銀業界(銀鉱山開発会社)の世界市場シェアの分析

銀業界(銀鉱山開発会社、Silver Mining)の世界市場シェアと市場規模について分析をしています。フレスニロ、ポリメタル・インターナショナル、KGHMポルスカ、グレンコア、ニューモント・マイニング、コンパニア・デ・ミナス・ブエナベンチュラ、ヒンズスタン亜鉛等主要な銀鉱山開発会社の概要も掲載しています。

【銀の用途】

銀の用途で最も多いのは工業用・産業用の利用です。需要全体の約55%となっています。工業用では、太陽光パネルの材料、電池、歯科用途(銀歯)、鏡等で用いられている。次に多い用途としては、宝石(20%)、貨幣(20%)です。4番目の用途は食器となっています。

【市場シェア】

銀鉱山開発会社各社の2022年度の銀採掘・生産量を分子に、後述する市場規模を分母しにして、2022年の銀の市場シェアを計算すると、1位はフレスニロ、2位はKGHM、3位はニューモント・マイニングとなります。

順位 企業名(日本語) 市場シェア
1 フレスニロ 6.53%
2 KGHM 5.69%
3 ニューモント・マイニング 3.72%
4 グレンコア 2.89%
5 ヒンズスタン亜鉛 2.78%
6 ポリメタル・インターナショナル 2.55%
7 サザンコッパー 2.26%
8 パンアメリカンシルバーコープ 2.24%
9 コンパニア・デ・ミナス・ブエナベンチュラ 1.74%
10 ボルカン・カンパニア・ミネラ 1.56%
11 ホックシールド・マイニング 1.34%

フレスニロは、もともとはペニョーレス社の事業部門でした。2008年に分社化しています。金の生産でも世界大手です。2位のKGHMはポーランドの銅・銀鉱山開発会社です。3位は金採掘大手のニューモント・マイニングです。2019年にゴールドコープを買収し、銀の採掘・生産量でも上位に入りました。4位はスイスの資源商社・資源開発会社のグレンコアです。石炭も大手です。5位はインドのヒンズスタン亜鉛です。6位はロシアに本拠を置き、ロンドンに上場するポリメタル・インターナショナルです。9位はペルーに本拠を置くコンパニア・デ・ミナス・ブエナベンチュラです。ヤナコッチャ金山を筆頭に金鉱山開発にも強いです。

【銀の世界採掘・生産量】

非営利の国際的な協会であるシルバー協会によると、2022年の銀採掘・生産量の推計は822百万オンス(29千トン)です。また2021年の銀採掘・生産量の推計は828百万オンス(29.2千トン)です。

2017年以降、年平均2〜3%程度生産量が減少しています。工業用途向けの銀の需要が減少していることが背景にあります。

生産量
百万オンス
前年比
成長率
2020 798 -4.7%
2019 837 -1.3%
2018 848 -1.7%
2017 863 -3.3%
銀の生産量推移©ディールラボ

【銀の価格推移】

2020年はコロナ禍の中で経済が低迷する中で、銀価格が上昇しました。実需というよりは投機的な資金の流れと言われています。


【M&Aの動向】

2012年 グレンコアはカナダの穀物流通大手バイテラを買収

2013年 グレンコアは資源メジャーであるエクストラ―タを買収

2017年 グレンコアは穀物トレーディング部門をグレンコアアグリカルチャーとして分社化

2019年 ニューモント・マイニングはカナダの資源大手のゴールドコープを100億ドルで買収

2020年 グレンコアアグリカルチャーはバイテラに社名変更

【世界の主要な銀の生産会社の一覧】

Fresnillo(フレスニロ)

メキシコを代表する金・銀鉱山開発会社です。2008年にペニョーレス(Peñoles)の事業部から分社化して誕生したのち、ロンドン証券取引所に上場しました。ぺニューレスは、同社上場後も約75%のフレスニロの株式を保有していなす。フレスニロ社の操業を開始している鉱山には、基幹銀山であるフレスニロ、Saucito鉱山、San Julián鉱山等を有しています。なお、ペニョーレスは、メキシコのコングロマリットであるGrupo BAL傘下にあります。

BHPグループ(ビーエイチピー)

BHP(ビーエイチピー、BHP)は、世界最大の鉱業会社です。2001年に豪ブロークンヒル・プロプライエタリー・カンパニー(Broken Hill Proprietary Company Limited、BHP) と英ビリトン(Billiton plc) の統合により誕生しました。2018年にBHPビリトン(BHP Billiton)からBHPグループへと改称しています。合併後もロンドンとオーストラリアの2つの株式市場に上場するdual-listed companyとして存在しています。
銅、鉄、石炭、石油、ニッケル、ボーキサイト等の鉱石の生産に携わっています。豪州のOlympic Dam鉱山でウランの生産・開発を行っています。ダイヤモンドも手掛けていましたが、2012年にドミニオンダイヤモンドに事業を売却しました。銅鉱山では世界最大規模の生産量を誇るチリのEscondida(エスコンディーダ)を保有しています。ニッケルは、ウェスト・オーストラリア鉱床が、世界最大級の良質なニッケルブリケットやパウダーを生産しています。ウェスト・オーストラリア鉱床においては、Mount Keith(キース山)が、良質なニッケル鉱山です。

BHPビリトン キース山

BHPビリトン キース山
出所:同社

KGHM Polska Miedź(KGHMポルスカ)

ポーランドに本拠を置く銀の生産会社です。銅の生産量でもトップクラスです。

Glencore(グレンコア)

グレンコア(Glencore)はスイスに本拠を置く資源商社です。1974年にスイスのトレーダーであるマーク・リッチによって設立されました。2012年にカナダの穀物流通大手バイテラを、2013年には資源メジャーであるエクストラータを買収しています。亜鉛、原料炭、一般炭、銅、コバルト、ニッケルなどの採掘やエネルギー及び穀物トレーディングが事業の柱となっています。トレーディング機能と上流権益の開発機能をあわせもつ資源メジャーとも言えます。2017年1月に穀物トレーディング部門をグレンコア・アグリカルチャーとして分社化し、バイテラへと社名変更しました。さらに詳しく

Polymetal(ポリメタル)

1998年にAlexander Nesis氏によって設立されたロシアに本拠を置く貴金属生産大手です。ロンドン証券取引所に上場しています。Dukatが同社の中核銀山です。

Newmont Mining(ニューモント・マイニング)

米国に本拠を置く世界最大級の金鉱山の運営会社です。他の金属資源は売却し、金に集中投資しています。2019年に同業のゴールドコープを100億ドルで買収しました。世界最大の金鉱山であるNevada Gold Mines(ネバダゴールド金山)をバリックゴールドと共同運営しています。2019年の金生産量は195.7トンです。ニューヨーク証券取引所に上場しています。2019年にカナダのGoldcorp(ゴールドコープ)を買収しました。

Goldcorp(ゴールドコープ)

カナダの資源大手で、金と銀の生産ではトップクラスでした。2019年に米国の金大手であるNewmont Mining(ニューモント・マイニング)が買収をしました。

Pan American Silver(パン・アメリカン・シルバー)

1994年にRoss Beaty氏によって設立されたカナダに本拠を置く銀の生産大手です。メキシコのLa Colorada Mine(ラコロラダ鉱山)、Dolores Mine(ドロレス鉱山)、ペルーのHuaron鉱山といった優良銀鉱山を保有しています。

Vedanta Resources(ベダンタ・リソーシズ)

Vedanta Resources(ベダンタ・リソーシズ)は、Anil Agarwal(アニル・アガルワル)氏率いるイギリスに本拠を置く資源開発大手です。1966年に創業されたインドの亜鉛・鉛・銀生産大手であるHindustan Zinc(ヒンズスタン亜鉛)を傘下に所有します。鉄鉱石、鉄鋼、銅、アルミニウム、電力、石油、ガスも生産・開発しています。資源大手アングロアメリカンの大株主でもあります。

Southern Copper(サザンコッパー)

1952年に設立された資源大手です。メキシコのコングロマリットであるGrupo Méxicoのグループ会社です。世界最大級の銅・モリブデン・銀生産企業です。ペルーの Cuajone(クアジョーネ)鉱山とトケパラ(Toquepala)鉱山やメキシコのCananea(カナネア)鉱山が有名です。

参照したデータの詳細情報について


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