補聴器メーカーの世界市場シェアの分析

補聴器メーカーの世界シェアと市場規模について分析をしています。大手補聴器メーカーであるソノヴァ、デマント、WSオーディオロジー、ジーエヌストア、スターキー、コックリアーの概要や動向も掲載しています。

【補聴器メーカーについて】

補聴器の基本的機能は、音を大きくすることです。補聴器内の小型マイクロホンに入った音を大きくして小型イヤホンから出力します。
補聴器の形には、耳に掛ける耳かけ型、外耳道内に入れる耳あな型、本体とイヤホンの間がコードでつながれているポケット型などがあります。

世界には補聴器や集音器を作るメーカーが数多くありますが、補聴器の頭脳とも言える主要部品のマイクロチップを開発できるメーカーは限られています。マイクロチップの性能の善し悪しが聞こえの自然さを生み出すとも言われており、開発には長い年月と多くの開発費用がかかるため、今は6社のみがマイクロチップを開発しています。この6社はいわゆる「6大メーカー」と呼ばれて世界中で補聴器の販売を行っています。

【補聴器メーカーの世界市場シェア】

補聴器業界の2023年度の売上高⇒参照したデータの詳細情報を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2023年の補聴器業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はソノヴァ、2位はウイリアム・デマント、3位はジーエヌストアノードとなります。

補聴器メーカーの世界シェア(2023年)

順位 Company name
(English)
会社名 市場シェア
1位 Sonova ソノヴァ 25.87%
2位 Demant ウイリアム・デマント 20.16%
3位 WS Audiology WSオーディオロジー
(旧Sivantos Group
およびWidex、WSオーディオロジー)
17.42%
4位 Starkey Hearing Technologies スターキー 14.00%
5位 Cochlear コックリアー 8.65%
6位 GN Store Nord ジーエヌストアノード 6.35%
補聴器メーカーの市場シェアと業界ランキング(2023年)©2024 Deallab

補聴器メーカーの世界シェア(2023年)©2024 Deallab

補聴器は歴史的に欧州企業が強く、市場シェアランキングでも上位1〜3位は全て欧州メーカーとなっております。米国のスターキーを含め、元々は世界7大補聴器メーカーと言われていましたが、2019年に旧シーメンスの補聴器部門であったシバントスとデンマークのワイデックスが経営統合を行い、WSオーディオロジーが誕生した結果、世界6大メーカーへとなりました。

【補聴器メーカーの世界市場規模】

当データベースでは、2023年の補聴器業界の市場規模を150億ドルとしております。参照した各種調査データは次の通りとなります。

調査会社のフォーチューンビジネスインサイトによると、2023年の同業界の市場規模は129.6億ドルです。2024年の143.5憶ドルから2032年にかけて、年平均11.7%で成長し、同年には347.6億ドルへと拡大する見込みです。

調査会社のリサーチアンドマーケッツによると、2023年の同業界の市場規模は75億ドルです。2027年にかけて、年平均6.8%で成長し、同年には110億ドルへと拡大する見込みです。

調査会社のグランビューリサーチによると、2022年の聴覚機器市場の規模は96億ドルです。2023−2030年で約7.2%の成長を見込んでいます。

調査会社のベリファイドマーケットリサーチによると2020年の同市場規模は104億ドルです。2028年にかけて年平均5.57%での成長を見込み、同年には161億米ドルに達すると予測されています。⇒参照したデータの詳細情報

市場規模 成長率見込み
2023年 129.6億ドル
2024年 143.5億ドル 5.57%
2032年 347.6億ドル 5.57%/年平均
補聴器業界の市場規模と成長率見込み ©2024 Deallab

補聴器業界の市場規模の予想成長推移 ©2024 Deallab

【M&Aの概要】

シーメンスが補聴器事業を分社化し、補聴器専業6社が競い合う構図となっています。

2014年 シーメンスが補聴器事業をEQTに売却。Sivantos (シバントス)設立
2016年 ソノヴァによる補聴器小売大手オーディオノバの買収
2018年 シバントスがデンマークのワイデックスと経営統合。WSオーディオロジー設立
2019年 GNストアノードによるビデオ通信プロバイダーのAltia買収
2023年 補聴器オーティコン、豪同業コクレアが買収

【会社の概要】

Sonova(ソノヴァ)

スイスに本拠を置く世界最大級の補聴器メーカーです。2007年にフォナック(Phonak)より社名変更しました。Marvel(マーベル)ブランドで展開しています。世界100ヵ国以上で事業を展開し、スイス証券取引所に上場(ティッカーシンボルはSOON)しています。創業家であるDiethelm家が大株主として残っています。

William Demant(ウイリアム・デマント)

1904年に設立されたデンマークに本拠を置く大手補聴器メーカーです。傘下のOticon(オーティコン)、Philips(フィリップス)、Bernafon、Sonic等ブランドの補聴器を製造・販売しています。フィリップスとは2018年にブランド使用のライセンスアグリーメントを締結しています。創業家ファミリーの財団であるDemant Foundationが過半の議決権を保有しています。NASDAQ OMX市場に上場しています。

WS Audiology(旧Sivantos GroupおよびWidex、WSオーディオロジー)

2019年にデンマークに本拠を置く補聴器大手メーカーであるWidex(ワイデックス)と独シーメンスの補聴器事業の流れを汲むSivantos (シバントス)が経営統合して誕生しました。投資ファンドのEQTがシバントス買収した際の想定企業価値は22億ユーロとなっています。

Starkey Hearing Technologies(スターキー・ヒアリング・テクノロジーズ)

米国に本拠を置く補聴器大手メーカーです。非公開会社です。2012年にスターキー・ラボラトリーズ(Starkey Laboratories, Inc.)からスターキー・ヒアリング・テクノロジーズ(Starkey Hearing Technologies)に社名を変更しました。

日本では1992年1月に日本法人としてスターキージャパン株式会社を設立。1999年に日本におけるデジタル補聴器の販売を開始しています。さらに詳しく

Cochlear(コックリアー)

1981年にオーストラリアで設立された人工内耳機器を製造するメーカーです。人工内耳以外にも、電気音響インプラント「Hybrid」、骨伝導インプラント「Baha」などを展開しています。

GN Store Nord(ジーエヌストアノード)

デンマークに本拠を置く大手補聴器メーカーです。元々は海底ケーブルを大北電信会社(Great Norther Telegraph Company)として行っており、日本の国際通信を担っていた時期もあります。現在の事業構成は大きく補聴器事業とワイヤレスイヤホン事業に分かれます。後者の事業は、Jabraブランドで、アップルのAirPods、サムスンやBoseと競合をしています。補聴器はReSound(リサウンド)やBeltone(ベルトーン)ブランドで展開をしています。NASDAQ OMX市場に上場しています。

Signia(シグニア、日本法人「シバントス」、旧:シーメンス)

かつて、シーメンスというメーカー名で経営していた補聴器ブランド。現在は「WSオーディオロジー」グループ内にあり、日本法人の社名は、シバントス。補聴器とわかりにくいスタイリッシュなデザインが特徴。音のこもり感を和らげるために、あらかじめ録音した本人の声を、別で処理する「OVP」の技術を搭載。さらに詳しく

Amplifon(アンプリフォン)

イタリアに本拠を億補聴器小売大手です。ホワイトレーベルブランドの補聴器(生産は他社に委託するものの、自社のブランドで販売すること)APEも販売しています。

Panasonic Hearing Instruments Co., Ltd.(パナソニック補聴器株式会社)

パナソニックの子会社です。1959年にポケット型補聴器販売しました。60年以上にわたり補聴器を手掛けています。

パナソニックについて

パナソニックは、1917年に松下幸之助氏によって設立された日本を代表する電機メーカーです。松下電工や三洋電機と統合し、総合電機メーカーとして世界的なプレゼンスを有します。アプライアンス(家電、空調、AV機器、累計2000億個を売り上げた約90年の歴史を持つ電池等)、オートモーティブ(蓄電池、音響機器等)、インダストリアル(電池やモーター等)、ライフソリューション(照明や水まわり等)、コネクティッドソリューションズ(フライトエンターテイメント、航空機向け電子機器、監視カメラ等)といった事業部制に特徴がありましたが、2022年にパナソニックホールディングスを設立し、事業部はホールディング傘下の独立した子会社となりました。さらに詳しく

参照したデータの詳細情報について


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