BHPビリトンの市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析

BHP(ビーエイチピー、BHP)は、世界最大の鉱業会社です。2001年に豪ブロークンヒル・プロプライエタリー・カンパニー(Broken Hill Proprietary Company Limited、BHP) と英ビリトン(Billiton plc) の統合により誕生しました。2018年にBHPビリトン(BHP Billiton)からBHPグループへと改称しています。合併後もロンドンとオーストラリアの2つの株式市場に上場するdual-listed companyとして存在しています。
銅、鉄、石炭、石油、ニッケル、ボーキサイト等の鉱石の生産に携わっています。豪州のOlympic Dam鉱山でウランの生産・開発を行っています。ダイヤモンドも手掛けていましたが、2012年にドミニオンダイヤモンドに事業を売却しました。銅鉱山では世界最大規模の生産量を誇るチリのEscondida(エスコンディーダ)を保有しています。ニッケルは、ウェスト・オーストラリア鉱床が、世界最大級の良質なニッケルブリケットやパウダーを生産しています。ウェスト・オーストラリア鉱床においては、Mount Keith(キース山)が、良質なニッケル鉱山です。

業績推移(年次)

2019年度
売上高は38,446百万ドルで、前年度比2%増となりました。営業利益は13,629百万ドルになりました。営業利益率は35%になりました。

2020年度
売上高は38,924百万ドルで、前年度比1%増となりました。営業利益は13,683百万ドルになりました。営業利益率は35%になりました。Escondida (チリ) と Spence (チリ) での採掘物品質低下による生産量の減少に加え、多くの採掘場で定期メンテナンスを実施したことにより、採掘量を大きく伸ばすことはできませんでした。

2021年度
売上高は56,921百万ドルで、前年度比46%増となりました。営業利益は25,515百万ドルになりました。営業利益率は45%になりました。売上高の増加は主に、鉄鉱石、銅、ニッケル、石油、天然ガス、石炭の価格上昇によるものですが、LNGの価格低下により部分的に相殺されました。

2022年度
売上高は65,098百万ドルで、前年度比14%増となりました。営業利益は34,106百万ドルになりました。営業利益率は52%になりました。売上高の増加は主に、石炭、銅、ニッケルの価格の上昇によるものですが、鉄鉱石の価格の低下により部分的に相殺されました。売上高は増加しましたが、生産量は減少しました。これは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響、オリンピックダムでの大規模な製錬所のメンテナンスの影響などによるものです。

2023年度
売上高は53,817百万ドルで、前年度比17%減となりました。営業利益は22,932百万ドルになりました。営業利益率は43%になりました。売上高の減少は主に、鉄鉱石、原料炭、銅の価格低下と、2022年度に実施したBHP三井石炭の売却による影響です。

BHPビリトンの業績推移

BHPビリトンの業績推移

EPS・1株配当・配当性向の推移

希薄化後EPSは前年度比58%減の254.7ドルになりました。1株当たりの配当は前年度比24%減の265ドルになりました。配当性向は104%になりました。

BHPビリトンのEPS・1株配当・配当性向の推移

BHPビリトンのEPS・1株配当・配当性向の推移

売上構成

セグメントは、銅、鉄鉱石、石炭に分類されます。セグメント別の売り上げ構成は以下の通りです。

BHPビリトンの売上構成(2021年度)

BHPビリトンの売上構成(2022年度)


銅、銀、亜鉛、モリブデン、ウラン、金の採掘を実施。このセグメントの売上の51%はチリの Escondida での採掘作業によるものです。

鉄鉱石
鉄鉱石の採掘を実施。ウェスト・オーストラリアの鉱床で採掘しています。

石炭
石炭の採掘を実施。このセグメントの売上の69%は、三菱商事と共同で実施している事業によるものです。

M&A情報


1984年 BHPは General Electric から Utah International を買収。 この買収により、BHP はクイーンズランド州(豪)の主要な石炭輸出業者となり、また、米国、ブラジル、カナダ、チリにまで事業を拡大しました。 この買収により、BHP は世界的な鉱物会社となりました。
1994年 15カ国の鉱山および金属の権益を含むBHPの大部分の事業が、南アフリカの鉱山会社 Gencor に買収されました。
2005年 オーストラリアの鉱業・肥料会社 Western Mining Corporation を買収。 これにより、採掘から販売まで統合されたニッケル事業であるワシントン州のニッケル・ウェストと、世界最大級の銅、金、ウラン、および大量の銀の鉱床の一つであるオリンピック・ダムを取得したことになります。
2010年 Athabasca Potash を買収しました。これにより、カナダのサスカチュワン州にあるカリウム探索施設を管理できるようになりました。 また、サスカチュワン州の合計14,000 km2を超えるカリウム探査地も手に入れました。
2023年 OZ Mineralsの買収が完了。 この買収はBHPの銅とニッケルのポートフォリオを強化します。これは、電気自動車、風力タービン、ソーラーパネルなどエネルギー転換をサポートする分野での必要な重要な鉱物の需要の増加に応えるという戦略と一致しています。

BHPビリトン キース山

BHPビリトン キース山
出所:同社

2017年4月から度々ヘッジファンドであるエリオット(Elliott Management Corporation) から、BHPビリトンの経営方針では、過去の事業買収の成果を得られていないばかりか、株主価値を長期にわたって棄損し続けているという事業再編の提案を受けています。

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