ブリヂストンが、2021年2月に発表した中期事業計画 (2021-2023)にて、コア事業であるタイヤ事業以外の多角化事業について、更なる事業再編の方向性を示しました。この記事では、ブリヂストンの多角化事業の内容と事業毎の市場規模、成長性や競合他社について分析を行っています。
1930年に石橋氏が福岡にて創業した日本を代表するタイヤメーカーです。世界ビッグ3の一角です。幅広い輸送機(乗用車用、トラック・バス用、二輪車用、航空機用、建設・鉱山車両用、農業機械用)の新車及び補修用タイヤを手掛けています。米ファイアストンを傘下に保有しています。
テニス(2020年に撤退を発表)・ゴルフ・自転車等の分野でも事業を展開しています。2019年にオランダの地図大手TomTomからテレマティックス事業を約10億ドルで買収し、タイヤを通じたビッグデータの解析の強化を図っています。従来のタイヤ製造販売事業から、TaaS(タイヤアズアサービス)とよばれる事業モデルへの変革をすすめています。ゴルフボールは、1935年に国産ボールを販売して以降、現在はTOURSTAGE、Newing、Reygrande、ツアーB等のブランドで展開しています。さらに詳しく
ブリヂストンの多角化事業について
多角化事業は、大きくスポーツ事業、加工品事業、建材事業分かれています。スポーツ事業ではゴルフボール、ゴルフクラブ、ゴルフ用品、自転車等を取り扱っています。加工品事業ではベルト、ホース、防振ゴム、空気ばね、免震ゴム、エラストマーなどを取り扱っています。建材事業では屋根材事業を取り扱っています。屋根材事業は2021年にラファージュホルシムに売却をしております。
多角化事業の売上構成(2019年度)
多角化事業の利益率分析
実際、タイヤ事業は2019年、2020年で9%~12%台の営業利益率に対して、非多角化事業は0%~マイナスとなっていることが分かります。
タイヤ事業の売上高と営業利益率
多角化事業の売上高と営業利益率
北米を中心とした屋根材が大きな割合を占めていましたが、2021年に売却を発表しました。その結果、2020年度の非多角化事業の売上高は3300億円となりました。
しかし、上述した中期事業計画では、さらに1000億円規模の再編を見込んでいます。
屋根材とテニス事業以外の多角化事業の市場規模や今後の成長率から、今後戦略レビューの対象となる事業の可能性を検討していきます。
事業毎の市場規模と競合状況
自転車
日本のシマノ、台湾のジャイアント、オランダのアクセルグループが業界の大手企業です。市場成長率は5-7%と推計されています。同社は業界大手の一角ですが、世界展開を含めどこまで経営資源を注ぎこめるかが注目です。さらに詳しく自転車業界を知る
ゴルフ
競合他社にてテーラーメイド、キャロウェイ、ダンロップがあります。市場成長率は2%程度と余り高くありませんが、ナイキやアディダスとったスポーツ用品大手は業界から最近退出しており、業界大手のブリヂストンが再編を仕掛ける好機でもあります。さらに詳しくゴルフ用品業界を知る
空気ばね
調査会社のアライドマーケットリサーチによると、2019年のエアサスペンション業界の市場規模は59億ドルです。2026年にかけて年平均6.5%での成長を見込みます。コンチネンタル、Vibracousticなどが競合となります。⇒参照したデータの詳細情報
防振ゴム
調査会社のマキシマイズマーケットリサーチによると、2019年の防振ゴム業界の市場規模は51億ドルです。2026年にかけて2.3%での成長を見込みます。競合大手には、東海理化、Vibracousticなどが競合となります。⇒参照したデータの詳細情報
ホースベルト
調査会社のビジネスリサーチカンパニーによると、産業用ホースやベルトの2017年の市場規模は1060億ドルです。競合大手には住友理化、豊田合成、コンチネンタル、グッドイヤー等が挙げられます。⇒参照したデータの詳細情報
参照したデータの詳細情報について
コンテンツの残りを閲覧するにはログインが必要です。既に会員の方はログインすると閲覧できます。まだ会員登録がお済みでない方は、こちらから会員登録ができます。