テーラーメイドを軸としたゴルフ用品業界の再編分析

ゴルフクラブやボールの大手メーカーであるTaylormade(テーラーメイド)は、現在米国に本拠を置くKPSキャピタルパートナーズの傘下にあり、今後のゴルフ用品業界でのM&Aや再編の要となる可能性があります。事業面においては、メタルウッドといえばテーラーメイドといえるほど安定的なポジションを得た同社ですが、株主についてはなかなか安定せず、現在は投資ファンド傘下にあります。

テーラーメイドについて

テーラーメイドは、1979年創業の米国を拠点とするゴルフ用品メーカーです。創業者はゲーリー・アダムス。ゲーリーはメタルウッド(金属製ヘッドのドライバー等)の発明者として知られており、創業当初からメタルウッドを主力商品としているメーカーでもあります。テーラーメイドは日本でも公式の通販を展開する等知名度は高く、アイアン・ドライバー・ゴルフボール・アパレル等を広範に展開しています。主な商品はM3 , M4 等のメタルウッズ, P790 のアイアンやTP5/TP5Xといったゴルフボールである。タイガーウッズ使用モデル等、有名なプロゴルファーのポートフォリオを有している点が魅力ともいえます。さらに詳しく

KPSキャピタルパートナーズについて


1991年にMichael Psaros氏とDavid Shapiro(デービッド・シャピロ)氏によって設立されたKPSキャピタルパートナーズは、米国に本拠をおくプライベートエクイティです。2020年6月時点で約115億ドルの運用資産を有しております。北米を中心に投資を行いっています。インダストリアル(例:Briggs and Stratton)、コンシューマーリテール(例:Life Fitness)、素材、ヘルスケア等の分野に投資を行っています。

KPSの投資先の一覧

テーラーメイドの株主の変遷

テーラーメイドは1984年にフランスのSalomon Groupの傘下となりました。(同グループはスポーツ用品の製造・販売を行う企業でスキーやスノーボードなどのウィンタースポーツ用品で有名です)。その後Salomon Groupが独Adidasに買収され、結果的にテーラーメイドはAdidas傘下となりました(1997年)。
しかしその後AdidasはSalomon Groupのうちテーラーメイドを残して、フィンランドのAMER Sports Groupに売却しました(2005年)。その後2016年にAdidasグループはゴルフ用品事業からの撤退を決定し、それに伴いテーラーメイドも売却対象となりました。2017年に米国のKPSキャピタルパートナーズ(以下KPS)に425百万ドルで売却されました。

ゴルフクラブ業界の再編

ゴルフ業界においては、2011年フォーチュンブランズによるAcushnet 売却、2016年ナイキがゴルフクラブから撤退、2017年アディダスがテーラーメイドを売却しており、再編が相次いでいます。
Acushnet売却に関しては、ブランドポートフォリオ運営会社であるフォーチュンブランズのポートフォリオ入れ替え、NIKEによるゴルフクラブからの撤退はフットウェア、アパレルに集中するための決定、Adidasによるテーラーメイド売却は、主力ブランドの「アディダス(ADIDAS)」「リーボック(REEBOK)」のフットウェア事業に注力するためのノンコア事業売却というようにプレスリリースで発表されています。
ナイキやアディダスといった大手スポーツメーカーも、スニーカー等のフットウェアの人気やアパレルにフォーカスすることを経営の主軸とする中で、ゴルフ用品は既存の主軸事業とシナジーが高くないと判断され売却されることが多かったという印象を受けます。

発表日買手対象会社売手売上高倍率
2020CP本間ゴルフ2.1
2018伊藤忠、CP本間ゴルフ2.4
2018AcushnetPG Professional
2017KPSテーラーメイドアディダス0.7
2016FILA KoreaAcushnetBlackstone等1.5
2011Blackstone等Acushnetフォーチュンブランズ1
売上高倍率は企業価値/直近対象会社売上高で計算
©各種データを参照に作成

ゴルフ用品業界の市場規模

調査会社のグランドビューリサーチによると、2018年と2020年のゴルフ用品業界の市場規模はそれぞれ65.1億ドルと68.5億ドルで、2025年にかけて年平均2.2%での成長を見込みます。一方調査会社のパーシステンスマーケットリサーチによると2018年の同市場規模は138億ドルです。2029年にかけて2%での成長を見込みます。⇒参照したデータの詳細情報

競合状況

競合他社には、Callaway(キャロウェイ)、Ping、Puma (Cobraブランド)、ダンロップスポーツ(ClevelandやSrixon brands、旧SRIスポーツ)、ミズノ、直近非タイヤ事業の縮小を宣言したブリジストン、Parsons Xtreme Golf (PXG)等があります。

キャロウェイ

TSIホールディングスが、同社の持分法適用関連会社TSIグルーヴアンドスポーツが保有するキャロウェイアパレルの全株式を、キャロウェイゴルフに譲渡(20億円)しています。

ダンロップスポーツ

2012年にSRIスポーツから商号変更しています。2018年に住友ゴムがDunlop sportsを吸収合併しています。

ブリジストン

1930年に石橋氏が福岡にて創業した日本を代表するタイヤメーカーです。世界ビッグ3の一角です。米ファイアストンを傘下に保有しています。テニス(2020年に撤退を発表)・ゴルフ・自転車等の分野でも事業を展開しています。2019年にオランダの地図大手TomTomからテレマティックス事業を約10億ドルで買収し、タイヤを通じたビッグデータの解析の強化を図っています。従来のタイヤ製造販売事業から、TaaS(タイヤアズアサービス)とよばれる事業モデルへの変革をすすめています。ゴルフボールは、1935年に国産ボールを販売して以降、現在はTOURSTAGE、Newing、Reygrande、ツアーB等のブランドで展開しています。さらに詳しく

参照したデータの詳細情報について


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