インフィニオンの市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析

Infineon Technologies(インフィニオンテクノロジーズ)は、シーメンスの半導体部門が独立して誕生したドイツに本拠を置く半導体大手です。DRAMメモリー事業からは撤退し、現在はSi、SiC、GaNベースのパワー半導体製品に注力しています。オートモーティブ、インダストリアル パワーコントロール、パワー&センサー、デジタル セキュリティソリューションといった領域でパワー半導体事業を展開しています。

業績推移(年次)

2019年度
売上高は8,029百万ユーロで、前年度比6%増となりました。営業利益は1,161百万ユーロになりました。営業利益率は14%になりました。

2020年度
売上高は8,567百万ユーロで、前年度比7%増となりました。営業利益は581百万ユーロになりました。営業利益率は7%になりました。売上増の要因は Cypress Semiconductor Corporation を買収したことによるもので、この買収がなければ売上は減少していました。

2021年度
売上高は11,060百万ユーロで、前年度比29%増となりました。営業利益は1,470百万ユーロになりました。営業利益率は13%になりました。半導体に対する引き続き高い需要とそれに関連する製造能力の拡大を背景に売上が増加し、その結果、生産量と価格のプラス効果が利益の増加をもたらしました。

2022年度
売上高は14,218百万ユーロで、前年度比29%増となりました。営業利益は2,845百万ユーロになりました。営業利益率は20%になりました。売上の増加分の半分以上は、半導体に対する高い需要と利用可能な製造能力の増加を背景に生産量が増加した為です。利益の増加の主な要因は販売量の増加で、価格設定、製品構成、為替レートもプラスの影響を及ぼしました。

2023年度
売上高は16,309百万ユーロで、前年度比15%増となりました。営業利益は3,948百万ユーロになりました。営業利益率は24%になりました。売上高の伸びの約半分は価格上昇によるもので、残りの半分は販売量の増加と製品構成の調整によるものです。 自動車および再生可能エネルギー分野における半導体に対する高レベルの需要が続いていることが、売上高にプラスの影響を及ぼしました。利益の増加は、価格の上昇、生産量の増加、製品構成の改善によるものです。

インフィニオンテクノロジーズの業績推移
インフィニオンテクノロジーズの業績推移

業績推移(四半期)

2023年第1四半期(10ー12月)
売上高は3,951百万ユーロになりました。営業利益は966百万ユーロ、営業利益率は24%になりました。

2023年第2四半期(1ー3月)
売上高は4,119百万ユーロになりました。営業利益は1,073百万ユーロ、営業利益率は26%になりました。

2023年第3四半期(4ー6月)
売上高は4,089百万ユーロになりました。営業利益は996百万ユーロ、営業利益率は24%になりました。

2023年第4四半期(7ー9月)
売上高は4,149百万ユーロになりました。営業利益は912百万ユーロ、営業利益率は22%になりました。

2024年第1四半期(10ー12月)
売上高は3,702百万ユーロになりました。営業利益は702百万ユーロ、営業利益率は19%になりました。

インフィニオンテクノロジーズの四半期業績推移
インフィニオンテクノロジーズの四半期業績推移

EPS・配当額・配当性向の推移

希薄化後EPSは前年度比44%増の2.38ユーロになりました。1株当たりの配当は前年度比9%増の0.35ユーロになりました。配当性向は15%になりました。

インフィニオンテクノロジーズのEPS・配当額・配当性向の推移
インフィニオンテクノロジーズのEPS・配当額・配当性向の推移

業績予想

2024年2月
2024年度第一四半期のレポートにて、2024年度通期の売上は16,000百万±500百万ユーロ、粗利率は45%前後を予定していると掲載されています。

売上構成

セグメントは、車載、インダストリアルパワー、パワー&センサー、通信に分類されます。セグメント別の売り上げ構成は以下の通りです。

インフィニオンテクノロジーズの売上構成(2023年度)
インフィニオンテクノロジーズの売上構成(2023年度)

車載
パワートレイン用32ビット車載マイクロコントローラ、安全性、運転支援システム、インフォテイメントおよびデジタル表示システム、3次元ToFセンサー、ディスクリートパワー半導体、IGBTモジュール、産業用マイクロコントローラ、磁気・圧力センサ、メモリIC(NORフラッシュ、SRAM、nvSRAM、F-RAM)、パワーIC、レーダーセンサーIC (77GHz)、SiCダイオード、SiC MOSFET、SiCモジュール、
トランシーバ(CAN、CAN FD、LIN、Ethernet、FlexRay™) 、電圧レギュレータなど

主な顧客にはアプティヴ、ボルグワーナー、ボッシュ、BYD、コンチネンタル、デンソー、ヘラ、日立製作所、ヒュンダイ 、リア、マンドー、三菱電機、日本電産、ヴァレオ、ヴェオニール、ヴィテスコ、ZFなどが含まれます。

インダストリアルパワーコントロール
ベアダイ、ディスクリートIGBT、ドライバIC、IGBTモジュール(ローパワー、ミディアムパワー、ハイパワー)、IGBTスタックを含むIGBTモジュール・ソリューション、インテリジェントIGBTモジュール、コントロールユニット、ドライバ、スイッチ、SiC ダイオード、SiC MOSFET、SiC モジュールなど

パワー&センサー
3次元ToFセンサー、ガスセンサ用チップ、MEMSマイクロフォン用チップ、圧力センサー用チップ、パワースイッチ用制御IC、カスタマイズチップ(ASIC)、ディスクリート低電圧、中電圧、および高耐圧パワーMOSFET(Si系)、GaNパワースイッチ、GPS用低ノイズアンプ、低電圧・高電圧ドライバIC、レーダセンサIC(24GHz、60GHz)、RFアンテナスイッチ、RFパワートランジスタ、SiCダイオード、SiC MOSFET、TVS(過渡電圧サプレッサ)ダイオード、USBコントローラなど

通信
コネクティビティ・ソリューション(Wi-Fi、Bluetooth、BLE)、組込型セキュリティコントローラ、民生機器向けマイクロコントローラおよび産業用アプリケーション、セキュリティコントローラ(接触型、非接触型、デュアルインターフェイス)など

M&A情報

パワー半導体の製品ポートフォリオ拡充のためのM&Aを積極的に行っています。

2014年 インターナショナル・レクティファイアーを買収
2015年 アナログおよびミックスドシグナル集積回路 (IC)、回路デバイス、電源システムなどのコンポーネントを製造する International Rectifier の買収を発表
2016年 CreeのSiC事業を買収
2018年 高周波 (RF) 電力事業を Cree に売却
2019年 クラスター向け半導体などに強いサイプレス・セミコンダクターを買収
2020年 データ通信、電気通信、コンピュータ、計測システム市場で使用されるさまざまなデジタルおよびミックスドシグナル集積回路を提供する米国の半導体設計および製造会社 Cypress Semiconductor Corporation の買収を発表
2022年 半導体製品のすべてのデジタル機能の検証および設計サービスを提供する NoBug Consulting SRL (ルーマニア) および NoBug d.o.o.(セルビア) の買収を発表
2022年 自動車、産業用電力制御、電力管理、家庭用電化製品、コンピュータ、データストレージ、スイッチングデバイス、ルーターなど、さまざまな業界向けに特定用途向け集積回路 (IC) を設計、開発、製造、販売する半導体ソリューションプロバイダーである Industrial Analytics の買収を発表
2023年 スウェーデンのストックホルムに拠点を置く企業で、自動車、製造、ヘルスケア、ライフスタイルなどのさまざまな業界において人工知能 (AI) と小型機械学習 (tinyML) のイノベーションの推進に注力する Imagimob AB の買収を発表
2023年 近接認証技術を通じてアプリケーションとシステムを保護するソリューションの提供を専門とする 3db Access AG の買収を発表
2023年 カナダのオタワに拠点を置き、電気自動車、太陽光発電および風力発電、スマートグリッドスイッチング、リチウム電池管理などのクリーンテクノロジーアプリケーション向けの電力変換半導体の開発に注力する GaN Systems の買収を発表

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