銅生産、銅鉱山開発会社の世界市場シェア、世界の銅採掘量の市場規模について分析をしています。コデルコ、フリーポートフリーポート・マクモラン、BHPグループ、グレンコア、サザンコッパー、アントファガスタといった世界大手の銅鉱山開発会社の概要についても掲載しています。
【銅の用途】
銅の用途としては、建材、電子機器、輸送機器、消費者向け製品、機械類、硬貨などが挙げられます。建材の代表例としてはドアノブが挙げられ、抗菌性が高い銅の性能が生かされています。水道管も耐腐性の強さから銅が用いられます。電子機器は電気伝導性が優れていることから、配線や電線等に使われています。船のスクリューや消費者向けの製品としては鍋でも銅が使われています。
さらに銅業界に詳しくなるためのお薦め書籍と業界団体と関連サイト
書籍
関連サイト
アルミニウム業界の世界市場シェアの分析
ニッケル生産会社の世界市場シェアと市場規模の分析
銅関連の主要業界団体
国際銅研究会:銅の世界生産量等の統計がまとめられています。
一般社団法人日本銅センター:銅の特性等についてまとめられています。
国際銅協会(ICA)
【銅鉱山開発や銅採掘業界の世界市場シェア+ランキング】
2022年度の銅鉱山・生産会社の採掘量⇒参照したデータの詳細情報を分子に、後述する銅の市場規模を分母に銅会社の生産・採掘量の2022年の世界市場シェアを計算しますと、1位はフリーポート・マクモランの8.68%、2位は2021年に3位だったBHPグループの7.15%、3位は2021年に2位だったコデルコの7.06%となります。
銅の世界シェア(2022年)
順位 | 会社名 | 市場シェア |
---|---|---|
1位 | Freeport-McMoRan(フリーポート・マクモラン) | 8.68% |
2位 | BHP Group Limited & Plc(BHPグループ、旧BHPビリトン) | 7.15% |
3位 | Corporacion Nacional del Cobre de Chile(コデルコ) | 7.06% |
4位 | Glencore(グレンコア) | 4.81% |
5位 | Grupo Mexico(グルポ・メヒコ) | 4.58% |
6位 | Zijin Mining(紫金鉱業) | 3.99% |
7位 | First Quantum(ファースト・クオンタム) | 3.53% |
8位 | KGHM | 3.33% |
9位 | Anglo American(アングロ・アメリカン) | 3.02% |
10位 | Antofagasta(アントファガスタ) | 2.94% |
11位 | Rio Tinto(リオティント) | 2.37% |
12位 | Compañía de Minas Buenaventura S.A.A(コンパニア・デ・ミナス・ブエナベンチュラ) | 2.22% |
13位 | Norilsk Nickel(ノリリスク・ニッケル) | 1.97% |
14位 | Ivanhoe Mines(アイヴァンホー・マインズ) | 1.52% |
15位 | Vale(ヴァーレ) | 1.15% |
16位 | Barrick Gold Corporation(バリック・ゴールド・コーポレーション) | 0.91% |
17位 | Newcrest Mining(ニュークレスト・マイニング) | 0.55% |
チリの鉱山会社は2022年、鉱石品位の低下と、ストライキや抗議行動により生産量が低下した会社もありますが、コデルコはTOP3に君臨しています。2022年はメキシコに本拠を置くグルポ・メヒコが5位に、中国に本拠を置く紫金鉱業が6位に新たにランクインしました。
【世界の銅の採掘・生産量世界市場規模】
当サイトでは、2022年の銅の採掘・生産量ベースの世界市場規模を2190万トンとしております。参照にした統計データは以下の通りです。
調査会社のスタティスタによると、世界の銅生産量は過去10年間着実に伸びており、2010年の1,600万トンだった生産量が、2022年には2190万トンになり、2023年には2200万トンまで増加すると予想しております。⇒参照したデータの詳細情報
年 | 年間生産・採掘量 | 前年成長率 |
---|---|---|
2022年 | 2190万トン | |
2023年 | 2200万トン | 0.46% |
【最近の銅価格の推移】
2022年
中国でのロックダウンの影響もあり、2022年前半は銅価格は軟調に推移しました。
7月中旬には、1ポンドあたり3.9ドル超まで上昇し、4月下旬以来の高値をつけました。
再生可能エネルギーへの移行に不可欠な金属ですが、世界的な供給量の減少が銅不足の到来を予感させています。
2020年~2021年
コロナ禍の第一波である2020年4月頃に急落しましたが、各国の金融緩和政策もあり2021年にかけて上昇しています。
【M&Aの動向】
2014年 ファースト・クオンタム・ミネラルズ社がルミナ・カッパー社を買収
2022年 ルミネックス社がコデルコからチャラポ鉱区を取得
2022年 リオ・ティント社がTurquoise Hill Resources Ltdを買収
2023年 グレンコアはメタルズ・アクイジション・コーポレーションへコバール鉱山を売却
2023年 ファースト・クオンタム・ミネラルズが、バリック・ゴールドからの非公式買収提案を拒否
2023年 アングロ・アメリカンと江西銅業が銅事業で協力する覚書に調印
【会社の概要】
Freeport-McMoRan(フリーポート・マクモラン)
Freeport-McMoRan(フリーポートマクモラン)は、1987年に設立された世界最大級の米国の銅・モリブデン採掘・製錬会社です。2006年に同業のフェルプス・ドッジを買収しました。銅鉱山では米国アリゾナ州のMorenci(モレンシー)、ペルーのCerro Verde(セロ・ベルデ)、インドネシアのGrasberg(グラスバーグ)鉱山を運営しています。コンゴ民主共和国が保有していたコバルト権益は中国企業のチャイナモリブデンへ売却しました。さらに詳しく
BHP Group Limited & Plc(BHPグループ、旧BHPビリトン)
BHP(ビーエイチピー、BHP)は、世界最大の鉱業会社です。2001年に豪ブロークンヒル・プロプライエタリー・カンパニー(Broken Hill Proprietary Company Limited、BHP) と英ビリトン(Billiton plc) の統合により誕生しました。2018年にBHPビリトン(BHP Billiton)からBHPグループへと改称しています。合併後もロンドンとオーストラリアの2つの株式市場に上場するdual-listed companyとして存在しています。
銅、鉄、石炭、石油、ニッケル、ボーキサイト等の鉱石の生産に携わっています。豪州のOlympic Dam鉱山でウランの生産・開発を行っています。ダイヤモンドも手掛けていましたが、2012年にドミニオンダイヤモンドに事業を売却しました。銅鉱山では世界最大規模の生産量を誇るチリのEscondida(エスコンディーダ)を保有しています。ニッケルは、ウェスト・オーストラリア鉱床が、世界最大級の良質なニッケルブリケットやパウダーを生産しています。ウェスト・オーストラリア鉱床においては、Mount Keith(キース山)が、良質なニッケル鉱山です。
Corporacion Nacional del Cobre de Chile(Codelco、コデルコ)
CodelcoとはCorporacion Nacional del Cobre de Chileの略です。チリ銅公社です。
世界最大級の銅メジャーでもあり、公社の名の通りチリに本拠を置く国営銅会社です。モリブデンの生産も大手です。英資源大手アングロ・アメリカンの子会社でチリの銅鉱山運営会社アングロ・アメリカン・スールの株式をめぐり、三菱商事・アングロ・アメリカン連合とコデルコ・三井物産連合で対立した経緯もあります。銅鉱山ではチリのEl Teniente(エル・テニエンテ)等を運営しています。
Glencore(グレンコア)
グレンコア(Glencore)はスイスに本拠を置く資源商社です。1974年にスイスのトレーダーであるマーク・リッチによって設立されました。2012年にカナダの穀物流通大手バイテラを、2013年には資源メジャーであるエクストラータを買収しています。亜鉛、原料炭、一般炭、銅、コバルト、ニッケルなどの採掘やエネルギー及び穀物トレーディングが事業の柱となっています。トレーディング機能と上流権益の開発機能をあわせもつ資源メジャーとも言えます。2017年1月に穀物トレーディング部門をグレンコア・アグリカルチャーとして分社化し、バイテラへと社名変更しました。さらに詳しく
Grupo Mexico(グルポ・メヒコ)
メキシコ、メキシコシティに本社を置くグルポ・メヒコは、1978年設立、鉱業・運輸・インフラの各部門で構成されるコングロマリットです。メキシコ証券取引所に上場しており、鉱業部門は、メキシコで有数の銅生産者であり、銅生産大手サザンコッパー(SCCO)の株式を89%所有、またメキシコのトップ鉄道を所有するグルポメヒコトランスポートの70%を所有しています。
Zijin Mining(紫金鉱業)
中国の大手金属生産会社で、紫金山銅・金鉱山と蜀光金・銅鉱山を所有しています。中国政府に対し、銅の探査から新しい銅鉱山、海外製錬所の増設まで、銅のサプライチェーン全体で活動を増やすよう求めています。
First Quantum(ファースト・クオンタム)
カナダの銅生産会社の大手です。ロンドン証券取引所に上場しています。ザンビアで手がけるKansanshi鉱山(銅、金)、トルコのÇayeli鉱山(銅、亜鉛)、モーリタニアのGuelb Moghrein鉱山(銅、金)、オーストラリアのレーベンズソープ(Ravensthorpe)鉱山(酸化ニッケル)、フィンランドのPyhäsalmi鉱山(銅、亜鉛)、パナマのコブレパナマ(Cobre Panama)鉱山(銅)があります。
KGHM
KGHM Polska Miedz(KGHMポルスカ)はポーランドの銀・銅生産会社です。ロンドン証券取引所に上場しています。
Anglo American(アングロ・アメリカン)
アングロ・アメリカン(Anglo American)は英大手資源会社です。ロンドン証券取引所に上場しています。銅鉱山ではLos Bronce(ロスブロンセ)鉱山等を運営しています。ニッケルは、ブラジルのBarro Alto(バーホ・アウト)が主要鉱山です。ダイヤモンドのデビアスを傘下に保有しています。金、プラチナにも強みを持ちます。石炭でも原料炭を中心に優良アセットを保有しております。
Antofagasta(アントファガスタ)
Antofagasta(アントファガスタ)はイギリスに本拠を置く銅生産大手です。チリでインフラ事業等を手掛けるLuksic Group(ルクシック・グループ)の1社であり、アンドロニコ・ルクシック氏を祖とするLuksic家がAntofagastaの株式65%を所有しています。ロンドン証券取引所に上場しています。Los Pelambres(ロス・ペランブレス)等の銅鉱山を運営しています。モリブデンも採掘します。
Rio Tinto(リオティント)
Rio Tinto(リオティント)は、世界最大級の鉱業会社です。1995年に英国RTZ と豪CRA が統合して誕生しました。経営統合の経緯から、現在でもロンドンとシドニーの両証券取引所に上場をしています。鉄鉱石やアルミに強みを持ちます。アルミニウムは2007年に買収したリオ・ティント・アルキャンを通じて展開しています。石炭は豪州を中心に注力していましたが、2017年にCoal Allied Industrialをヤンコールへ、2018年にHail Creek炭田をグレンコア、Kestrel炭田をAdaroエナジーなどへ売却して撤退しました。ダイヤモンドにも強みを持ちます。ジンバブエのムロワダイヤモンド鉱山やカナダの鉱山での生産を行っています。
Compañía de Minas Buenaventura S.A.A(コンパニア・デ・ミナス・ブエナベンチュラ)
ペルーに本拠を置く探鉱、開発、建設、採掘事業の経験を持つ貴金属生産会社です。1953年にフアンカベリカのジュルカニ鉱山を買収して活動を開始し、1996年には、ラテンアメリカの鉱山会社として初めてニューヨーク証券取引所に上場しました。
Norilsk Nickel(ノリリスク・ニッケル)
1993年創立、ロシア・モスクワに本拠を置く非鉄金属生産企業です。ニッケル・パラジウムの生産において世界最大手であり、銅の生産でも大手になります。NASDAQとRTS株式市場に上場しています。
Ivanhoe Mines(アイヴァンホー・マインズ)
カナダを拠点とする採掘、開発、探鉱会社です。主にアフリカに所在する所有権からの鉱物や貴金属の探査・開発・探査に焦点を当てています。2019年にはZijin Mining Group Co., Ltd.とカモア・カクラでの商業生産開始に向けて独立経営チームの結成を発表しました。
Vale(ヴァーレ)
Vale(ヴァーレ)は、世界最大手のブラジル資源大手です。資源メジャーの1角です。主力商品は鉄鉱石ですが、ニッケルも大手の一角です。カナダのインコ(Inco)社から2006年に180億ドルで買収をしたオンタリオ州のSudbury(サドバリー) Mine、Voisey’s Bay(ボイジーズ・ベイ)をはじめとして、住友金属鉱山も参画しているインドネシアのSorowako(ソロワコ)、ニューカレドニアのVNC-Goro、ブラジルのOnca Puma(オンサ・プーマ)、カナダのThompson(トンプソン)が主要ニッケル鉱山となっています。マンガン、ボーキサイト、アルミニウム、銅、石炭、コバルト、貴金属の鉱山も手掛けています。コバルトは、カナダのSudbury、Voisey‘s Bay、ニューカレドニアで採掘をしています。三井物産との関係が深いことでも有名です。
Barrick Gold Corporation(バリック・ゴールド・コーポレーション)
カナダのトロントを本拠地とする世界最大の金採掘会社です。現在は、パプアニューギニア、米国、カナダ、ドミニカ共和国、オーストラリア、ペルー、チリ、ロシア、南アフリカ、パキスタン、コロンビア、アルゼンチン、タンザニアで採掘と試掘プロジェクトを実施しております。株式はトロント株式市場とニューヨーク株式市場で取引されています。
Newcrest Mining(ニュークレスト・マイニング)
オーストラリアに本拠を置く鉱業会社です。金および泡浮遊選鉱製品である金銅精鉱の探査、開発、採掘、販売に従事する企業です。同社はオーストラリア有数の金採掘会社であり、その事業はインドネシアなどオーストラリアを越えて拡大し、著名な国際鉱山企業となっています。
Southern Copper(サザンコッパー)
1952年に設立された資源大手です。メキシコのコングロマリットであるGrupo Méxicoのグループ会社です。世界最大級の銅・モリブデン・銀生産企業です。ペルーの Cuajone(クアジョーネ)鉱山とトケパラ(Toquepala)鉱山やメキシコのCananea(カナネア)鉱山が有名です。
Kazakhmys(カザフミス)
Kazakhmysはロンドン証券取引所に上場する銅資源大手です。カザフスタンに銅鉱山を保有しています。
Hudbay(ハッドベイ)
カナダの資源大手です。銅も生産しています。
中国の銅生産大手
江西銅業や銅陵有色が大手の銅製錬企業です。
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