電話・移動体通信・テレコム業界の世界市場シェアの分析

通信業界(電話会社、携帯電話キャリア、移動体通信、テレコムセクターなど)の世界市場シェアと市場規模について分析をしています。AT&T、ベライゾン、NTT、KDDI、ソフトバンク、チャイナモバイル、ボーダフォン、アメリカモビル、テレフォニカといった主要通信キャリア概略も掲載しています。

【市場シェア】

通信サービス会社の2023年度の売上高⇒参照したデータの詳細情報を分子に、後述する市場規模を分母にして、2023年の通信業界の世界市場シェアを簡易に算出すると、1位はベライゾン、2位はAT&T、3位はチャイナ・モバイルとなります。

通信業界の世界市場シェア(2023年度)

順位 Company name
(English)
会社名 市場シェア
1位 Verizon ベライゾン 7.11%
2位 AT&T Inc. エーティーアンドティー 6.95%
3位 China Mobile チャイナ・モバイル 6.93%
4位 Deutsche Telekom ドイツテレコム 5.51%
5位 NTT 日本電信電話株式会社 4.06%
6位 China Telecom チャイナ・テレコム 4.05%
7位 Vodafone Group ボーダフォン 3.40%
8位 America Movil アメリカ・モビル 2.98%
9位 China United Network Communications Group Co., Ltd. チャイナ・ユニコム 2.81%
10位 Orange S.A. オランジュ 2.78%
11位 Telefonica テレフォニカ 2.47%
12位 KDDI CORPORATION KDDI株式会社 2.31%
13位 Bharti Airtel バーティ・エアテル 1.62%
14位 Etisalat エティサラート 1.29%
15位 mobile telecommunications Network MTN 1.23%
16位 BT 旧ブリティッシュテレコム 1.00%
17位 SoftBank Corp ソフトバンク株式会社 0.83%
18位 Liberty Global Holdings Limited リバティ 0.60%
19位 Telenor ASA テレノール 0.58%
20位 Telecom Italia Mobile イタリアテレコム 0.45%
2023年の通信業界の世界シェア ©2024 Deallab

通信業界の世界シェア(2023年) ©2024 Deallab

ベライゾンが世界1位となりました。ベライゾンの主力は携帯事業のベライゾン・ワイヤレスとなります。AT&Tと同様にヤフーやAOL事業を買収し、通信とメディアの融合を目指しましたが、2021年に売却を発表しました。

AT&Tが2位です。AT&Tは通信事業への回帰を図っています。2014年にディレクTVを買収、2016年にはメディア大手のタイムワーナーの買収を実施し、通信とメディアの融合を目指しましたが、ディレクTVは投資ファンドへ売却、ワーナーメディアはディスカバリーとの経営統合しました。

3位には、中国最大の携帯電話会社のチャイナモバイルが入っています。チャイナモバイルは加入者数では世界1位です。

5位は日本のNTTグループです。NTTドコモを完全子会社化し通信事業を強化しています。

携帯電話会社の加入者数ベースでは、チャイナ・モバイル、グローバル展開で先行したイギリスのボーダフォン、インドのバーティが上位になっています。加入者ベースでは、人口が多い国の携帯キャリアが世界シェアの上位にくる傾向があります。日本勢は加入者数ではトップ10から脱落しています。また人口数がKPIとなるため、先進国の携帯キャリアも加入者数ベースでは劣勢です。

【市場規模】

当サイトでは、2023年の通信業界の市場規模を2.18兆ドルとしております。参照した統計や調査データは以下の通りです。

調査会社プレスデンス・リサーチによると、2023年の同業界の市場規模は2.18兆ドルです。2024年には2.32兆ドルに達し、2034年にかけて年平均6.15%で成長し、同年には4.21兆ドルへと拡大する見込みです。

5Gネットワークの拡充やクラウドベースのデータサービス(ビデオストリーミング、ビデオ通信など)への強い需要を背景に、今後も成長が見込まれる市場です。

市場規模 成長率見込み
2023年 2.18兆ドル
2024年 2.32兆ドル 6.42%
2034年 4.21兆ドル 6.15%
通信業界の推定市場規模 ©2024 Deallab

電話・移動体通信・テレコム業界の市場規模の予想成長推移 ©2024 Deallab

【M&Aの動向】

通信とメディアの融合、地域を超えての世界展開、5Gへの対応を含めた通信回線の質やスピード向上といった設備投資という3つの要素が絡み合い、業界再編が頻発している業界です。

2012年 ソフトバンクがスプリントを買収
2015年 リバティがケーブル&ワイヤレスを買収
2016年 AT&Tがタイムワーナーを買収
2018年 ソフトバンク傘下のスプリントとドイツテレコム傘下のT-Mobileが経営統合
2019年 ボーダフォンがLiberty Globalのヨーロッパでの一部事業を買収
2020年 NTTがNTTドコモを買収
2020年 リバティがサンライズコミュニケーションを買収
2021年 AT&Tがワーナーメディアを売却
2021年 AT&TがディレクTVを売却
2023年 KDDIがカナダのAllied Propertiesのデータセンター事業を買収
2024年 ベライゾンが光ファイバー事業の強化のためにフロンティアを買収
2024年 ドイツテレコムがT Mobile USを買収

通信業界のM&Aマルチプル(売上高倍率)
通信業界のM&Aマルチプル(売上高倍率)

【会社の概要】

Verizon(ベライゾン)

米国最大級の通信キャリアです。ベル・アトランティックが前身です。VodafoneとのJV解消に伴う取引で親会社のVerizon Wireless(ベライゾン・ワイヤレス)を完全子会社化しました。2021年にYahoo、TechCrunch、EngadgetやAOL等のメディアサイトと広告の運営会社であるVerizonMediaを、アポロに50億ドルで売却しました。

AT&T

AT&Tは米国最大級の通信メディア会社です。電話を開発したグラハム・ベルによって設立された世界初の電話会社の流れをくみます。長距離と地域電話会社(ベビーベル)への分割後、ベビーベルの1社のSBCコミュニケーションがAT&Tを買収し、AT&Tへと改めて社名を変更しました。携帯、固定電話、ブロードバンドといった通信事業を展開しています。ルーセントテクノロジーやリバティメディア等はもともとAT&Tより派生した会社群です。2014年に衛星通信テレビDirecTVを、2016年にタイムワーナーを買収しメディア事業を強化していますが、5Gの免許料や設備投資が重く、2020年にDirecTVを売却し、2021年にワーナーメディアをディスカバリーと経営統合するとの発表をしました。さらに詳しく

China Mobile(チャイナ・モバイル、中国移动通信集団、中国)

世界最大の携帯電話キャリアです。6億人超の加入者を擁します。元々はChina Telecom(チャイナ・テレコム)の移動通信部門でした。

Deutsche Telekom(ドイツテレコム)

ドイツ最大の通信キャリアです。携帯キャリアはT-Mobile(ティーモバイル)で展開しています。Telekomといえばドイツテレコムを指す。2020年にソフトバンクから米国の通信会社であるスプリントを買収しました。

NTT(日本電信電話株式会社)

NTTは1952年に日本電信電話公社として設立された国策通信キャリアです。1985年にNTTとして民営化されました。数度の再編を経て、現在は固定通信のNTT東西、モバイル通信のNTTドコモ、データサービスのNTTデータ&NTT Ltd.という体制で世界的に事業を展開しています。
国内では、その出自や規制業種ということもあり、公正な競争を維持しながらの成長、一方海外ではM&Aによる巨額減損を再度発生させないような事業展開が課題となっています。通信における技術力では引続き世界最高水準を維持していると言われ、様々な柵の中で成長戦略を遂行しています。さらに詳しく

China Telecom(チャイナ・テレコム、中国电信集団、中国)

中国の固定回線最大手の通信キャリアです。China Mobile(チャイナ・モバイル)を分割後、2009年に携帯キャリア事業に参入しています。移動体通信では中国内3位です。

Vodafone Group(ボーダフォン、英)

英に本拠を置く世界最大級の固定及び携帯電話キャリアです。欧米を中心に世界展開しています。

America Movil(アメリカ・モビル、メキシコ)

世界有数の富豪であるCarlos Slim(カルロススリム)率いる固定及び携帯電話キャリアです。中南米で圧倒的な地位を占めています。

China Unicom(チャイナ・ユニコム、中国联通、中国)

1994年創業の中国第2位の国営固定及び携帯電話キャリアです。

Orange Group(オランジュ、仏)

仏最大手の通信キャリアです。旧国営のフランス・テレコムグループ傘下ですが、フランステレコムはオレンジブランドを統一ブランドとして利用しています。

Telefonica(テレフォニカ、スペイン)

スペインに本拠を置く固定及び通信会社です。南米のスペイン語圏を中心に世界展開しています。

KDDI CORPORATION(KDDI株式会社)

NTTと並ぶ通信キャリアの双璧です。データセンター事業は、1989年よりテレハウスブランドで欧州を中心に展開しています。

Bharti Airtel(バーティ・エアテル、印)

インド最大手の通信キャリアです。ボンベイ証券取引所に上場しています。

Etisalat(エティサラート、エミレーツ・テレコミュニケーションズ・コーポレーション)

アラブ首長国連邦に本拠を置く携帯キャリアです。アラブ圏を中心に事業を展開しています。

Mtn Group(mobile telecommunications Netork、南ア)

南アに本拠を置き、アフリカ・中東にて通信事業を展開する大手通信キャリアです。

BT(旧ブリティッシュテレコム)

1846年に設立されたイギリスに本社を置く電気通信事業者です。1991年まで社名がブリティッシュ・テレコミュニケーションズでしたが、現在はBTグループに変更されています。

Softbank(ソフトバンク株式会社)

日本の大手通信キャリアです。ボーダフォンより日本事業を買収し成長しました。米第3位の携帯キャリア会社であるスプリントを2013年に買収しましたが、2019年にドイツテレコム傘下のTモバイルへと経営統合しています。

Liberty Global Holdings(リバティ)

イギリスに本社を置く通信事業会社です。過去に日本でも事業を行っていましたが、現在はヨーロッパの5か国のみで事業を展開しています。

Telenor ASA(テレノール、ノルウェー)

ノルウェー国営の通信キャリアです。オスロ証券取引所に上場しています。

Telecom Italia Mobile(テレコム・イタリア、伊)

通信大手のTelecom Italia傘下の伊最大の携帯キャリア会社です。TIM(Telecom Italia Mobile、テレコム・イタリア・モービレ)のブランドでイタリア・ブラジル(TIM Brasil)で携帯事業を展開しています。テレビ、音楽、ゲーム等のエンターテイメントコンテンツの配信サービスも手掛けています。国際キャリアはSparkleブランドで展開しています。

VEON(旧ヴィンペルコム株式会社)

ロシアの通信会社Altimo(アルティモ)とノルウェーの携帯キャリアであるTelenor(テレノール)との合弁会社です。旧ソ連圏に強みを持ちます。

参照したデータの詳細情報について


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