EMS(電子機器などの受託生産メーカー)の世界市場シェアと市場規模について分析をしています。鴻海(フォックスコン)、ペガトロン、クアンタといった受託生産メーカーの概要や動向も掲載しています。
【EMSの役割】
EMSはエレクトリック・マニュファクチュアリング・サービスの略です。EMSメーカーは、パソコン、スマホ、家電、薄型テレビの組み立てなど、幅広い電子機器の製造を行っています。台湾企業が、中国やベトナムに製造拠点を設けて安い人件費を活用して、事業を拡大させています。
【EMS・電子機器受託生産メーカーの世界市場シェア】
EMSメーカー各社の2020年度の売上高を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2022年のEMS業界の世界シェアを簡易に試算しますと、2020年と順位変わらず1位鴻海精密工業、2位ペガストロン、3位クアンタ・コンピューターとなります。
EMSメーカーの世界市場シェアと業界ランキング(2022年)
順位 | 社名 | 世界シェア |
---|---|---|
1位 | Hon Hai Precision Industry(鴻海精密工業) | 40.78% |
2位 | Pegatron(ペガトロン) | 8.11% |
3位 | Quanta Computer(クアンタ・コンピュータ) | 7.89% |
4位 | Luxshare Precision(ルクスシェアプレシジョン) | 6.80% |
5位 | Jabil(ジェイビル) | 6.64% |
6位 | Compal Electronics(コンパルエレクトロニクス) | 6.60% |
7位 | Wistron NeWeb(ウィストロン) | 6.06% |
8位 | Flex(フレックス) | 6.02% |
9位 | BYD Electronics(BYDエレクトロニクス) | 3.40% |
10位 | Universal Scientific Industrial (Shanghai) Co., Ltd.ユニバーサル・サイエンティフィック・インダストリアル(上海) | 2.18% |
11位 | Sanmina Corporation(サンミナ) | 1.57% |
12位 | Celestica Inc(セレスティカ) | 1.44% |
【市場規模】
下記市場規模の情報も参考にしつつ、当サイトでは、2022年のEMS・電子機器受託生産メーカーの業界規模を5039.1億ドルとして、市場シェアの計算を行なっております。
調査会社フォーチュンビジネスインサイツによると、2022年のEMS業界の市場規模は5039,1億ドルです。2030年にかけて8562億ドルに達し、年平均7.0%での成長を見込んでいます。
調査会社のグローバルマーケットインサイツによれば、2022年の同業界の世界市場規模は5000億ドルです。2023年から2032年に年平均5%での成長を見込んでいます。
また調査会社のニューベンチャーリサーチによれば2022年の同市場規模は6,944億ドルです。過去5年間の平均成長率はEMS企業が8.6%と最も高く、ODM企業の成長率は4.6%とやや低かったです。
調査会社フォーチュンビジネスインサイツによると、2020年のEMS業界の市場規模は4689億ドルです。2021年には5002億ドルとなり、2028年にかけて年平均7.9%での成長を見込みます。
調査会社のグローバルマーケットインサイツによれば、2019年の同業界の世界市場規模は5000億ドルです。2020年から2026年に年平均5%での成長を見込ます。また調査会社のニューベンチャーリサーチによれば2019年の同市場規模は5550億ドルです。⇒参照したデータの詳細情報
さらに詳しく業界を理解するためのお薦め書籍
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EMSがメーカーを変える!―製造アウトソーシングで競争に勝つ
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【会社の概要】
鴻海精密工業(ホンハイ、Hon Hai)
台湾に本拠を置くEMS世界最大手です。傘下にフォックスコン・テクノロジー・グループ(Foxconn Technology Group、富士康)やシャープがあります。アップルのiPhone等の製造受託で存在感を示します。
Pegatron(ペガトロン)
台湾に本拠を置くEMS大手です。2008年にパソコンメーカーのASUS(エイスース)より分社化。拡張現実など自社製品にも近年力を入れている。
クアンタ・コンピュータ(Quanta Computer、広達電脳)
台湾に本拠を置くEMS大手です。パソコンの製造受託に強みを持ちます。
Jabil(ジェイビル)
ジェイビル(Jabil)は、James Golden氏とBill Morean氏によって1966年に設立された米国に本拠を置くEMS大手です。創業者のファーストネームが社名の由来です。デルやGM向けの生産受託で成長しました。家電や車向けの電子基盤の受託でも存在感を示します。主要顧客には、アマゾン、アップル、シスコ、ゴープロ、HP、インジェニコ、キーサイトテクノロジーズ、エリクソン、ネットアップ、ノキアネットワークが含まれ、アップルが最大顧客になっています。さらに詳しく
コンパルエレクトロニクス(Compal Electronics)
台湾に本拠を置くEMS大手です。ノートパソコンの製造受託に強みを持ちます。
Wistron NeWeb(ウィストロン)
台湾に本拠を置くEMS大手です。携帯電話等の生産受託に強みを持ちます。
Flex(フレックス)
シンガポールに本拠を置くEMS大手です。2008年に米国のEMS大手ソレクトロンを買収しEMS事業を拡大しました。Xbox、カシオやコダックのデジカメ等の製造受託をしています。携帯電話やデジタルカメラの受託生産に強みを持ちます。2015年にフレクストロニクス(Flextronics)から現社名へと社名変更しました。
GPV
デンマークに本拠を電子機器受託製造サービス大手です。投資ファンドのSchouw & Co(ソイウ)傘下にあります。
Luxshare Precision(ルクスシェア・プレシジョン・インダストリー、立訊精密工業股分有限公司)
インターネットソリューションを提供する中国を拠点とする会社である。製品には、コンピューター相互接続製品及び精密部品、自動車相互接続製品及び精密部品、通信製品及び精密部品、家電製品及びその他のコネクタが含まれます。国内市場及び海外市場において製品を販売しています。
Sanmina(サンミナ)
カリフォルニア州サンノゼに本社を置く米国の電子機器製造サービスプロバイダーであり、通信およびコンピューターハードウェア分野の相手先ブランド供給業者にサービスを提供しています。同社には80近くの製造拠点があり、プリント回路基板とバックプレーンの世界最大の独立メーカーの1つです。医療機器や通信機器関連の受託生産に強みを持ちます。
BYD Electronics(BYDエレクトロニック、比亜迪電子(国際)有限公司)
BYDエレクトロニック・インターナショナルは、モバイルインテリジェント端末コンポーネントとモジュールを製造する投資持株会社である。中国に本社を置く企業です。
Universal Scientific Ind (ユニバーサル・サイエンティフィック・インダストリアル(上海)、環鴻科技股份有限公司)
ユニバーサル・サイエンティフィック・インダストリアル(上海)有限公司は中国を拠点とする企業で、主にエレクトロニクス製品の設計・製造サービスおよびソリューションの提供に従事している。
Celestica Inc( セレスティカ)
セレスティカ はカナダのオンタリオ州トロントに本社を置く多国籍EMS企業です。世界的な製造ネットワークはアメリカ、ヨーロッパ、アジアの11か国に20以上の拠点を持ち、エンドツーエンドの製品ライフサイクル・ソリューションを提供しています。
Plexus Corporation(プレクサス)
米国に拠点を置く、大手多国籍企業から中小の新興テクノロジー企業まで、約140社の顧客にサービスを提供しています。プレクサスは収益のほとんどを米国外の顧客から得ています。
Benchmark Electronics Inc(ベンチマーク・エレクトロニクス)
ベンチマーク・エレクトロニクス社はエレクトロニクスの製造業であり、企業向けコンピュータおよび関連製品、医療機器、産業用制御機器、試験・計測機器、通信機器のオリジナルメーカーにサービスを提供しています。
Fabrinet(ファブリネット)
ケイマン諸島グランドケイマンに本社を置く、精密部品製造企業です。
Schouw & Co..(ソイウ)
ソイウは、デンマークに本拠を置くポートフォリオマネジメント会社です。主にデンマークの製造会社等に投資を行い、長期的な視点で企業価値向上策を講じることを得意とします。大きく6つの事業で構成され、傘下のBioMar社が水産養殖用飼料、Fibertex Personal Careが衛生用品向け不織布事業、Fibertex Nonwovensが工業製品用不織布の製造、HydraSpecmaが油圧部品の製造、Borg Automotiveが自動車部品の再生製造、GPVが電子機器の受託製造(EMS)を手掛けています。さらに詳しく
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