動物用医薬品・アニマルヘルス業界の世界市場シェアの分析

動物用医薬品・アニマルヘルス業界の世界シェアと市場規模について分析しています。ゾエティス、エランコ、メルク、ベーリンガーインゲルハイム、ビルバックといった大手動物薬メーカーの概要や動向も掲載しています。

【動物用医薬品の世界シェア+ランキング】

動物薬・アニマルヘルスメーカー各社の2022年度の売上高を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2022年の動物薬・アニマルヘルス業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位ゾエティス、2位メルク、3位ベーリンガーインゲルハイムとなります。⇒参照したデータの詳細情報

動物薬・アニマルヘルスメーカーの世界市場シェアと業界ランキング(2022年)

順位 会社名 市場シェア
1位 Zoetis(ゾエティス) 14.96%
2位 Merck(メルク) 10.28%
3位 Boehringer-ingelheim(ベーリンガーインゲルハイム) 9.54%
4位 Elanco(エランコ) 8.17%
5位 IDEXX Laboratories(アイデックス・ラボラトリーズ) 6.24%
6位 Ceva Santé Animale(セバ・サンテ・アニマル) 3.14%
7位 Virbac(ビルバック) 2.55%
8位 Dechra Pharmaceuticals(デクラ・ファーマシューティカルズ) 1.90%
9位 Phibro Animal Health(フィブロ アニマル ヘルス) 1.81%
10位 Vetoquinol(ベトキノール) 1.13%
11位 Neogen(ネオゲン) 0.51%
12位 Heska(ヘスカ) 0.48%
動物薬・アニマルヘルスメーカーの世界市場シェアと業界ランキング(2022年) 
©2024 Deallab

動物薬・アニマルヘルス業界の世界シェア(2022年)

世界的な食肉と牛乳の消費量の増加や食中毒や人獣共通感染症の増加、ペット飼育の増加傾向が同市場の成長を後押ししています。

2022年も2021年と同様TOP4は不動のゾエティス、ベーリンガーインゲルハイム、メルク、エランコという結果になりました。

2022年のランキングには、8位のデクラ・ファーマシューティカルズ、10位のベトキノール、11位のネオゲン、12位のヘスカが新たにランクインとなりました。

【動物用医薬品・アニマルヘルス業界の世界市場規模】

当データベースでは、2022年の動物用医薬品・アニマルヘルス業界の市場規模を540億ドルとしております。参照した調査会社の市場規模推計は次の通りとなります。

調査会社のプレセデンスリサーチによると、2022年の同市場の規模は540億ドルとなります。2032年にかけて850.7億ドルを超えると予想され、2023〜2032年までの年平均成長率は4.70%で推移する見通しとなっています。

調査会社のリサーチアンドマーケッッツによると、2022年の同市場の規模は366億ドルとなります。2028年にかけて452億ドルに達し、年平均3.58%での成長を見込んでいます。

調査会社のグランビューリサーチによれば、2023年の同市場の規模は624億ドルとなります。2024〜2030年にかけて年平均9.0%の成長と予想しています。

動物薬・アニマルヘルス業界の市場規模の予想成長推移 ©2024 Deallab

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【M&Aの動向】

2014年 ベトキノールはビオニッシュ・ライフサイエンスの動物用医薬品事業を買収

2016年  ゾエティスがScandinavian Micro Biodevicesを買収

2019年  ゾエティスがPlatinum Performanceを買収

2019年  エランコがプレブテック・マイクロビアの買収

2019年  エランコがアラタナ・セラピューティクスを買収

2019年  フィブロがオスプレイ・バイオテクニクスを買収

2020年  ゾエティスがFish Vet Groupを買収

2020年  エランコがバイエルのアニマルヘルス事業の買収を完了

2020年  メルクがアイデンティジェンの買収完了

2020年  エランコはベトキノールと欧州経済領域および英国におけるDrontal®およびProfender®の権利譲渡契約を締結

2021年  メルクアニマルヘルスがPoultry Sense Limitedの買収を完了

2021年  エランコがキンドレッド・バイオサイエンシズの買収を完了

2021年  メルクがPoultry Sense Limitedの買収を完了

2021年  ネオゲンがCAPInnoVetを買収

2021年  ベトキノールは、エランコ・アニマル・ヘルスからオーストラリア市場におけるDrontal®およびProfender®製品群権利を取得

2022年  ゾエティスがJuroxの買収完了

2022年  ゾエティスがBasepawsの買収を完了

2022年  ゾエティスがNewmetricaを買収

2022年  メルクがヴェンスを買収

2023年  EQTはデクラ・ファーマシューティカルズを買収すると発表

2023年  ゾエティスがPetMedixを買収

2023年  ゾエティスがアジーボを買収

2023年  メルクがプロメテウス・バイオサイエンシズの買収を完了

2023年  ビルバックはインドのGlobionの株式の過半数を取得

2023年  ヘスカがマースの傘下へ

2024年  メルクがエランコのアクア事業を買収

2024年  セバ・サンテ・アニマルがScout bioを買収

2024年  アイデックス・ラボラトリーズがezyVetを買収

【人用医薬品と動物用医薬品の相違点】

医療用医薬品業界と比べて、臨床試験が必要ないため新薬の開発費用・時間は少なくて済みますが、市場規模は小さく、販売チャネルは獣医等の動物病院がメインといった参入障壁があります。また規制当局が人用医薬品の場合は厚生労働省ですが、動物用医薬品の場合は農林水産省となります。規制対象となる製品は、大きく動物用医薬品、動物用医薬部外品、動物用医療機器に分かれます。

動物薬と医薬品の違い
動物薬と医薬品の違い©2024 Deallab

【会社の概要】

Zoetis(ゾエティス)

ゾエティス(Zoetis)は、米国に本拠を置く動物薬最大手メーカーです。2009年にFort Dodge買収により業容を拡大しています。2013年にファイザーから分社化して誕生しました。家畜(牛・豚・家禽・魚等)、ペット(犬・猫等)向け動物薬を総合的に手掛けています。犬のアレルギー性皮膚炎治療薬「アポキル錠」等の主力商品を多数抱えています。2018 年には、獣医向け診断機器メーカー、米アバキスを買収し、機器領域へ参入しました。

Merck(メルク)

米国の製薬メーカーです。メルクアニマルヘルスが動物薬事業を展開しています。ドイツの化学・医薬メーカーであるメルクから独立した経緯もあり、米国外ではMSDの名称で展開をしています。

Boehringer-ingelheim(ベーリンガーインゲルハイム)

1885年に設立されたベーリンガーインゲルハイムは、ドイツに本拠を置く大手医薬品メーカーです。心血管・代謝疾患、腫瘍、呼吸器疾患、免疫学、中枢神経系(CNS)の疾患向けの治療薬に強みを持ちます。動物薬の分野では、2015年に仏サノフィから動物薬事業を買収し業界大手となりました。ペット及び豚向けに強みを持っています。コンシューマーヘルス事業は2015年にサノフィに売却し撤退しております。バイオ製薬の製造受託も行っています。

サノフィについて

サノフィは、1973年に設立されたフランスに本拠を置く大手製薬メーカーです。サノフィの発祥は、仏石油大手のTOTALの医薬品部門とヘキスト・ローヌ・プーラン・ローラー系の製薬事業です。ワクチン系の医薬品に強いとされます。2018年に抗体医薬を手掛けるベルギーのアブリンクスを買収しています。さらに詳しく

Elanco(エランコ)

エランコ(Elanco)は、米大手製薬メーカーであるイーライリリー傘下の動物薬メーカーです。2011年にJ&Jから、2015年にノバルティスから動物薬事業を買収しました。2018年にイーライリリーから分社化し独立しました。ペット向けから家畜全般の動物薬までを手掛けています。2020年に動物薬などのバイエルのアニマルヘルス事業を76億ドル(約8千億円)で買収を完了しました。

ノバルティスについて

Novartis(ノバルティス)は、スイスに本拠を置く世界最大級の製薬メーカーです。後発医薬品メーカー大手のSandoz(サンド)を傘下に保有しています。2014年に英グラクソ・スミスクラインの抗がん剤事業を160億ドルで、2017年にフランスの放射性医薬品会社アドバンスト・アクセレーター・アプリケーションズを39億ドルで、2018年に米国のがん治療薬メーカーであるエンドサイトを21億ドルで買収すると発表する一方で、コンタクトレンズ会社のアルコンは分社化、大衆薬事業は合弁相手のグラクソ・スミスクラインに売却し、先端医薬品分野を強化しています。さらに詳しく

バイエルについて

Bayer AG(バイエル)は、1863年にフリードリヒ・バイエル氏によって設立されたドイツに本拠を置く世界的な医薬品・化学品メーカーです。アスピリンの発明で有名です。第二次世界大戦中には、BASF、ヘキストとともにIG・ファルベンを形成しました。戦後にバイエルとして独立し、数々の買収や事業の売却を行っています。農薬・種子事業、ファーマスーティカル事業、コンシューマーヘルス事業が3本柱です。2015年にはマテリアルサイエンス部門をコベストロ(Covestro)として分社化・独立させています。農薬・種子事業においては、2016年にモンサントを買収し、農薬ビッグ4を一歩引き離す存在となりました。種子分野でも上位に入っています。なお、香料大手であるシムライズは、2002年に同社の子会社の出会ったHaamann & Reimer社とDragoco社が経営統合をし、誕生した経緯があります。

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IDEXX Laboratories(アイデックス・ラボラトリーズ)

アイデックス・ラボラトリーズ(IDEXX Laboratories)は、米国に本社を置く動物の臨床検査や品質検査を行う会社です。広義でのアニマルヘルス会社ですが、動物薬等の製造は手掛けていません。

Ceva Santé Animale(セバ・サンテ・アニマル)

セバ・サンテ・アニマル(Ceva Santé Animale)は、1999年にSanofi(サノフィ)から分社化して誕生しました。害虫駆除薬に強く、ノミやダニ駆除薬であるベクトラシリーズは有名です。2020年に三井物産やカナダの年金ファンドであるPSPインベストメンツも出資しました。

Virbac(ビルバック)

ビルバック(Virbac)は、1968年に創業したフランスに本拠を置く動物薬メーカーです。ペット向けの動物薬に強みを持ちます。

Dechra Pharmaceuticals(デクラ・ファーマシューティカルズ)

2000年に上場し、犬や猫などペット用の医薬品分野に強みを持つ。同社によると現在世界26か国で事業を展開しており、動物用医薬品・関連製品の分野では売上高は世界で7位に位置する。
2023年にスウェーデンに本社を置く大手投資ファンドのEQTはデクラ・ファーマシューティカルズを買収すると発表しました。

Phibro Animal Health(フィブロ)

フィブロ(Phibro Animal Health)は、米国に本拠を置く動物薬メーカーです。畜産向けに特化しているのが特徴です。

Vetoquinol(ベトキノール)

フランスに本社を持つ動物用医薬品メーカーです。主にコンパニオンアニマルの医薬品およびサプリメントを扱っています。

Neogen(ネオゲン)

ネオゲンは、食品加工、動物性タンパク質、農業の各業界に総合的なソリューションとサービスを提供し、世界の食糧供給を守るだけでなく、お客様が以前よりも効率的かつ効果的に生産できるよう支援している企業です。

また、コンパニオンアニマルやパフォーマンスアニマル業界、ライフサイエンスや毒物学の分野も手掛けています。

Heska(ヘスカ)

ヘスカは、イヌとネコのコンパニオンアニマルヘルス市場向けの動物用医薬品の開発、製造、マーケティング、販売、サポートを米国内外で行っている企業です。同社は、コアコンパニオンアニマルヘルス(CCA)とその他のワクチン、医薬品、製品(OVP)の2つのセグメントで事業を展開しています。

参照した売上高ランキング

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