パームオイル(油ヤシ)業界の世界市場シェアや市場規模について分析をしています。SDガスリー、ゴールデンアグリリソーシーズ、フェルダグローバルベンチャーズ、アストラアグロレスタリ、クアラルンプールケポンといった油やし(パームオイル)農園運営大手の概要や動向も掲載しています。自社農園CPO生産量が非公開の企業については、今回のランキングから除外しております。
【パームオイル業界とは】
パームオイルはパームの実から採れる植物油のことです。その用途は、マーガリンや油、加工食品(パンやスナック菓子など)、洗剤やシャンプー、バイオマス燃料など多岐に渡り、世界で最も多く利用されている植物油です。
パームオイル業界は、パームオイルの原料となるパーム(油ヤシ)を生産しているプランテーション並びにその運営元である企業のことを指します。油ヤシは赤道周辺の熱帯のみで育つため、東南アジアや西アフリカ、南米などの企業がプランテーションを運営し世界中に輸出しています。
パーム(油ヤシ)について
種をまいた後、約30か月で実をつけ始め、約36か月で収穫可能となります。
7~18年がパーム実の収穫量のピークで、約25年が寿命となります。
1ヘクタール当り、18-30トンのパームの実が収穫できます。
収穫されたパームの実(Fresh Fruit Bunch、FFB)は、図のように真ん中の白いKernel(種)とRed Fruit(実)に分かれます。
両方の部分からパーム油が取れます。種からとれた油をPalm Kernel Oil(パームカーネル油)といい、マーガリンやセッケンの原料となります。実からとれた油はレッドパームオイルとして食用となります。

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【パームオイル(油ヤシ)業界の世界市場シェア+ランキング】
パームオイル(油ヤシ)業界の2024年度の生産量⇒参照したデータの詳細情報を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2024年のパームオイル(油ヤシ)業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はウィルマ―、2位はFGV、3位はゴールデンアグリリソーシーズとなります。
業界の市場シェア(2024年).png)
| 順位 | Company name (English) |
企業名(日本語) | 市場シェア |
| 1位 | FGV | FGV | 3.74% |
| 2位 | GAR | ゴールデンアグリリソーシーズ | 3.49% |
| 3位 | SD Guthrie | SDガスリー | 2.77% |
| 4位 | Kuala Lumpur Kepong Berhad | ケポン | 1.71% |
| 5位 | Astra Agro Lestari | アストラアグロレスタリ | 1.44% |
インドネシア・マレーシアの企業が名を連ねています。
世界1位は、マレーシア政府系のフェルダ・グローバル・ベンチャーズ(FGV)社です。
世界2位は、シンガポールに本拠を置くインドネシア系企業のゴールデン・アグリ・リソーシズ社です。同社はシナルマスグループの中核企業でもあります。
世界3位は、マレーシアに本拠を置くSDガスリーです。
【パームオイル生産量の国別シェア】

*USDAのデータを基にグラフ作成
パームオイルは西アフリカ原産ですが、現在では東南アジアでの生産がメインです。産出量1位のインドネシアと2位のマレーシアが、世界全体の産出量の85%近くを占めます。
【パームオイル(油ヤシ)業界の世界市場規模】
当データベースでは、2024年のパームオイル(油ヤシ)業界の市場規模を78百万トン(生産量)としております。参照した各種調査データは次の通りとなります。
調査会社リサーチゲートによると、2024年の同業界の市場規模は78百万トンです。
| 年 | 市場規模 | 年平均成長率 |
| 2022 | 77.2百万トン | – |
| 2024 | 78百万トン | 0.51% |
業界の市場規模の成長予想.png)
なお、1961年〜2020年のパームオイル生産量の推移は以下の通りです。

パームオイルの生産量の推移 ©2024 Deallab
*オックスフォード大学『Our World in Data』のデータを基にグラフ作成
1970年以降需要が緩やかに伸び、2000年に入ってからは右肩上がりで生産量が増えています。生産効率性の高いパームオイルは、今後の人口増加に伴い益々需要が増えると考えられます。
【M&Aの動向】
2015年 サイム・ダービーがパプア・ニューギニアのパームオイル大手Nwe Britainを買収
2019年 サイム・ダービーがインドネシアの子会社をInti Nusa Sejahtera に売却
2020年 サイム・ダービーがリベリア事業をMano Palm Oil Industries Limited に売却
2021年 ケポンがIJMプランテーションの株式56.2%を取得し子会社化
2024年 サイム・ダービー・プランテーションがSDガスリーに改名
2025年 ウィルマー、アダニ・コモディティーズLLPからAWLアグリビジネスリミテッドの株式13%の買収を完了
【会社の概要】
Golden Agri-Resources Ltd. (ゴールデンアグリリソーシーズ)
1996年に設立されたシンガポールに本拠を置くアブラヤシ農園運営会社です。シナルマスグループの中核会社としてウィジャヤ一族(Widjaja Family)の資産管理会社であるFlambo International社が約50%の持分を保有しています。シンガポール証券取引所に上場しています。子会社であるPT SMART社やPT Dami Mas Sejahtera社を通じてパーム油農園の運営から流通・販売までを行っています。パーム油の輸送も自前で行っています。
FGV Holdings Berhad (FGVホールディングス、FGV、旧称 Felda Global Ventures Holdings Berhad)
マレーシア政府系のパーム油農園運営大手です。上場していますが、最大手の株主はFederal Land Development Authority(連邦土地開発公社)です。パーム油関連事業以外では2009年に製糖大手であるMSM Malaysia(MSMマレーシア)を買収しました。フランス系の穀物商社であるルイ・ドレイファスと戦略的提携もしています。カナダの穀物商社であるBungeとも大豆搾油の合弁会社を運営しています。
SD Guthrie(SDガスリー)
2007年にSime Darby、Guthrie及びGolden Hopeの3社が経営統合して誕生したのが、Sime Darbyでした。Sime Darbyは、1910年にWilliam Sime氏とHenry Darby氏によって設立されたパーム油の貿易会社となります。Guthrieは、1821年にAlexander Guthrie氏によって設立された英国系企業です。パーム油とゴムの貿易を主体としています。Golden Hopeは、1905年に設立されたコーヒー等の貿易会社です。年間約2.5百万トンの粗パーム油(crude palm)を産出します。2024年 サイム・ダービー・プランテーションはSDガスリーに改名しました。
Wilmar International Ltd(ウィルマー・インターナショナル・リミテッド)
シンガポールに本拠を置くプランテーション運営企業です。上流のヤシ農場の運営から、パーム油精製、トレーディング、最終商品の提供を行う世界的な製油会社です。パーム油生産においては川上から川下まで一貫体制をとっています。製粉事業は中国を中心に手掛けています。製粉事業は、インドネシア、インド、中国で事業を展開しています。インドではAdani、中国ではYihai Flour Companyという名称でCOFCOと共同で事業を行っています。搾油事業に関しては年間41百万トンを有しています。製糖事業は、豪州の旧Colonial Sugar Refining Company(CSR)からSucrogenを買収し製糖事業を強化しています。シンガポール証券取引所に上場していますが、米国の穀物メジャーであるArcher-Daniel Midlandが約25%の株式を保有しております。
Astra Agro Lestari(アストラアグロレスタリ)
インドネシアに本拠を置く自動車や金融大手であるアストラグループの傘下企業です。ゴムプランテーション運営を主軸にヤシ油・紅茶・ココアのプランテーション運営や食用油製造も手掛けています。
KUALA LUMPUR KEPONG BERHAD(クアラルンプールケポン)
マレーシアに本拠を置くプランテーション運営会社です。ヤシ油、天然ゴム、ココア、オレオケミカル、石鹸、ゴム手袋、トイレタリー等の製造販売を行っています。
Salim Ivomas Pratama(サリム・イボマス・プラタマ)
インドネシア最大の財閥であるサリムグループ傘下企業です。パーム油プランテーションの運営は子会社のサリム・イボマス・プラタマを通じて行っています。
