APモラーマースクの市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析

APモラー・マースクは、デンマークに本拠を置くコンテナ船運航に強みを持つ海運会社です。英P&Oネドロイドと南アのサフマリンがグループに属しています。2016年にドイツのコンテナ船大手Hamburg Süd Group(ハンブルグ スード)を買収しました。海運業界トップ3の2社(MSC、CMA CGM)と共同運航を模索しましたが、中国当局の承認を得られず、MSCとの2者間での提携に切り替えています。

業績推移(年次)


2019年度
売上高は38,890百万ドルで、前年度比1%減となりました。営業利益は1,725百万ドルになりました。営業利益率は4%になりました。

2020年度
売上高は39,740百万ドルで、前年度比2%増となりました。営業利益は4,186百万ドルになりました。営業利益率は11%になりました。新型コロナウイルス感染症による積載量への悪影響は主に第2四半期にありましたが、第四半期における物量の力強い回復によって相殺されました。

2021年度
売上高は61,787百万ドルで、前年度比55%増となりました。営業利益は19,674百万ドルになりました。営業利益率は32%になりました。売上高の増加は、海運セグメントでの売上が19,100百万ドル増加したことによるものです。これは主に海洋での運賃と物量の上昇によるものです。

2022年度
売上高は81,529百万ドルで、前年度比32%増となりました。営業利益は30,860百万ドルになりました。営業利益率は38%になりました。売上高の大幅な増加は、海運セグメントでの売上が16,100百万ドル増加した為です。これは、第三四半期までの貨物運賃が大幅に上昇したことが要因です。

2023年度
売上高は51,065百万ドルで、前年度比37%減となりました。営業利益は3,934百万ドルになりました。営業利益率は8%になりました。売上高の大幅な減少は、海運セグメントの売上が30,600百万ドル減少した為です。これは物量需要の低迷を反映しており、下半期には持ち直したものの、運賃の継続的な下落により売上は深刻な打撃を受けました。運賃は 2022 年度のレベルから平均 50% 低下し、輸送量は 2022 年度と同等になりました。

APモラー・マースクの業績推移
APモラー・マースクの業績推移

業績推移(四半期)


2023年第1四半期(1ー3月)
売上高は14,207百万ドルになりました。営業利益は2,326百万ドル、営業利益率は16%になりました。全てのセグメントにわたる在庫調整によって、海洋部門と航空部門の業績は正常化しました。

2023年第2四半期(4ー6月)
売上高は12,988百万ドルになりました。営業利益は1,607百万ドル、営業利益率は12%になりました。前年同期比で売上高は減少しました。これは、海洋部門、物流&サービス&ターミナル部門で減収となったためです。

2023年第3四半期(7ー9月)
売上高は12,129百万ドルになりました。営業利益は538百万ドル、営業利益率は4%になりました。財務結果は、ターミナル部門の好調な業績と、物流・サービス部門の安定により、業績予想と一致しました。 ほとんどの部門で販売量が増加し、コスト削減により業績が改善した一方、輸送価格は低下し続けており、現在は 2019 年のレベルに近づいています。

2023年第4四半期(10ー12月)
売上高は11,741百万ドルになりました。営業利益は537百万ドルの赤字になりました。前年同期と比較して、物流量自体はさほど変化はありませんでしたが、輸送価格の下落により売上高は大きく減少しました。

2024年第1四半期(1ー3月)
売上高は12,355百万ドルになりました。営業利益は177百万ドル、営業利益率は1%になりました。紅海の状況は、新航路の導入により海洋事業に重大な影響を及ぼし、サプライチェーンの混乱によりコストの上昇を引き起こしました。 物流&サービス部門の収益は、主に全製品の販売量の増加により若干増加しました。 ターミナル部門では、料金改善による取扱量の大幅な増加により収益が増加しましたが、保管収益の減少により相殺されました。

APモラー・マースクの四半期業績推移

APモラー・マースクの四半期業績推移

EPS・配当額・配当性向の推移

希薄化後EPSは前年度比86%減の227ドルになりました。1株当たりの配当は前年度比88%減の74ドルになりました。配当性向は33%になりました。

APモラー・マースクのEPS・配当額・配当性向の推移
APモラー・マースクのEPS・配当額・配当性向の推移

業績予想

2024年4月
2024年度第一四半期のレポートにて、2024年度通期のEBITDAは4,000百万から6,000百万ドルを予定していると掲載されています。

売上構成

セグメントは、海運、ロジスティクス、ターミナル・曳船に分類されます。セグメント別の売り上げ構成は以下の通りです。

セグメント別売上構成(2023年度)
セグメント別売上構成(2023年度)

海運
コンテナ輸送を行っています。

ロジスティクス
通関サービス、サプライチェーンマネジメント、4PLサービス、コールドチェーンロジスティクス、混載、非混載、フルフィルメント倉庫、配送サービス、デポオペレーション、eコマースロジスティクス、航空フォワーディング、Less Than Container Loadサービス、トラック・鉄道輸送、貨物保険などを提供しています。

ターミナル・曳船
APM ターミナルズ・ブランドもしくはジョイント・ベンチャー・パートナーと共同で世界42カ国に67のターミナルを保有・運営しています。

M&A情報


1993年 コンテナ輸送会社EACの一部航路を買収
1997年 P&OとNedlloyd(ネドロイド)が経営統合
1999年 アフリカと西中央アジアの新興市場との貿易に重点を置いたコンテナ輸送会社Safmarineを買収
2005年 コンテナ輸送会社P&Oネドロイドを買収
2014年 南北アメリカで海上および複合輸送サービスを提供するSealandを分社化
2016年 コンテナ輸送会社であるハンブルグスードを買収
2018年 IBMと共同で輸送書類をブロックチェーン上で管理できるトレードレンズ(TradeLens)を開発
2018年 デジタル貨物仲介サービスのLoadsmartへ出資
2022年 大型貨物輸送に強みを持つ米Pilot Freight Servicesを買収
2022年 貨物輸送大手のドイツのセネター・インターナショナル(Senator International)を買収
2022年 電動トラック開発会社のアインライド(Einride)と提携
2022年 アジア太平洋地域全体にサプライ チェーン ソリューションと物流サービスを提供することを専門とするLF Logisticsを買収
2023年 物流ソリューションを提供する海運および貨物輸送会社であるMartin Bencher Groupを買収

株主構成

モラー家の資産管理会社のAPモラーホールディングスが筆頭株主になっています。

株主構成(直前期末時点)
株主構成(直前期末時点)

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