銀業界(銀鉱山開発会社)の世界市場シェアの分析

銀業界(銀鉱山開発会社、Silver Mining)の世界市場シェアと市場規模について分析をしています。フレスニロ、ポリメタル・インターナショナル、KGHMポルスカ、グレンコア、ニューモント・マイニング、コンパニア・デ・ミナス・ブエナベンチュラ、ヒンズスタン亜鉛等主要な銀鉱山開発会社の概要も掲載しています。

【銀の用途】

銀の用途で最も多いのは工業用・産業用の利用です。需要全体の約55%となっています。工業用では、太陽光パネルの材料、電池、歯科用途(銀歯)、鏡等で用いられている。次に多い用途としては、宝石(20%)、貨幣(20%)です。4番目の用途は食器となっています。

【市場シェア】

銀鉱山開発会社各社の2023年度の銀採掘・生産量⇒参照したデータの詳細情報を分子に、後述する市場規模を分母にして、2023年の銀の市場シェアを計算すると、1位はフレスニロ、2位はKGHM、3位はヒンズスタン亜鉛となります。

順位 Company name
(English)
企業名(日本語) 市場シェア
1位 Fresnillo plc フレスニロ 6.77%
2位 KGHM KGHM 6.06%
3位 Hindustan Zinc Ltd ヒンズスタン亜鉛 3.17%
4位 PAN AMERICAN SILVER パンアメリカンシルバーコープ 2.45%
5位 GLENCORE グレンコア 2.41%
6位 Southern Copper Corporation サザンコッパー 2.22%
7位 Newmon ニューモント・マイニング 2.17%
8位 Solidcore Resources(⇐Polymetal) ソリッドコア・リソーシズ
⇐ポリメタル・インターナショナル
2.13%
9位 Volcan Compañía Minera ボルカン・カンパニア・ミネラ 1.83%
10位 Hochschild Mining ホックシールド・マイニング 1.14%
11位 Compañía de Minas Buenaventura SAA コンパニア・デ・ミナス・ブエナベンチュラ 1.10%
銀業界(銀鉱山開発会社)の市場シェアランキング

銀業界(銀鉱山開発会社)の市場シェア

世界1位は1位はメキシコを代表する金・銀鉱山開発会社のフレスニロです。基幹銀山であるフレスニロ、Saucito鉱山、San Julián鉱山等を有しています。

続く2位はポーランドに本拠を置く銀の生産会社KGHMです。銅の生産量でもトップクラスです。

そして3位にはヒンズスタン亜鉛です。50年以上の操業経験を誇るインド最大、世界第2位の総合亜鉛生産会社でもあります。

【市場規模】

ロンドン地金市場協会(LBMA)によると、2023-24年度の銀相場は、前年比2.3%高の1オンス=24.45ドルとなり、堅調に推移しました。

銀の総需要は、2022年に記録的な伸びを示した後、2023年には7%減の1,195百万オンスとなりました。宝飾品、銀製品、価格に敏感な現物投資産業がこの減少の主な原因です。

一方で、工業用の需要は2023年に過去最高を記録し、主に電気・電子産業が牽引、20%増の445.1百万オンスに拡大しました。この増加は、太陽光発電における銀の重要な用途が拡大した結果で、2022年の合計118.1百万オンスから64%増の193.5百万オンスへと驚異的に増加し、過去最高記録となっています。

【銀の世界採掘・生産量】

非営利の国際的な協会であるシルバー協会によると、2023年の銀採掘・生産量の推計は831百万オンス( 23.6千トン)です。また2022年の銀採掘・生産量の推計は837百万オンス(23.7千トン)です。この減少は、ニューモントのメキシコのペニャスキート鉱山が労働争議により4ヶ月間一時的に操業停止となったことが主な要因であり、メキシコの銀生産量は5%減の202.2百万オンスとなりました。

その他の要因としては、鉱石の品質低下と特定の鉱山の閉鎖が挙げられ、アルゼンチン(4.9百万オンス減)、オーストラリア(3.1百万オンス減)、ロシア(1.4百万オンス減)の生産量減少につながった。しかし、チリ(10.1百万オンス増)とボリビア(3.8百万オンス増)の増産がこれらの損失の一部を相殺し、明るい兆しも見えています。⇒参照したデータの詳細情報

生産量
(百万オンス)
前年比成長率
2017 864 -4.0%
2018 851 -1.5%
2019 837 -1.6%
2020 763 -6.4%
2021 829 5.8%
2022 837 0.9%
2023 831 -0.7%
銀の生産量推移©ディールラボ

銀業界の銀の世界採掘・生産量の推移

【銀の価格推移】

ロンドン地金市場協会(LBMA)によると、2023-24年度の銀相場は、前年比2.3%高の1オンス=24.45ドルとなり、堅調に推移しました。

2020年はコロナ禍の中で経済が低迷する中で、銀価格が上昇しました。実需というよりは投機的な資金の流れと言われています。⇒参照したデータの詳細情報

【M&Aの動向】

2012年 グレンコアはカナダの穀物流通大手バイテラを買収
2013年 グレンコアは資源メジャーであるエクストラ―タを買収
2017年 グレンコアは穀物トレーディング部門をグレンコアアグリカルチャーとして分社化
2019年 ニューモント・マイニングはカナダの資源大手のゴールドコープを100億ドルで買収
2020年 グレンコアアグリカルチャーはバイテラに社名変更
2023年 ブエナベントゥラが、コンタクト・コレドーレス・デ・セグロスを売却
2023年 パンアメリカンシルバーが、ヤマナゴールドを買収
2024年 ポリメタル・インターナショナルはソリッドコア・リソーシズplcに社名変更
2024年 ブエナベンチュラが、チャウピロマ・ロイヤルティ・カンパニーをフランコ・ネバダに売却。

【世界の主要な銀の生産会社の一覧】

Fresnillo(フレスニロ)

メキシコを代表する金・銀鉱山開発会社です。2008年にペニョーレス(Peñoles)の事業部から分社化して誕生したのち、ロンドン証券取引所に上場しました。ぺニューレスは、同社上場後も約75%のフレスニロの株式を保有していなす。フレスニロ社の操業を開始している鉱山には、基幹銀山であるフレスニロ、Saucito鉱山、San Julián鉱山等を有しています。なお、ペニョーレスは、メキシコのコングロマリットであるGrupo BAL傘下にあります。

KGHM Polska Miedź(KGHMポルスカ)

ポーランドに本拠を置く銀の生産会社です。銅の生産量でもトップクラスです。

Hindustan Zinc Ltd(ヒンズスタン亜鉛)

ヒンズスタン亜鉛はインド最大、世界第2位の総合亜鉛生産会社です。50年以上の操業経験を持ちます。Vedanta Limited の子会社であり、同社が当社の株式の 64.9% を所有し、インド政府が 29.5% の株式を保有しています。 NSE および BSE に上場しています。

BHPグループ(ビーエイチピー)

BHP(ビーエイチピー、BHP)は、世界最大の鉱業会社です。2001年に豪ブロークンヒル・プロプライエタリー・カンパニー(Broken Hill Proprietary Company Limited、BHP) と英ビリトン(Billiton plc) の統合により誕生しました。2018年にBHPビリトン(BHP Billiton)からBHPグループへと改称しています。合併後もロンドンとオーストラリアの2つの株式市場に上場するdual-listed companyとして存在しています。
銅、鉄、石炭、石油、ニッケル、ボーキサイト等の鉱石の生産に携わっています。豪州のOlympic Dam鉱山でウランの生産・開発を行っています。ダイヤモンドも手掛けていましたが、2012年にドミニオンダイヤモンドに事業を売却しました。銅鉱山では世界最大規模の生産量を誇るチリのEscondida(エスコンディーダ)を保有しています。ニッケルは、ウェスト・オーストラリア鉱床が、世界最大級の良質なニッケルブリケットやパウダーを生産しています。ウェスト・オーストラリア鉱床においては、Mount Keith(キース山)が、良質なニッケル鉱山です。

BHPビリトン キース山

BHPビリトン キース山
出所:同社

Glencore(グレンコア)

グレンコア(Glencore)はスイスに本拠を置く資源商社です。1974年にスイスのトレーダーであるマーク・リッチによって設立されました。2012年にカナダの穀物流通大手バイテラを、2013年には資源メジャーであるエクストラータを買収しています。亜鉛、原料炭、一般炭、銅、コバルト、ニッケルなどの採掘やエネルギー及び穀物トレーディングが事業の柱となっています。トレーディング機能と上流権益の開発機能をあわせもつ資源メジャーとも言えます。2017年1月に穀物トレーディング部門をグレンコア・アグリカルチャーとして分社化し、バイテラへと社名変更しました。さらに詳しく

Solidcore Resources(ソリッドコア・リソーシズ)旧:Polymetal(ポリメタル)

1998年にAlexander Nesis氏によって設立されたロシアに本拠を置く貴金属生産大手です。ロンドン証券取引所に上場しています。Dukatが同社の中核銀山です。2024年にポリメタルから社名変更しました。

Newmont Mining(ニューモント・マイニング)

米国に本拠を置く世界最大級の金鉱山の運営会社です。他の金属資源は売却し、金に集中投資しています。2019年に同業のゴールドコープを100億ドルで買収しました。世界最大の金鉱山であるNevada Gold Mines(ネバダゴールド金山)をバリックゴールドと共同運営しています。2019年の金生産量は195.7トンです。ニューヨーク証券取引所に上場しています。2019年にカナダのGoldcorp(ゴールドコープ)を買収しました。

Goldcorp(ゴールドコープ)

カナダの資源大手で、金と銀の生産ではトップクラスでした。2019年に米国の金大手であるNewmont Mining(ニューモント・マイニング)が買収をしました。

Pan American Silver(パン・アメリカン・シルバー)

1994年にRoss Beaty氏によって設立されたカナダに本拠を置く銀の生産大手です。メキシコのLa Colorada Mine(ラコロラダ鉱山)、Dolores Mine(ドロレス鉱山)、ペルーのHuaron鉱山といった優良銀鉱山を保有しています。

Vedanta Resources(ベダンタ・リソーシズ)

Vedanta Resources(ベダンタ・リソーシズ)は、Anil Agarwal(アニル・アガルワル)氏率いるイギリスに本拠を置く資源開発大手です。1966年に創業されたインドの亜鉛・鉛・銀生産大手であるHindustan Zinc(ヒンズスタン亜鉛)を傘下に所有します。鉄鉱石、鉄鋼、銅、アルミニウム、電力、石油、ガスも生産・開発しています。資源大手アングロアメリカンの大株主でもあります。

Southern Copper(サザンコッパー)

1952年に設立された資源大手です。メキシコのコングロマリットであるGrupo Méxicoのグループ会社です。世界最大級の銅・モリブデン・銀生産企業です。ペルーの Cuajone(クアジョーネ)鉱山とトケパラ(Toquepala)鉱山やメキシコのCananea(カナネア)鉱山が有名です。

Compañía de Minas Buenaventura SAA (コンパニア・デ・ミナス・ブエナベンチュラ)

ブエナベンチュラは、探査、開発、建設、採掘事業の経験を持つペルーの貴金属生産会社です。1953 年にワンカベリカのジュルカニ鉱山を買収して事業を開始しました。1996 年にニューヨーク証券取引所に上場した最初のラテンアメリカの鉱業会社です。

Hochschild Mining(ホックシールド・マイニング)

ホックシールド・マインニングは100年以上の歴史を持つ、北アメリカ大陸における金と銀の探査、採掘、加工、販売に重点を置く、地下貴金属のリーディングカンパニーです。ペルー南西部とアルゼンチン南部の 2 つの地下熱水鉱床を運営しており、ブラジルではマラ ローザ露天掘り鉱山も運営しています。

参照したデータの詳細情報について


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