万年筆・筆記具・文房具業界の世界市場シェア、市場規模について分析をしています。ニューウェル・ブランズ、ビック、ファーバー・カステル等の世界の主要な万年筆、文房具や筆記具メーカー動向も掲載しています。
市場シェア
「最新業界別売上高ランキング」に記載の筆記具メーカーの売上高を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして2019年の市場シェアを簡易に試算しますと、世界1位はニューウェル・ブランズの13%、2位は晨光文具の11%、3位はBICの6%となります。
- 1位 ニューウェル・ブランズ 13%
- 2位 晨光文具 11%
- 3位 BIC 6%
- 4位 パイロット 7%
- 5位 ファーバーカステル 5%
- 6位 三菱鉛筆 4%
- 7位 ペリカン 2%
万年筆・筆記具業界の市場シェア1位は米国のニューウェル・ブランズです。高級万年筆のパーカー、ウォーターマンを擁してプレミアム筆記具にフォーカスしています。2位は、中国の晨光文具です。1996年以降、M&Gブランドで急速成長してきました。3位はフランスのBICとなります。ライターやシェーバー事業と並び筆記具への集中投資を行っています。
市場規模
当サイトでは、調査会社等の公表データを参考にし、筆記具業界の2019年の世界市場規模を139億ドルとして市場シェアを計算しております。参考したデータは以下の通りです。調査会社のグランビューリサーチによれば、2018年の世界の筆記具の市場規模は139億ドルです。テクノナビによれば、2020〜2024年の年平均市場成長率は5%と見込まれます。BICによれば、2019年の世界の筆記具市場の市場規模は190億ユーロです。
世界の主要な万年筆・筆記具メーカー
ニューウェル・ブランズ(Newell Brands)
ニューウェル・ブランズは2015年にNewell Rubbermaid(ニューウェル・ラバーメイド)とジャーデングループが経営統合をして誕生しました。ニューウェルラバーメイドは1903年に設立されたニューウェルと1920年に設立されたウォーターラバーカンパニーの流れを汲みます。1998年にニューウェルとラバーメイドが経営統合をして誕生しました。日用雑貨、家庭用品、室内装飾品、筆記具等の消費者向けブランドに強みを持っています。ジャーデングループは、1993年に製罐大手のBall Corporation(ボール・コーポレーション)より分社化して誕生しました。分社化後にアウトドア、家電関連等の各種ブランド製品を買収して成長しています。
事業構成
ニューウェルブランドは、大きく筆記具、家電、アウトドア、ベビー用品、家庭用フレグランス、食品、カレッジリング、セキュリティの分野に分かれます。

ニューウェルブランズのブランド一覧
出所:同社AR
釣り具の分野では、Berkley(バークレー)、アブ・ガルシア (AbuGarcia)、ロッズやリールブランドのShakespeare(シェイクスピア)、PENN(ペン)、Ugly Stik(アグリー スティック)等のブランドを展開していましたが、2019年にシカモアパートナーズに売却しました。
2015年 接着剤・修理関連メーカーのエルマーを買収
2016年 アーウィンやレノックス等工具関連の事業をスタンレーブラック&デッカーに売却
2016年 システマプラスチックを買収
2016年 ライター、点火装置、歯間ブラシ等を売却
2017年 テニス・スキーのブランドのフォルクル(Völkl)やスノーボードのK2、Dalbello、Madshus、Line、Full Tilt、Atlas、Tubbs、Ride、BCAブランドを投資ファンドのKKRに売却。
2019年 釣り具事業のBerkley(バークレー)、アブ・ガルシア (AbuGarcia)、ロッズやリールブランドのShakespeare(シェイクスピア)、PENN(ペン)、Ugly Stik(アグリー スティック)をシカモアパートナーズに売却
THE Coleman BOOK(ザ コールマン ブック)―コールマンのすべてがわかる本 (エイムック 1708) [大型本]
使える! ブランド筆記具大図鑑 (玄光社MOOK) [ムック]
BIC(ビック)
BIC(ビック)は1945年に創業されたフランスを代表する筆記具メーカーです。BIC ブランドにて筆記具を世界展開しています。他の事業としては、ライター及びシェーバーとなります。同社アニュアルレポートから事業別売上高比率(2019年)は以下の通りとなります。
文房具40%
使い捨てライター35%
使い捨てシェーバー(髭剃り)24%
ライターは、電子タバコや加熱式タバコが増加傾向になるため、今後需要が減少していく可能性があります。
上場していますが、創業家のBich一族が議決権ベースで約過半を保有しております。
文房具ではニューウェルズブランドと競合しています。使い捨てライターでは高い市場シェアを維持しています。髭剃りではジレットと競合しています。
2019年 ナイジェリアの文房具メーカーであるLucky stationeryの買収
2020年 フランスのライターメーカーであるDjeepを買収
2020年 北米の文房具メーカーであるRocketBookを買収
Faber-Castell(ファーバー・カステル)
1761年に創業されたドイツの筆記具メーカーです。元々は鉛筆メーカーとして誕生。画材向けの色鉛筆に強みを持ちます。
STAEDTLER(ステッドラー)
フリードリッヒ・ステッドラーが創業したドイツ最古と言われる筆記具メーカーです。機能美のステッドラーと高級感のファーバーカステルと言われ、ファーバー・カステルと比較されることが多いです。非公開会社です。
Shanghai M&G Stationery(晨光文具)
1997年に設立された上海に本拠をおく筆記具・文房具メーカーです。M&Gブランドで、筆記用具を含む文房具を展開しています。2015年に上海証券取引所に上場をしています。
Pelikan(ペリカン)
スイスに本拠を置く筆記具メーカーです。発祥はドイツ。ペリカンブランドの万年筆に強みを持ちます。
A.T. Cross(クロス)
1846年に創業の文房具メーカーです。Crossブランドの筆記具を展開しています。現在は投資ファンドのTransom Capital傘下にあります。2014年に仏BICより高級万年筆ブランドのSheaffer(シェーファー)を買収しました。
Richemont(リシュモン)
リシュモン(フランス語:Compagnie Financière Richemont SA)は、スイスを本拠地とする企業グループです。南アフリカのレンブラントグループより高級ブランド事業が分社化され誕生しました。ジュエリー、時計、筆記具に強みを持ちます。主要ブランドとしては、Cartier (カルティエ)、Piaget (ピアジェ)、世界三大高級時計のVacheron & Constantin(ヴァシュロン・コンスタンタン)、IWC 、Jaeger Lecoultre(ジャガー・ルクルト)、ヴァンクリーフ&アーペル(Van Cleef & Arpels)、万年筆のモンブラン(MONTBLANC)、ダンヒル(dunhill)、クロエ (Chloé)などがあります。
Crayola(クレオラ)
米国に本拠を置く文房具メーカー。クレヨンに強み。
Pilot(パイロット)
日本を代表する筆記具メーカーです。
Stabilo(スタビロ)
1865年に創業されたドイツの大手筆記具メーカーです。元々は鉛筆メーカーとして誕生しました。蛍光ペンに強みを持ちます。
CARAN d’ACHE(カランダッシュ)
1924年に創業したスイスの大手筆記具メーカーです。
LAMY(ラミー)
ドイツに本拠を置く筆記具メーカーです。
S.T. Dupont(エス・テー・デュポン)
フランスに本拠を置く万年筆・ライターメーカーです。
三菱鉛筆株式会社
三菱グループの鉛筆会社と思われる場合が多いですが、三菱グループとは関係はありません。ユニ鉛筆はロングセラーです。。
トンボ鉛筆
日本の鉛筆メーカーの老舗です。MONOの消しゴムでも有名です。
業界関連図書
- 特許情報分析(パテントマップ)から見た筆記具
- 万年筆の図鑑