レアアース採掘・開発会社の世界市場シェアや市場規模について分析をしています。北方稀土集団、南方稀土集団、ライナス・コープレーション、チャイナルコといったレアアース採掘大手の概要や動向も掲載しています。
【レアアースとは】
レアアースは、希土類ともいわれ、31種類あるレアメタルの中の1種です。下記の17元素の総称でもあります。次世代の電動自動車の主力動力となる小型モーターに必要となるネオジム・ジスプロシウム、HDDガラス基板等の研磨剤であるセリウムや自動車用排ガス触媒に使用されるランタン等があります。
- Sc スカンジウム
- Y イットリウム ←蛍光体としてテレビやレーザーに使われます。
- La ランタン ←触媒に使われます。希土類では最も埋蔵量が多いですが
- Ce セリウム ← 研磨剤として使われます。
- Pr プラセオジム
- Nd ネオジム ←モーター用の永久磁石に必要です。
- Pm プロメチウム
- Sm サマリウム
- Eu ユウロビウム
- Gd ガドリニウム
- Tb テルビウム
- Dy ジスプロシウム←モーター用の永久磁石に必要です。
- Ho ホルミウム
- Er エルビウム
- Tm ツリウム
- Yb イッテルビウム
- Lu ルテチウム
レアメタルの種類は、上記17種類の希土類に加え、[Li]リチウム、[Be]ベリリウム、[B]ホウ素、[Ti]チタン、[V]バナジウム、[Cr]クロム、[Mn]マンガン、[Co]コバルト、[Ni]ニッケル、[Ga]ガリウム、[Ge]ゲルマニウム、[Se]セレン、[Rb]ルビジウム、[Sr]ストロンチウム、[Zr]ジルコニウム、[Nb]ニオブ、[Mo]モリブデン、[Pd]バラジウム、[In]インジウム、[Sb]アンチモン、[Te]テルル、[Cs]セシウム、[Ba]バリウム、[Hf]ハフニウム、[Ta]タンタル、[W]タングステン、[Re]レニウム、[Pt]白金、[Tl]タリウム、[Bi]ビスマスがあります。
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リチウム業界の世界市場シェアの分析
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【市場シェア】
レアアース生産会社各社の2022年度の売上高⇒参照したデータの詳細情報を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2022年のレアアース採掘業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位は中国北方稀土集団となります。
レアアース採掘会社の世界市場シェアと業界ランキング(2022年)
順位 | Company name(English) | 会社名 | 市場シェア |
---|---|---|---|
1位 | China Northern Rare Earth Group | 中国北方稀土集団 | 52.51% |
2位 | China Southern Rare Earth Group | 中国南方稀土集団* | 34.19% |
3位 | https://lynasrareearths.com/ | ライナスコープレーション | 6.31% |
4位 | China Minmetals Rare Earth | 中国五鉱稀土集団 | 5.42% |
5位 | Indian Rare Earth | インディア・レアアース | 1.57% |
レアアース採掘会社の世界市場シェアと業界ランキング(2022年) ©2024 Deallab
中国の6大レアアースと言われるレアアースのサプライヤーが、1位と2位を占めているのが特徴です。2021年12月に中国稀土集団が設立し、6大レアアースのうち中国稀有稀土、五鉱稀土集団、中国南方稀土集団が中国稀土集団の傘下に入ることとなりました。今回の統合により、中国はレアアース分野での国際競争力を高め、価格決定力と生産効率を高めることができると踏んでいます。2023年にはランキングに変化があると予想します。
【市場規模】
当データベースでは、レアアース業界の2022年の世界市場規模を95億ドルとしております。参照にした調査会社等の公表データは以下の通りです。
リサーチアンドマーケッツ、2022年の同業界の市場規模は95億ドルです。2028年にかけて209億ドルに達し、年平均14.04%での成長を見込んでいます。
調査会社のプレシャント&ストレータジックインテリジェンスによると、2021年の同市場規模の収益は70.6億ドルです。2030年に向けて9.1%で成長し、同年には154.7億ドルへと拡大することを見込んでいます。⇒参照したデータの詳細情報
年 | 市場規模 | 成長率見込み |
---|---|---|
2023年 | 95億ドル | – |
2928年 | 209億ドル | 14.04% |
【M&Aの動向】
2016年 カナダ・レアアース社、ラオスのレアアース分離精製工場を購入する契約を締結
2022年 Ilukaがレアアースの精鉱供給のためノーザン・ミネラルズと提携を発表
【会社の概要】
中国北方稀土集団(China Northern Rare Earth Group、チャイナ・ノーザン・レアアース・グループ)
内蒙古自治区に本拠を置きます。「中東には石油があり、中国には希土類がある(中东有石油 中国有稀土)」という標語のもと、世界最大のランタンやセリウムなどの軽希土埋蔵量と言われる白云鄂博稀土鉱床(バヤンオボー)をはじめとして、内モンゴル、甘粛、四川省等のレアアース鉱山開発を手掛けます。希土類濃縮物、希土類金属、希土類酸化物、希 土類新材料を手掛け、株主はモンゴル自治区政府系傘下の鉄鋼メーカー中堅である包頭鋼鉄集団(BAOTOU IRON & STEEL、バオトウ・アイアン・スチール)です。
中国南方稀土集団(China Southern Rare Earth Group、チャイナ・サザーン・レアアース・グループ)
江西省でレアアース鉱山を保有しています。贛州レアアース集団(Ganzhou Rare Earth Group、ガンシュウ・レアアース・グループ)、江西銅業集団(Jiangxi Copper Corporation、チアンシー・コッパー・プロダクション)と江タングステン持株集団によって設立されました。中国の6大レアアース会社の一角です。
Lynas Corporation(ライナスコープレーション)
オーストラリアに本拠を置くレアアース生産会社です。主 にセリウム、ネオジムなどの希産鉱物を生産しています。マッコーリ・グループの役員であったニコラス・カーティス氏によって設立され、もともとは金鉱山会社であったが2001年に分社化しました。1986年に上場しています。鉱物は、オーストラリア西部のMt Weld(マウント・ウェルド)で生産され、Fremantle(フリーマントル)港よりマレーシアにあるレアアース精製プラントへ輸送されます。
中国五鉱稀土集団(China Minmetals Rare Earth、チャイナミンメタルレアアース)
中国南部を中心に希土類の開発を行っている会社です。中国の6大レアアース会社の一角です。
Indian Rare Earth(インディア・レアアース、IREL)
インド原子力庁傘下です。モナザイト鉱石から燃料(ウラン・ トリウム)の抽出する際の副産物としてネオジム、セリウム、ランタン、プラセオジウムを産出しています。豊田通商が現地で精製工場を運営しています。
中国アルミ(Chinalco、チャイナルコ)
中国の中央政府系のアルミニウム会社です。中国鋁業公司傘下にあります。中国最大のアルミニウム生産・販売業者であり、酸化アルミニウムの生産では世界第2位です。レアアースでは、湖北省や湖南省のレアアース鉱山を保有しています。2009年に英豪資源大手のリオティントに195億ドル出資し、下記の株主構成の通りShining Prospect(シャイニング・プロスペクト)を通じてチャイナルコが筆頭株主となっています。
広東省レアアース産業集団(Guangdong Rare Earth Group、ガンドン・レアアース・グループ)
中国の6大レアアース1角です。広東省のレアアース鉱山を保有しています。6大レアアース会社は、他に厦門タングステンがあります。
その他
・Canada Rare Earths Corporation(カナダ・レアアース・コーポレーション)
レアアースを含む必須・重要鉱物に焦点を当てた国際的な総合事業を展開している会社です。2016年にはラオスのレアアース分離精製工場を買収する契約を締結いたしました。
・Iluka Resource Limited(イルカリソース)
イルカは、探鉱、開発、採掘、加工、マーケティング、リハビリテーションの専門知識を持つ世界的な重要鉱物会社です。2022年にレアアースの精鉱供給のためノーザン・ミネラルズと提携を発表 いたしました。
参照したデータの詳細情報について
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