ホームセキュリティや警備会社の世界市場シェアの分析

ホームセキュリティや警備業界の世界シェア、業界ランキングや市場規模について分析をしています。アライドユニバーサル、セキュリタ、ADT、セコム、プロセグルといった主要警備会社の概要や動向も掲載しています。

【警備業界とは】

警備業の種類は多岐に渡り、代表的なものとしては以下が挙げられます。

1)ビルやマンションなど施設の警備:商業施設、学校、病院なども含まれ、巡回や監視カメラの確認を行う
2)交通誘導:工事現場等に立って車の誘導等を行う
3)金融機関の警備:銀行のATM回収等の現金輸送車に立ち会う
4)身辺警備:ボディーガードとして身の回りの安全を守る

その他には航空・海上警備、電力・通信施設の警備、イベントなどでの雑踏警備もあります。これらの業務は警備会社にアウトソーシングされるのが一般的です。

また、住宅や家族の安全を守るために導入される警備システムやサービスのことをホームセキュリティと言い、防犯カメラ、センサー、アラームシステムなどがあります。

近年では防犯のみならず防災・救急へのニーズが高まっており、災害対策や高齢者の見守りサービスなど、警備会社の業務は広がりを見せています。

【市場シェア】

警備会社の2023年度の売上高⇒参照したデータの詳細情報を分子に、後述する市場規模を分母にして、2023年の警備業界の世界市場シェアを簡易に算出すると、1位は英米連合のアライドユニバーサル、2位はセキュリタ、3位はADTとなります。

警備業界の市場シェア(2023年)

順位 会社名 市場シェア
1位 Allied Universal アライドユニバーサル 13.27%
2位 Securitas AB セキュリタ 9.53%
3位 ADT Corporation ADT 3.20%
4位 Secom セコム 3.00%
5位 Prosegur プロセグル 2.94%
6位 Sohgo Security Services Co., Ltd 綜合警備保障 1.87%
7位 Garda World Security Corporation ガーダ・ワールド・セキュリティ 1.71%
8位 Security and Intelligence Services India SIS 0.79%
警備業界の市場シェアと業界ランキング ©2024 Deallab

警備業界の世界シェア(2023年)©2024 Deallab

スウェーデンのベリシュアや米国のヴィヴィントも大手警備会社ですが、非上場会社で売上高を公表していないため、ランキングから除外しています。

世界1位は、米国のアライドユニバーサルです。2021年、2トップ警備会社の1つ英国のG4Sを買収したことで一躍シェアトップに躍り出ました。

2位はスウェーデンのセキュリタスです。G4Sに並ぶシェアを誇っていましたが、アライドユニバーサルの買収劇により2位に陥落しました。

3位は北米・カナダのADTです。2016年投資会社のアポロに買収されました。ランキング上位に入っているのは欧米企業が多い他、インド系企業も2社ランクインしています。

また、日系企業としてはセコムと綜合警備保障がランキングに入っています。セコムはホームセキュリティ、綜合警備保障(ALSOKブランド)は金融機関の警備に強みを持っています。

【市場規模】

当サイトでは、2023年の警備業界の市場規模を1556.3億ドルとしております。参照にしたデータは以下の通りです。

調査会社プレセデンスリサーチによると、2023年の同業界の市場規模は1556.3億ドルです。2024年から2034年にかけて年平均8.07%での成長を見込み、同年には3661.8億ドルに達すると予測しています。⇒参照したデータの詳細情報

推定市場規模 成長率
2023年 1,556億ドル
2034年 3,661億ドル 8.07%
警備業界の世界市場規模の推移 ©2024 Deallab

警備業界の市場規模の予想成長推移 ©2024 Deallab

【M&Aの概要】

投資ファンドが警備会社大手を買収する動きが続きます。2021年にはファンド傘下にある業界3位のアライドユニバーサルが業界1位のG4Sを買収し、業界の断トツの1位となりました。売上マルチプルは0.8~8倍とバラツキが大きいのも特徴です。

2022年 アライドユニバーサルがAttentiを買収
2021年 アライドユニバーサルがG4Sを38億ポンド(52.8億ドル)で買収
2016年 アポログローバルマネジメントがADTを69億ドルで買収
2015年 投資会社のウォーバーグピンカスがアライドユニバーサルを買収
2022年 投資会社のBlackstoneがヴィヴィント・スマート・ホームを28億ドルで買収

警備業界のM&Aマルチプル(売上高倍率)の分析 ©2024 Deallab

さらに業界に詳しくなるためのお薦め書籍

警備業の分析視角
世界のどこにもない会社を創る!―セコム創業者の痛快な起業人生
警備業40年の闘い

【会社の概要】

Allied Universal(アライドユニバーサル)

投資ファンドのウォーバーグピンカス傘下にある北米大手の民間警備会社です。2016年にAlliedBartonとUniversal Services of Americaが経営統合して誕生しました。企業の所有する建物・工場等に警備員を派遣しています。2018年にUS Security Associatesを買収しています。2021年にイギリスの同業大手であるG4Sを買収しました。

G4S plc (Group 4 Securicor、グループフォーセキュリコー)について

イギリスのいわゆるPMSCs(Private Military and Security Companies)民間軍事・警備会社です。125ヶ国に展開する世界最大の警備保障会社です。政府からの受注が多いことが特徴です。2004年に英警備会社セキュリコー(Securicor)と合併しました。2021年にアライドユニバーサルが買収しました。

Securitas AB(セキュリタ)

スウェーデンを代表する大手民間警備会社です。欧州を中心に世界53ヶ国で展開し、ナスダックOMX市場に上場しています。企業からの受託が多い点が特徴です。

ADT Corporation

ADT社は北米及びカナダにおける民間警備会社最大手です。1997年にTyco International(タイコ)に買収されますが、ホームセキュリティ大手のBroadview Securityを防弾装甲車メーカー大手のBrink’s Companyを買収し、2012年NYSEに上場を果たしました。35ヶ国でサービスを展開しています。2016年にアポログローバルマネジメントが買収し、同ファンドのポートフォリオカンパニーである米大手民間セキュリティ会社のProtection One(プロテクションワン)と統合しました。

セコム(Secom)

1962年に飯田亮氏によって設立された日本におけるホームセキュリティ・警備保証のガリバーです。海外にSECOM方式が根付くか挑戦をしております。集配金・現金警備に強いアサヒセキュリティを豊田自動織機から買収しています。

Prosegur SA Security Company(プロセグルSA)

1976年にHerberto Gut氏によって設立されたスペインを本拠にする警備会社です。マドリッド証券取引所に上場しています。

綜合警備保障

1965年に設立された警備会社です。金融機関の警備に強みがあります。ALSOKブランドで展開しています。

Garda World Security Corporation(ガーダ・ワールド・セキュリティ)

カナダに本拠を置く大手民間警備会社です。現金輸送、空港セキュリティ等を行なっています。2012年に経営陣がMBOをし、Apax Partners傘下を経てRhône Capital傘下となっております。

Security and Intelligence Services India Limited(SIS)

インド大手の民間警備会社です。ビル、商業施設等に警備員を派遣しています。施設管理や現金輸送サービスも手がけています。

Verisure(ベリシュア)

スウェーデンに本拠を置く大手セキュリティサービス会社です。Securitas Direct(セキュリタス・ダイレクト)の名称でも知られています。スウェーデンの警備大手セキュリタスABの家庭用警備事業が分社化して誕生しました。2011年にPEファンドのべインキャピタルが買収し、その後、ヘルマン&フリードマンが支配株主となりました。

Vivint Smart Home(ヴィヴィント・スマート・ホーム)

北米大手ホームセキュリティ会社です。太陽光エネルギー分野にも進出しました。2012年にPEファンドのBlackstone Groupに買収され、2019年にソフトバンクのビジョンファンドも出資する上場買収ビークルと合併することで上場を果たしました。

参照したデータの詳細情報について


コンテンツの残りを閲覧するにはログインが必要です。既に会員の方はログインすると閲覧できます。まだ会員登録がお済みでない方は、こちらから会員登録ができます。

シェアをする

  • facebook
  • hatebu
  • linkedin
  • line
EN