コールセンターの運営会社の市場シェア(世界)、市場規模の情報を提供しています。コールセンター大手であるフランスのテレパフォーマンス社、米国のコンセントリック社、日本のトランスコスモス、スペインのアテント社等の動向や戦略についても記載しています。
事業の特徴
企業からアウトソースされた顧客(カスタマー)とのコミュニケーションを請け負っています。コミュニケーションは、電話でのテレマーケティング以外にも、Eメール、SNS等も含みます。アウトソースされる内容は多岐にわたり、電話での営業、お客様相談センター、支払の請求、市場調査、面談の予約等があげられます。
ブロードバンドといった通信環境が進展したことから、オフショアといわれる、自国以外へのアウトソースも進み、英語環境や人件費の安さからフィリピン、インドの会社がコールセンターを請け負うことも一般的です。
コールセンターの運営のポイントとして、オペレーターの質を保つための教育投資、自動化等のIT投資、オペレーターの採用を通じて多くの雇用を生むため地域や国との良好な関係、が求められます。
労働集約的な業界の側面を持つことから、比較的市場の集中度は低いです。
各地域に参入するためにM&Aが盛んにおこなわれています。また自動化に向けたIT技術の取り込みのための買収も盛んです。
世界シェアと市場規模
成長市場であり、調査会社のOrbis Researchによれば、2020年のコールセンターの市場規模は3394億ドルを見込みます。2027年にかけて年率5.6%で成長すると見込んでいます。(Call Centers estimated at US$339.4 Billion in the year 2020, is projected to reach a revised size of US$496 Billion by 2027, growing at a CAGR of 5.6% over the period 2020-2027)
「コールセンター運営会社の世界売上高ランキングの分析(2020年版)」に記載されている各社の売上高を分子に、上記の市場規模を分母にして、2019年のコールセンター業界の世界市場シェアを簡易に算出すると、1位はアロリカ(Alorica)の1.9%、2位はテレパフォーマンス(Teleperfomance)の1.7%、3位はコンセントリック(Concentrix)の1.4%となります。
1位 アロリカ(Alorica) 1.9%
2位 テレパフォーマンス(Teleperfomance) 1.7%
3位 コンセントリック(Concentrix) 1.4%
4位 コンデュエント(Conduent) 1.3%
5位 トランスコスモス 0.9%
6位 アテント(Atento) 0.5%
7位 りらいあコミュニケーションズ 0.4%
8位 ベルシステム24ホールディングス 0.3%
地域ごとの言語の応じて、各市場の特性に適応したローカルプレイヤーがいます。アロリカとコンセントリックは米国、テレパフォーマンス社はフランス、トランスコスモスは日本、アテントはスペインに本拠を置きます。
テレパフォーマンス(Teleperfomance)
世界1位は、フランスのテレパフォーマンス社となります。1978年にダニエル・ジュリアン氏によってフランスに設立されて以降、ベルギーやイタリア、米国等に積極的に事業展開をしています。また盛んな買収でも有名で、2005年に米国のアンサーグループ、2008年のコロンビアのテラダスト等を買収しています。
コンセントリック(Concentrix)
もと米国のコンバーシス社です。2018年にITディストリビューター大手のSYNNEXが買収し、コンセントリックとなりました。コンバーシスは元々は地域通信会社のシンシナティ・ベルの子会社でしたが、1998年に分社化した会社です。
アロリカ(Alorica)
1999年にフィリピンで創業されたコールセンター大手です。2011年に米国のAdvanced Contact Centerを買収して、米国での事業基盤を確立しました。2016年にはEGS(Expert Global Solutions)を投資ファンドのOEPから買収しています。
アテント(Atento)
スペインに本拠を置くコールセンター大手です。元々はスペインの通信大手であるテレフォニカ傘下でしたが、2012年に投資ファンドのべインキャピタルが買収しました。現在はニューヨーク証券取引所に上場をしています。
べインキャピタルは、アテント以外にも、ベルディステム24やジェンパクト(Genpact)の一部をゼネラル・エレクトリックから買収する等、コールセンターでの買収に積極的です。
トランスコスモス
日本に本拠を置く独立系のコールセンター会社です。ベンチャー投資等も行っています。投資ファンドを経て伊藤忠傘下となったベルシステム24、三井物産傘下のりらいあコミュニケーションズと競業しています。
コンデュエント(Conduent)
2017年に米国のゼロックスからスピンオフして誕生したコールセンターオペレーターです。
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