマイクロバイオーム研究のリーディングカンパニーであるLactobioを買収
2024年 スイスのウォーターフラクショニングの企業であるGjosaを買収

株主構成

創業家が大株主となっています。2位株主は食品大手のネスレです。

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