ATM・キャッシュディスペンサー業界の世界市場シェアの分析

ATM・キャッシュディスペンサー業界の世界市場シェアと市場規模について分析をしています。グローリー、ディーボールド・ニックスドルフ、ユーロネットといったATMメーカーの概要や動向も掲載しています。

【ATM・キャッシュディスペンサー業界とは】

ATM(現金自動預払機)やキャッシュディスペンサー(CD)は、金融取引の自動化を支える重要なインフラです。この業界は、銀行や金融機関に加え、コンビニなど非金融機関による設置や運用が広がり、取引の利便性を高めています。ATMは預金、引き出し、振込、残高照会といった幅広いサービスを提供し、CDは主に現金引き出しに特化しています。

近年、スマートフォン決済やキャッシュレス化の進展により、利用の減少が指摘される一方、現金需要の根強い地域や緊急時のセーフティーネットとしての役割は依然として重要です。技術面では、生体認証やAIによる不正防止が進化しており、運用コスト削減や安全性向上が図られています。また、収益源として運用サービスや広告掲載などの多角化も進展しています。

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銀行ATMの歴史: 預金者サービスの視点から
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【ATM・キャッシュディスペンサー業界の世界市場シェア】

ATM・キャッシュディスペンサー業界の2024年度の売上高⇒参照したデータの詳細情報を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2024年のATM・キャッシュディスペンサー業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はグローリー、2位はディーボールド・ニックスドルフ、3位はユーロネットとなります。

ATM・キャッシュディスペンサー業界の市場規模の成長予想 ©2025 Deallab
順位Company name
(English)
企業名(日本語)市場シェア
1位Glory Global Solutionsグローリー11.09%
2位Diebold Nixdorfディーボールド・ニックスドルフ10.92%
3位Euronetユーロネット4.59%
ATM・キャッシュディスペンサーの世界市場シェアと業界ランキング(2024年) ©2025 Deallab

1位は日本の貨幣処理・両替機大手のグローリーで、ATMメーカーではない点に留意が必要です。2位は米国のディーボールドです。ドイツのニックドルフを買収し、欧米を中心に事業を展開しています。3位はATMオペレーターのユーロネットです。グローリーと同様、ATMメーカーではない点に留意が必要です。

中国のGRGバンキングや韓国のヒョスンTNSも主要企業の1つですが、2023年の財務データが公表されていないためランキングから除外しています。また、米国のNCRはATM事業を分社化、富士通フロンテックは富士通の完全子会社化などにより、データを公表していないため、同様にランキングには含まれていません。

【市場規模】

当データベースでは、2024年のATM・キャッシュディスペンサー業界の市場規模を253億ドルとしております。

参照した各種調査データは次の通りとなります。調査会社グランドビューリサーチによると、2024年の同業界の市場規模は253億ドルです。2030年にかけて年平均3.6%で成長し、規模は316億ドルへと拡大することを見込んでいます。

市場規模年平均成長率
2024253億ドル
2030316億ドル3.6%
ATM・キャッシュディスペンサー業界の市場規模の成長予想 ©2025 Deallab

【M&Aの動向】

2016年 ディボールドがWincor Nixdorfを買収し、ディボールド・ニックスドルフが誕生

2020年 富士通が富士通フロンテックを完全子会社化

2020年 富士通フロンテックが生体認証を手がける米Fulcrum Biometricsを買収

2023年 NCRが分社化によりATM事業分離

2024年 ユーロネットがマレーシアにてPayNetからATM約800機を買収

2024年 グローリー、レボリューション・リテール・システムズLLCの買収計画を発表

【会社の概要】

GLORY LTD. (グローリー株式会社)

日本のATMメーカーです。両替機など貨幣処理機をメインに取り扱っています。さらに詳しく

Diebold Nixdorf, Incorporated(ディボールド・ニックスドルフ)

米国に本拠を置くATMメーカー大手です。2015年にドイツの同業であるWincor Nixdorf(ウィンコー・ニックスドルフ) 買収しました。同社は、シーメンスのATM事業であり、その後ゴールドマンサックス系の投資ファンドとKKRに買収され、フランクフルト市場に株式を上場しました。

 Euronet Worldwide, Inc.(ユーロネット)

米国に本拠をおくATMオペレーターです。提携している金融機関や小売店などにATMやPOSを設置し、外貨送金、外国為替決済などから収益を得ています。

NCR Corporation (NCR)

米国に本拠を置くATMメーカーの世界大手です。キャッシュレジ等の製造販売が祖業です。AT&T社傘下となった時期もありますが、現在はニューヨーク証券取引所に株式を上場しています。事業の柱は銀行向けATM関連事業と小売向けのPOSやレジシステム事業となっています。

Hyosung  TSN(ヒョスンTNS)

韓国に本拠を置くATMメーカーです。韓国の財閥のHyosungグループ傘下にあります。米国等でのATM事業に強みを持ちます。2021年にDoverコーポレーションからATMメーカーのTritonシステムズを買収しました。

Triton(トリトン)

米国に本拠を置くATM専業大手です。リース形態でATMを顧客に提供しています。

GRG Banking(GRGバンキング)

1999年に中国の広州で設立された中国政府系のATM会社です。中国においては圧倒的な存在感です。ATM、キャッシュリサイクラー、キャッシュデポジター、キャッシュソーターなどを開発製造しています。

日本勢の主要なATMメーカー

富士通フロンテック、沖電気、日立オムロンターミナルソリューションズの3社で日本国内シェアの90%を占めると言われています。グローリーは両替機など貨幣処理機がメインです。

富士通は、古河電気工業とシーメンスの合弁会社として設立された現富士電機の電話部門が1935年に分社化されて設立されました。ICT関連のハードウェアからソフトウェアを手掛けていますが、近年はITソリューションサービスへ事業ポートフォリオをシフトしています。ハードウェアではPC&サーバ、メインフレーム・スーパーコンピューター「富岳」(2012年に稼働した「京」の後継機)、ATM、通信ネットワーク機器などを開発製造しています。グループ関連会社には、富士通フロンテック、新光電気工業、FDK、富士通ゼネラルなどが含まれます。さらに詳しく

参照したデータの詳細情報について


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参照したデータは以下の通りです。リンク切れなどありましたら、お問い合わせのページからご連絡頂けますと大変有難く存じます。

noteのリンク

ATM・キャッシュディスペンサー業界の売上高ランキング

参照した市場規模の情報 ※以下のsourceは御覧いただきますタイミングにより上記市場規模と数値が異なる場合がございます。

参考にしたMarket Sizeのリンクを挿入
Grand View Research

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