ジボダンの市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析

Givaudan(ジボダン)は、1768年に創設され、スイスに本拠を置きます。香り(フレグランス)と味(フレーバー)のジャイアントです。1946年に開校したパリのパフューマリースクールでは、フレグランスにかかるパフューマーのおよそ3分の1を育成しています。1963年に製薬メーカーのロシュ傘下に入りましたが、2000年に分社化しスイス証券取引所に上場しました。フレグランス部門はパリ、フレーバー部門は北米に本拠を置きます。

業績推移(年次)

2019年度
売上高は6,203百万スイスフランで、前年度比12%増となりました。営業利益は920百万スイスフランになりました。営業利益率は15%になりました。戦略的重点分野に置いた健康・福祉・自然食品は、それぞれ 2 桁および 1 桁のレベルで成長しました。 セグメントの観点から見ると、飲料、セイボリー、スナック、スイートグッズが部門の成長に主に貢献しました。

2020年度
売上高は6,322百万スイスフランで、前年度比2%増となりました。営業利益は996百万スイスフランになりました。営業利益率は16%になりました。ほとんどの製品セグメントと地域で良好な成長が達成され、特にフレグランスセグメントの家庭用品、ヘルスケア、パーソナルケアのセグメント、およびフレーバーセグメントの加工食品、セイボリー、スナック、栄養補助食品の分野で好調な業績を上げました。

2021年度
売上高は6,684百万スイスフランで、前年度比6%増となりました。営業利益は1,089百万スイスフランになりました。営業利益率は16%になりました。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが世界レベルで影響を及ぼし続ける中、サプライチェーンにおいて課題が発生しているにもかかわらず、事業運営とグローバルサプライチェーンを高いレベルで維持しながら、良好なビジネスの勢いを維持しました。 すべての製品セグメントと地域で売上高の大幅な成長が達成され、成熟市場では 6.3% の成長、高成長市場では 8.3% の成長が見られました。

2022年度
売上高は7,117百万スイスフランで、前年度比6%増となりました。営業利益は1,112百万スイスフランになりました。営業利益率は16%になりました。フレグランスセグメントの成長は、ファインフレグランスおよびフレグランス原料の好調な業績が持続したことと、2022年下半期に消費者製品事業が好調な状態に戻ったことによってもたらされました。

2023年度
売上高は6,915百万スイスフランで、前年度比3%減となりました。営業利益は1,116百万スイスフランになりました。営業利益率は16%になりました。売上の減少はフレーバーセグメントでの売上が減少したためです。フレグランスセグメントの売上は微増しました。

ジボダンの年次業績推移

ジボダンの年次業績推移

業績推移(半期)

2021年第下半期(7ー12月)
売上高は3,311百万スイスフランになりました。営業利益は476百万スイスフラン、営業利益率は14%になりました。

2022年第上半期(1ー6月)
売上高は3,652百万スイスフランになりました。営業利益は631百万スイスフラン、営業利益率は17%になりました。

2022年第下半期(7ー12月)
売上高は3,465百万スイスフランになりました。営業利益は481百万スイスフラン、営業利益率は14%になりました。

2023年第上半期(1ー6月)
売上高は3,535百万スイスフランになりました。営業利益は586百万スイスフラン、営業利益率は17%になりました。

2023年第下半期(7ー12月)
売上高は3,380百万スイスフランになりました。営業利益は530百万スイスフラン、営業利益率は16%になりました。

ジボダンの半期業績推移

ジボダンの半期業績推移

EPS・配当額・配当性向の推移

希薄化後EPSは前年度比4%増の96.47スイスフランになりました。1株当たりの配当は前年度比1%増の68スイスフランになりました。配当性向は70%になりました。

ジボダンのEPS・配当額・配当性向の推移

ジボダンのEPS・配当額・配当性向の推移

事業構成

売上高の約半分がフレーバー部門となります。フレーバー部門のエンドマーケット(販売先)の構成品では、飲料が約3割、調味料が約4割、菓子が約1割、乳製品が約1.5割程度です。要素となる、シトラス、ビーフ、チキン、コーヒー、デイリー、チーズ、ミント、ティー、ストロベリー、りんご、チェリー、ピーナツ、バニラといった数千種類ものフレーバーの性質を独自に分析し、原料の安定調達を行っていることが強みです。

売上高の残りの約半分弱がフレグランス部門です。フレグランスの中でも消費財向けが約7割と最も大きくなっています。化学由来の合成香料やパチュリ、ベチバー、イランイラン、トンカ豆、ベンゾイン、ラベンダー、サンダルウッド、バニラ等の天然香料を用いて調香を行っています。

地域別売上高では、欧州・アフリカ・中東地域が最大です。続いてアジア・オセアニア地域、北米、南米地域と続いています。売上高成長率では北米地域の伸びが大きいのが特徴です。

ジボダンの売上構成(2023年度)

ジボダンの売上構成(2023年度)

フレーバー
顧客やパートナーと協力して、食品と飲料における革新的なイノベーションを開発し、美味しさを超えて、体、心、そして地球にとって良い効果をもたらす食品体験を創造しています。フレーバー、味覚、機能性および栄養ソリューションにわたる製品ポートフォリオを持ち、食品エコシステムに関する深い知識を持っています。

フレグランス
幅広い合成香料原料の開発と商品化に注力しています。エッセンシャルオイル、アブソリュート、レジノイド、フローラルウォーターなどの天然原料の生産においてAlbert Vieilleの専門知識を適用し、フレグランスおよびアロマセラピーの顧客に商品を提供しています。

M&A情報

製品・地域補完のために積極的に買収を行っています。

2002年 ネスレのフレーバー部門FIS社を買収
2003年 発酵技術に優れた米国の企業IBF社を買収
2007年 クエスト・インターナショナル社を買収
2014年 野菜や微生物、微細藻類由来の化粧品有効成分に強みを持つソリアンス社を買収
2015年 生体触媒、メタゲノミクス、生化学的合成に強みを有するインデュケム・ホールディング社の買収し、化粧品有効成分事業へ進出。
2016年 コナグラフーズ社のスパイステック・フレーバーズ&シーズニングス事業の買収。セイボリー分野の強化。
2017年 シーフード成分に強いアクティブ・インターナショナル(Activ International)の買収
2017年 ナチュラルチーズなどの乳製品原料に強いヴィカ(Vika B.V.)の買収
2018年 エクスプレシオン・パフュメ社(Expressions Parfumées)の買収
2018年 フルーツジュースに強いセントロフロラ・ニュートラ(Centroflora Nutra)の買収
2018年 エクスプレッションズ・パフュメ(Expressions Parfumées)の買収
2018年 植物由来の天然成分に強いフランスのナチュレックスを買収
2021年 メイクアップやスキンケア向けの製品を手がける伊b.kolorの25%の株式を買収
2021年 フレグランスを色のパターンや画像に変換し、最終消費者の感情的反応を予測できる AI テクノロジーを開発したMyrissiの買収を完了
2021年 天然香料の配合を専門とし、さまざまなカテゴリーの香水を製造するCustom Essenceの買収を完了
2021年 食品および飲料製品の自然な色のソリューションを専門とするDDWの買収を完了
2022年 ブラジルの投資ファンドである The Criatec Fund から 美容成分をカプセル化する技術で知られる Nanovetores Group の株式 48% を取得したと発表
2023年 Amyrisから化粧品原料ポートフォリオの買収を完了

株主構成

ジボダンの直近期末時点の株主構成は以下の通りとなります。ビル&メリンダ・ゲイツ財団が筆頭株主になっている点が特徴と言えます。

ジボダンの株主構成(直近期末時点)

ジボダンの株主構成(直近期末時点) 出所:マーケットスクリーナー

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