FPSO(浮体式生産貯蔵積出設備)設計・エンジニアリング業界の世界市場シェアと市場規模について分析しています。SBMオフショア、三井海洋開発(MODEC)、BWオフショアといったFPSO設計会社の概要と動向も掲載しています。
【FPSOとは】
FPSOとは、Floating Production Storage and Offloading systemの略です。日本語ですと浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備となります。川崎汽船によれば、FPSOとは「洋上で原油・ガスを生産し、生産した原油をタンクに貯蔵し、直接タンカーへの積み出しを行い、生産したガスをFPSO自体のガスタービン発電プラントの燃料として使用または、パイプラインを通して陸上へ輸送する」設備です。
FPSO1隻の費用は、概ね機器費用、設計エンジニアリング費用、建造費用、係留設費用があり、大きさにもよりますが、約1000億円程度かかる巨大プロジェクトです。
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【FPSO(浮体式生産貯蔵積出設備)業界の世界市場シェア+ランキング】
FPSO設計会社の2023年度の売上高⇒参照したデータの詳細情報を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2023年のFPSO業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はSBMオフショア、2位は三井海洋開発、3位はBWオフショアとなります。
順位 | 会社名 | 市場シェア |
1位 | SBM Offshore N.V.(SBMオフショア) | 30.77% |
2位 | MODEC, INC.(三井海洋開発株式会社) | 24.27% |
3位 | BW Offshore Limited (BWオフショアリミテッド) | 4.43% |
2023年のFPSO設計・エンジニアリング業界は、例年と同様日本の三井海洋開発とオランダに本拠を置くSBMが激しく業界1位の座を争っています。
その他大手のFPSO設計会社としては、中国のCNOOC、米国のエクソンモビール、ブラジルのペトロブラスなどがありますが、FPSO単体での売上高を公表していないため、ランキングからは除外しています。
【FPSO(浮体式生産貯蔵積出設備)業界の世界市場規模】
当データベースでは、2023年のFPSOの市場規模を147億2980万ドルとしております。参照した公表統計データは次の通りです。
調査会社のThe Insight Partnersによれば、2023年のFPSO業界の市場規模は147億2980万ドルです。2031年にかけて年平均6.9%で成長し、同年には251億190万ドルに達すると予測しています。⇒参照したデータの詳細情報
【M&Aの動向】
FPSOはM&Aが少なく、FPSO大手のティーケイがユニットを売却した以外大きなM&Aは見られません。
2022年 ティーケイが最後のFPSOユニットをリサイクルヤードに売却
【会社の概要】
SBM Offshore N.V.(SBMオフショア)
オランダに本拠を置く世界最大級のFPSOの設計エンジニアリング会社です。ブラジル、マレーシア、アンゴラなどの案件を手掛けています。ユーロネクスト市場に上場しています。
MODEC, INC.(三井海洋開発株式会社)
日本を代表するFPSO設計会社です。三井E&S(旧三井造船)・三井物産が主要株主です。FPSOのプロジェクトは、ブラジル石油公社であるペトロブラス向けのブラジル深海沖が最も多くなっていますが、メキシコ、オーストラリア、ベトナムなどの案件も受注しております。
BW Offshore Limited (BWオフショアリミテッド)
1982年にBergensen(ベルゲッセン)社の事業部門として創設されたノルウェーに本拠を置くFPSO設計世界大手です。親会社のBWグループは海運大手ベルゲッセンと包玉剛率いるWorldwide Shipping Companyが合併して誕生しました。
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