レンタカー業界の世界市場シェアの分析

レンタカー業界の世界市場シェア、ランキング、市場規模について分析をしています。エンタープライズモビリティ、ハーツ、エイビス等世界の大手レンタカー会社の動向も掲載しています。

【レンタカーとは】

レンタカーのビジネスモデルは、自動車メーカーからの車両の調達、旅行代理店や自社サイトを通じての顧客へのレンタカーの貸し出しに大きく分かれます。人気車種の調達、実際の貸し出しを行う営業所の場所、価格等によって、車両の調達力及び売却タイミング、といった要素で、競争戦略が決まります。

特に車種は、高級車(ラグジュアリー)、中高級車、エコノミーカー、SUV、バン、軽自動車等用途に応じて幅広い車種をそろえる必要があります。

【レンタカー業界の世界市場シェア】

2023年度のレンタカー各社の売上高⇒参照したデータの詳細情報を分子に、後述する市場規模を分母にして、レンタカー業界の2023年の市場シェアを計算すると以下の通りとなります。1位はエンタープライズホールディングス、2位はエイビス・バジェット・グループ、3位はハーツです。

      順位      会社名     市場シェア
      1位 Enterprise Holdings, Inc. (エンタープライズモビリティ)      27.03%
      2位 Avis Budget Group, Inc.(エイビス・バジェット・グループ株式会社)      9.27%
      3位 Hertz Global Holdings, Inc.
(ハーツ)
     7.24%
      4位 Localiza(ロカリザ・レンタカー)      4.47%
      5位 Sixt SE(シックスト)      2.96%
      6位 Europcar Mobility Group(ヨーロッパカーモビリティグループ)      2.43%
レンタカー会社の世界シェアと業界ランキング(2023年)©2024 Deallab

レンタカー業界の世界シェアと業界ランキング(2023年)©2024 Deallab

上位3社は不動の御三家です。御三家の中でも、アラモ、ナショナル、エンタープライズのブランドで世界展開するエンタープライズモビリティが2位、3位のエイビス・バジェット・グループやハーツの約3倍の規模を誇っています。

ハーツは2020年にコロナ禍の影響もありチャプター11(法的整理)を申請しましたが、2021年には再建に成功し、順調に売上を伸ばしています。1〜3位がすべて米国企業です。

4位はブラジルのロカリザレンタカー、5位はドイツのシックストです。6位はフランスのヨーロッパカーモビリティグループです。2022年にフォルクスワーゲンが買収しました。

その他の大手レンタカー会社として中国最大手のチャイナオートレンタルが挙げられます。2021年に上場廃止後となったため、ランキングからは除外しています。

日本の最大手であるトヨタレンタリースは、地域フランチャイズ制を採用しており、売上高は非開示となっております。一方で、保有台数は約12万台です。2023年度の保有台数ランキングでは以下の順位となります。

      順位      会社名       台数
      1位 Enterprise Holdings, Inc. (エンタープライズモビリティ)      230万台
      2位 Avis Budget Group, Inc.(エイビス・バジェット・グループ株式会社)      69万1500台
      3位 Localiza(ロカリザ・レンタカー)      65万7612台
      4位 Hertz Global Holdings, Inc.
(ハーツ)
     59万1600台
      5位 Europcar Mobility Group(ヨーロッパカーモビリティグループ)      26万1000台
      6位 Sixt SE(シックスト)      17万台
      7位 TOYOTA MOTOR CORPORATION(トヨタレンタリース)      12万6000台
レンタカー会社の保有台数ランキング(2023年)©2024 Deallab

【レンタカー業界の世界市場規模】

当サイトでは、調査会社等の公表データを参考にし、レンタカー業界の2023年の世界市場規模を1294.8億ドルとして市場シェアを計算しております。参照にしたデータは以下の通りです。

調査会社のプレセデンスリサーチによると、2023年のレンタカー業界の売上高は1294.8億ドルです。2034年にかけて8.7%の年平均成長率を見込んでおり、同年には3241.4億ドルに達する予定です。

近年、シェアリング・エコノミーの進展に伴い、レンタカーの近接領域として、カーシェアリング、相乗りサービス、自動送迎サービス等が急速に発展しています。ヨーロッパ市場においては、2025年にかけて、伝統的なレンタカーの市場は大きく成長しないものの、カーシェアリングや相乗りサービスの市場が急拡大すると予想されています。

参照したデータの詳細情報

【M&Aの動向】

2007年 エンタープライズモビリティの前身のEnterprise Rent-A-CarがNational Car RentalとAlamo Brandsの親会社のVanguard Car Rental Groupを買収

2011年 エイビスがAvis Europeを買収

2012年 ハーツがDollar Thrifty Automotive Groupを買収

2013年 エイビスがカーシェアリング大手のZipcarを買収

2016年 エイビスがFrance Carsを買収

2022年 ロカリザがレンタカー会社Ouro Verdeの親会社Brookfieldに一部資産を売却

2022年 フォルクスワーゲンがヨーロッパカーを買収

2022年 ロカリザとUnidasが経営統合

モビリティー進化論

MaaS モビリティ革命の先にある全産業のゲームチェンジ MaaSシリーズ

【会社の概要】

Enterprise Holdings, Inc. (エンタープライズ ホールディングス株式会社、エンタープライズモビリティ)

1957年にJack Taylor (ジャック・テイラー)によって設立された米国に本拠を置く世界最大級のレンタカー会社です。現在もテイラー一族が所有する非公開会社です。2007 年に買収したNational (ナショナル)、Alamo(アラモ)と併せてEnterprise(エンタープライズ)等のブランドでレンタカーを世界展開しています。

Avis Budget Group, Inc.(エイビス・バジェット・グループ株式会社)

米国に本拠を置くレンタカーの世界大手です。元々は米コングロマリットのCendant社のグループ会社でしたが、破綻後独立しました。現在はナスダック市場に上場しています。2013年にカーシェアリング大手のジップカーを買収しました。

Hertz Global Holdings, Inc. (ハーツ)

米国に本拠を置くレンタカー世界大手です。ハーツブランドにてレンタカー事業を世界展開しています。米国の自動車大手であるフォード・モーターの傘下を経て、ニューヨーク証券取引所に上場しましたが、2020年5月22日にコロナウィルス禍によりチャプター11を申請しました。2021年に投資ファンドのCenterbridge Partners、Warburg Pincus、Dundon Capital Partnersがスポンサーになった後、2021年6月にチャプター11のプロセスを完了し、同年11月にはナスダックに再上場しました。

Localiza(ロカリザ・レンタカー)

ブラジル最大手のレンタカー会社です。

Sixt SE(シックスト)

ドイツに本拠を置く大手レンタカー会社です。欧州に強みを持っています。

Europcar Mobility Group(ヨーロッパカーモビリティグループ)

フランスに本拠を置く欧州を代表するレンタカー大手企業です。自動車大手のルノーやVW、投資ファンドのEurazeo(ユーラゼオ)傘下を経てユーロネクストへ上場しました。2021年にユーラゼオからAnchorage Capital Partnersへと筆頭株主が変更しました。2022年にVW(フォルクスワーゲン)に買収されました。

フォルクスワーゲンは、1937年に設立されたドイツを代表する自動車メーカーです。第二次世界大戦後にビートルで成長を遂げ、ゴルフシリーズの成功で世界大手となりました。高級自動車である、Bentley、ランボルギーニ、ポルシェ、ブガッティやAudi(アウディ)を傘下に擁しています。2015年の排ガス不正ソフトウェア問題が課題となりましたが、現在ではEV化へ舵を切っています。トラック・バス事業は2018年にTraton(トレイトン)として分社化しました。フォルクスワーゲングループブランドの新車・中古車を調達できることが強みを活かした自動車リース事業も展開しています。さらに詳しく

ユーラゼオは、フランスにルーツを有するラザード家の資産運用事業から発展した投資ファンドです。下図の通りファッションブランドのMoncler(モンクレール)、ホテルチェーン大手のアコーグループや介護施設事業等を展開する企業を傘下に有しています。

日本のレンタカー会社

国内のレンタカー市場は調査機関にもよりますが、おおむね5000億円から7000億円とされます。国内のレンタカーの市場シェアは、保有台数ベースで概ねトヨタレンタリース30~40%、オリックス15~20%、ニッポンレンタカー10~15%、マツダ(タイムズ)レンタカー10~15%、日産レンタカー8~10%、ジャパンレンタカー5~10%と想定されます。日本の最大手のトヨタレンタカーでも、ユーロモニターによれば世界シェアは1〜2%程度ですが、トヨタレンタリースの保有車両台数は12万6千台なので、車両台数ベースのシェアはもう少し大きいと思われます。

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