ステンレス業界の世界市場シェアや市場シェアの動向について分析をしています。オウトクンプ、アセリノックス、アペラム、日本製鉄、ジンダル・ステンレス、クリーブランド・クリフスといったステンレス大手企業の概要や動向も掲載しています。
【ステンレスとは】
耐食性の強い鉄鋼製品を指す総称です。正式にはステンレス鋼(stainless steel)です。錆びにくい性質を活かして、通常の鉄ではカバーできない製品等に使われています。ダム、トンネル、水門、洗濯機ドラム、炊飯器、食洗器、冷蔵庫、キッチンのシンク、プラント、貯蔵タンクといった幅広い用途で使われています。鉄にクロムを加えることで錆びにくくし、ニッケル、モリブデン、ニオブ等を加えることで、用途にあわせた特性をもったステンレスができます。
【ステンレス業界の世界市場シェア】
ステンレス業界各社の2023年度の売上高⇒参照したデータの詳細情報を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2023年のステンレス業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はオウトクンプ、2位はアセリノックス、3位はアペラムとなります。
ステンレスメーカーの世界市場シェア(2023年)
順位 | 会社名 | 市場シェア |
---|---|---|
1位 | Outokumpu(オウトクンプ) | 6.20% |
2位 | Acerinox(アセリノックス) | 4.69% |
3位 | Aperam(アペラム) | 3.77% |
4位 | Nippon Steel(日本製鉄) | 3.37% |
5位 | indal Stainless(ジンダル・ステンレス) | 3.01% |
6位 | Cleveland-Cliffs(クリーブランド・クリフス) | 1.92% |
世界シェア1位はOutokumpuです。欧州市場での競争力を高めるために、米国での生産拡大の可能性を検討しています。
世界シェア2位はAcerinoxです。2024年の Haynes International の買収や Aperam Stainless との合併計画など、重要な合併と買収に関与してきました。
世界シェア3位はAperam Stainlessです。炭素排出量がほぼゼロのステンレスを製造する製品ラインの取り組みを開始しました。
世界シェア4位はNippon Steelです。子会社である日本ステンレスがステンレス事業を担っています。
世界シェア5位はJindal Stainlessです。15か国で事業を展開しており、60か国以上への輸出を通じて国際的な存在感を高めています。2035年度までに炭素排出原単位を50%削減し、2050年までにネットゼロを達成することを目指しています。
【ステンレス業界の世界市場規模】
当データベースでは、ステンレス業界の2023年の世界市場規模を1189.8億ドルとしております。参照にした各種調査データは以下の通りです。
調査会社のPrecedence Researchによると、2023年のステンレス業界の市場規模は1189.8億ドルです。2024年には1270.7億ドルに達し、2024年から2032年にかけて年平均6.6%で成長し、同年には2417億ドルに成長すると予想しています。⇒参照したデータの詳細情報
年 | 市場規模 | 成長率 |
---|---|---|
2023年 | 1189.8億ドル | – |
2024年 | 1270.7億ドル | 6.8% |
2032年 | 2417億ドル | 6.6% |
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【M&Aの動向】
2020年 ステンレス鋼製造グループであるAcerinoxが、金属サプライヤーであるVDM Metalsを買収
2020年 鉄鋼メーカーのCleveland-Cliffsがステンレス鋼を製造するAK Steelを買収
2021 ステンレス鋼をはじめとする特殊鋼を製造するAperamが、ステンレス鋼製造および超合金リサイクル事業を行うELGを買収
2021年 自動車、鉄鋼、加工、建設、エンジニアリング、エネルギー、公共事業などさまざまな分野で事業を展開するthyssenkruppがステンレス事業をArvediへ売却
2024年 ステンレス鋼製造グループであるAcerinoxの子会社であるNorth American Stainlessが、特殊鋼を製造するHaynes Internationalを買収
2024年 インドのステンレス鋼メーカーのJindal Stainlessが、同じくインドのステンレス鋼メーカーであるChromeni Steelsの残りの46%の株式を買収して完全子会社化
2024年 インドのステンレス鋼メーカーのJindal Stainlessが、シンガポールに拠点を置く投資持株会社であるEvergreat International Investmentを買収
2024年 鋼材を製造する日本製鋼が、同じく鋼材を製造するUS steelの買収を2024年内に完了させる見込み
2024年 ステンレス鋼とニッケル合金のリサイクル業者Stainless Steel Midwestが、スクラップ金属のリサイクルと金属管理サービスを提供するAllied Alloysを買収
【会社の概要】
Outokumpu(オウトクンプ)
フィンランドに本拠をおくステンレス鋼メーカーです。クロム鉱石の採掘も行っております。ニッケル系、フェライト系薄板、厚板、二相ステンレス、チタン・ニッケル合金等に強みを持ちます。2013年にティッセンクルップのステンレス部門であるイノクサムを買収しています。フィンランドの国営投資会社であるSolidium Oyが大株主となっています。
Acerinox(アセリノックス)
1970年に設立されたスペインに本拠をおくステンレス鋼メーカーです。スラブ、ビレット、ブラックコイル、鋼板等の製品を手掛けています。日新製鋼が資本参加していましたが、2018年に解消しています。
Aperam(アペラム)
ステンレス鋼の生産とソリューションに強みを持ち、顧客のニーズに合わせてカスタマイズされた包括的なステンレス鋼製品を提供しています。コイル、シート、チューブ、ディスク、フラット バー、精密ストリップ、厚板など、さまざまなグレードと仕上げのステンレス鋼製品を幅広く生産しています。
日本製鉄(Nippon Steel)
子会社である日本ステンレスがステンレス事業を担っています。鋼板、鋼帯、鋼板、線材などのステンレス鋼製品を製造し、世界中の建設、発電所、家電、自動車、農業、鉄道、船舶、コンテナ産業など、さまざまな業界にサービスを提供しています。
ジンダル・ステンレス(Jindal Stainless)
インドのステンレス鋼製造会社で、本社はニューデリーにあります。インドとインドネシアに製造施設を構え、スラブ、熱間および冷間圧延コイル、プレート、コインブランク、精密ストリップ、カミソリ刃など、さまざまなステンレス鋼製品を製造しています。。
クリーブランド・クリフス(Cleveland-Cliffs)
オハイオ州クリーブランドに本社を置くアメリカの鉄鋼メーカーです。北米最大級の自動車産業向け鉄鋼サプライヤーであり、北米全土で複数の鉄鉱石鉱山と製鋼所を運営しています。
参照したデータの詳細情報について
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