イオンは1758年に岡田惣左衛門氏によって創業された小間物商を源流とする小売りグループです。総合スーパー事業を核に、ドラッグストア、クレジットカード、コンビニや専門店などの事業を展開しています。
2018年度
2018年の売上高は前年度比1.53%増の8.52兆円になりました。営業利益は0.94%増の2,122.56億円になりました。営業利益率は2.49%になりました。営業収益、営業利益、経常利益 のいずれもが過去最高を更新しました。
夏季の集中豪雨や台風、冬季の暖冬等の天候不順により国内小売の業績に影響が出たものの、総合金融事業並びにディベロッパー事業の海外業績、海外の小売事業である国際事業の業績が着実に改善し、連 結業績へ寄与しました。
2019年度
2019年の売上高は前年度比1.01%増の8.60兆円になりました。営業利益は1.54%増の2,155.30億円になりました。営業利益率は2.50%になりました。
利益の柱となっているヘルス&ウエルネス事業、ディベロッパー事業に加え、業績回復が続く国際事業が増益となりました。
新型コロナウイルスの感染拡大により、中国・湖北エリアのショッピングモールの専門店ゾーンの営業休止や同エリアにおける総合スーパーの営業時間短縮等、1月下旬より海外での営業に一部影響が出ています。(ただ中国では12月決算の企業がほとんどなので、2019年度の決算に影響はほとんどでていません。)
国内においては、1月下旬から感染予防対策としてマスク等の衛生用品の需要が急増したこ とに加え、2月下旬には学校への休校要請やテレワークの推進による食品備蓄の動きや、紙製品等の買い急ぎがあり、グループの総合スーパー、スーパーマーケット、ドラッグストアにおいてこれらの商品群の売上が伸長しました。
2020年度
2020年の売上高は前年度とほとんど変わらず8.60兆円になりました。営業利益は30.13%減の1,505.86億円になりました。営業利益率は1.75%になりました。
新型コロナウイルスの感染拡大で小売店業界は大きな影響を受けました。イオンも例外ではなく、店舗の一時休業や営業時間短縮、テナント専門店企業に対する賃料減免、経営効率改善のための在庫削減等、一過性或いは今後の収益性改善に資する施策によって減収となりました。
ただ、この状況が追い風となった部分もあります。ステイホームにおける中食品の需要拡大によって、スーパーマーケット事業とヘルス&ウエルネス事業は大幅な増益となりました。
総合スーパー事業は4月に発令された緊急事態宣言に伴う外出自粛やテナントゾーンの営業休止の影響を受けましたが、体質改善策として在庫の削減に取り組み、売上総利益率は改善基調。経費削減も推進し、収益性向上に注力しました。
総合金融事業、ディベロッパー事業、サービス・専門店事業、国際事業は国内外の緊急事態宣言、ロックダウン等に伴う営業休止や営業時間短縮の影響を受けましたが、防疫の徹底、ニューノーマルへの確実な対応、収益改善への取り組みにより回復基調です。
2021年度
2021年の売上高は前年度比1.30%増の8.72兆円になりました。営業利益は15.76%増の1,743.12億円になりました。営業利益率は2.00%になりました。
調剤併設店舗の拡大や積極的な新規出店を推進したヘルス&ウエルネス事業、新型コロナウイルス感染症拡大の第一波に伴い前期に国内外で大規模な臨時休業を実施したディベロッパー事業やサービス・専門店事業が増収増益となりました。
SM(スーパーマーケット)事業、DS(ディスカウントストア)事業は継続する内食需要を獲得しました。コロナ前の 2020 年 2 月期連結累計期間に対して増収増益となりました。
総合金融事業は審査の精緻化や債権回収の強化やデジタル化による利便性及び生産性の向上により増益となり、GMS(総合スーパー)事業は継続する内食需要への対応に加え、ネットスーパーの拡大・強化、AI の活用や在庫削減による荒利益率の改善等の取り組みにより損益改善となりました。
2022年度
2022年の売上高は前年度比4.60%増の9.12兆円になりました。営業利益は20.35%増の2,097.83億円になりました。営業利益率は2.30%になりました。営業収益は、過去最高である9兆円を突破しました。
新型コロナウイルスで臨時休業を行なっていたディベロッパー事業やサービス・専門店事業がコロナ収束により増収増益となっています。一方、総合金融事業は国内の債権残高の伸び悩みや金利上昇の影響から、減収減益となりました。
2022年第2四半期(6-8月)
2022年度第2四半期の売上高は前年同期比4.21%増の2.28兆円になりました。営業利益は519億円、営業利益率は2.28%になりました。
新型コロナウイルス感染症の影響が落ち着いた一方で、新たな変異ウイルスによる急激な感染拡大や、エネルギー価格や諸物価の上昇による消費の冷え込みが懸念されるなど、想定外の厳しい状況となりました。
そのような中、ヘルス&ウエルネス事業では、調剤併設店舗の拡大や積極的な新規出店に加え M&A を推進、ディベロッパー事業では店舗のリニューアルや出店により集客力の向上、各国での規制緩和による外出機会の増加を機に集客イベントなどを強化した国際事業が増益となっています。
GMS(総合スーパー)事業は、 上記の厳しい外部環境の中で収益構造改革に取り組み、前年同期比で大幅な損益改善となり ました。SM(スーパーマーケット)事業、DS(ディスカウントストア)事業は、店舗の活性化や デジタルシフトによる生産性の向上に取り組み、コロナ下での内食特需の反動影響を抑制しました。 総合金融事業は、国内外でのカード取扱高の伸長や海外でのデジタル化推進などによりコロナ前の回復に近い着地となりました。
2022年第3四半期(9-11月)
2022年度第3四半期の売上高は前年同期比6.12%増の2.23兆円になりました。営業利益は168億円、営業利益率は0.75%になりました。
コロナ拡大に伴う行動制限の緩 和や政府の観光支援策の影響から国内の社会経済活動に回復の兆しが見え始めた一方、世界的なエ ネルギー・原材料価格の高騰や急激な円安など、消費者の生活防衛意識が高まる不透明な状況が続いています。
そのような中、ローカライゼーションの視点に基づいた個性あるモールづくりにより集客 力の向上に取り組んだディベロッパー事業、調剤併設店舗の拡大や積極的な新規出店に加え、M&A を 推進するヘルス&ウエルネス事業、特にアセアン地域での外出機会の増加を捉えた国際事業が増益 となり、サービス・専門店事業は、娯楽サービスの需要回復と専門店の経費コントロールにより黒字 転換しました。
GMS(総合スーパー)事業は、消費動向の先行きが不透明な中で収益構造改革をさら に進め、前年同期比で大幅な損益改善となりました。SM(スーパーマーケット)事業、DS(ディス カウントストア)事業は、店舗の活性化やデジタルシフトに取り組み、コロナ下での内食特需の反動影響を抑制しました。
国内外でのカード取扱高の伸長やデジタル金融包摂の進展に取り組む総合金融事業は減益となったものの、各事業セグメントの中で最大の営業利益を計上しました。
2022年第4四半期(12-2月)
2022年度第4四半期の売上高は前年同期比5.72%増の2.40兆円になりました。営業利益は971億円、営業利益率は4.05%になりました。
コロナに伴い前期及び前々期に国内外で大規模な臨時休業を実施したディベロッパー事業やサービス・専門店事業、国際事業のほか、調剤併設店舗の拡大やM&Aを推進したヘルス&ウエルネス事業が増収増益となりました。
GMS(総合スーパー)事業は、ネットスーパーやプライベートブランド(以下、PB) 「トップバリュ」の拡大・強化、AI の活用や在庫削減に よる荒利益率の改善などに取り組んだ結果、大幅に損益改善し、黒字に転換しました。
SM(スーパーマー ケット)事業は株式会社フジ及び同社連結子会社が当社の連結子会社となったことにより増収、DS(ディ スカウントストア)事業は前期の経営統合効果により増益となりました。
一方、総合金融事業は国内の債権 残高の伸び悩みや金利上昇の影響から、減収減益となりました。 親会社株主に帰属する当期純利益については、経常利益段階までの増益に加え、関係会社株式や固定資産 の売却により大幅に増益しました。
2023年第1四半期(3-5月)
2023年度第1四半期の売上高は前年同期比5.52%増の2.32兆円になりました。営業利益は514億円、営業利益率は2.21%になりました。
コロナが5類感染症に見直され、 社会経済活動が回復し始めた一方、世界的な原材料価格の高騰や急激な円安など、消費者の生活防衛意識が高まる不透明な状況が続いている中で、全報告セグメントが増収となりました。
営業利益につ いては、プライベートブランド(以下、PB)拡販、デジタルを活用した生産性の向上や使用電力の削減 を進めたGMS(総合スーパー)事業、SM(スーパーマーケット)事業、DS(ディスカウントストア) 事業、またコロナ下対比で客足の回復が進んだディベロッパー事業、サービス・専門店事業、国際事業が増益となりました。
一方で、営業債権残高に合わせて貸倒引当金繰入額や販売促進費が増加した総合金融事業と、水道光熱費が大幅に増加したヘルス&ウエルネス事業が減益となりました。
2023年第2四半期(6-8月)
2023年度第2四半期の売上高は前年同期比4.49%増の2.39兆円になりました。営業利益は661億円、営業利益率は2.77%になりました。
原材料価格の高騰やロシアによるウクライナ侵攻、円安などを原因 とする物価の上昇が続き、高付加価値商品と値ごろ感のある商品への消費の二極化が顕著となる中で、 全報告セグメントが増収となりました。
営業利益については、主力の小売事業であるGMS(総合ス ーパー)事業、SM(スーパーマーケット)事業、DS(ディスカウントストア)事業、ヘルス&ウエルネス事業では、収益性の高いプライベートブランドの拡販、デジタルを活用した生産性の向上や使用電力の削減などのコストコントロールにより、また、ディベロッパー事業、サービス・専門店事業では、コロナ下対比で客足の回復が進んだことから、増益となりました。
一方で、営業債権残高に合わせて貸倒引当金繰入額が増加した総合金融事業が減益となりました。
2022年度
希薄化後EPSは前年度比227.71%増の25.07円になりました。1株当たりの配当は前年度比変動なしの36円になりました。配当性向は143.60%になりました。
2023年2月(期初)
2024年2月期通期の売上見込みは、今期の売上高は9.40兆円、営業利益は2200億円、1株配当は36円を見込みます。
2023年第2四半期(6-8月)においても、期初の予想を据え置いています。
売上高の業績予想に対する進捗率は50.12%です。営業利益の業績予想に対する進捗率は43.55%です。営業利益率は予想より0.31%下回っています。
セグメントは9つの事業に分類されます。セグメント別の売り上げ構成は以下の通りです。
GMS総合スーパー
総合スーパー、弁当惣菜専門店を運営しています。同社の中で一番多い割合を占めています。コロナ下では、営業時間短縮などの規制を受ける厳しい状況の中で在庫削減など収益向上に努めました。近年は、物価高で消費量が低下する中、質の高いプライベートブランドの拡販により高い業績を維持しています。2022年の第二四半期は前年の業績を上回る結果となっております。これは、売上総利益の改善、省エネ投資、DXによる業務効率化によるものが大きいです。
スーパーマーケット(SM)
スーパーマーケット、コンビニエンスストア、小型スーパーマーケットを運営しています。コロナ下では、ステイホームにおける中食需要の拡大から増益を続けていました。コロナが落ち着いたことによる反動を抑制するために店舗の活性化、デジタルシフト化を行なっています。中でも、首都圏を中心に店舗を展開するまいばすけっとは、都市圏の人流回復により客数が増加しました。セルフレジ導入による業務効率化やデータ分析による商品発注精度の向上で大幅増益となりました。
DS事業
ディスカウントストアを運営しています。SM事業(スーパーマーケット事業)と同様に、コロナ下では、ステイホームにおける中食需要の拡大から増益を続けていました。コロナが落ち着いたことによる反動を抑制するために店舗の活性化、デジタルシフト化を行なっています。近年は、インフレによる購買行動の変化を捉えたことで、2020年度のコロナ特需を上回る増益となりました。
ヘルス&ウエルネス事業
ドラッグストア・調剤薬局等を運営しています。2014年にウエルシアHDを買収してから同社の1つの事業の柱となっています。コクミンなどM&Aを繰り返すことで増益をしております。コロナ下では、マスクや生活必需品、薬品などの需要拡大により増益をしました。近年の物価高、特に水道光熱費の上昇により一時減益となりましたが、使用電力などのコストコントロールにより利益回復しました。
総合金融事業
クレジットカード事業、フィービジネス、銀行業、保険業を運営しています。コロナ下では、国内外でのカード取扱高の伸長やデジタル金融包摂の進展に取り組むことにより増益しました。近年では、近年では、営業債権残高は増加するも、貸倒関連費用の増加や顧客基盤拡大コストが先行し減益しました。海外は業績が改善しています。
ディベロッパー事業
ショッピングセンターの開発および運営を行なっています。コロナ下では、店舗の臨時休業やテナントの営業休止や賃料減免などにより厳しい状況を強いられました。ですが、コロナ収束で客足が戻り、増収増益を続けています。アセット活用やコスト圧縮で更なる収益改善を図っています。アセアン地域は、外需低迷などに伴う経済成長鈍化の影響を一部受けていますが、増収増益しています。中国は前年にコロナ休業期間の固定費を特損計上した影響を除けば実質13億円の増益となっています。
サービス・専門店事業
総合ファシリティマネジメントサービス業、アミューズメント、 外食、ファミリーカジュアルファッション・靴等を販売する専門店を運営しています。アフターコロナのエンタメ需要を捉えたイオンファンタジーやイオンエンターテイメントが牽引しています。また、収益構造改革に取組むジーフット、ブランド力強化・MD改革を進めるコックスが増収増益となりました。
国際事業
アセアン地区および中国の小売事業を運営しています。特に中国では新型コロナウイルスの影響が大きく、コロナ下では臨時休業を余儀なくされました。近年では、・アセアン:マレーシア・べトナムでは経済の悪化もあり営業利益が減益となりました。特に、衣料や住余の需要が低下しています。中国では、ゼロコロナ政策の解除で客数が回復し、湖北は売上・利益ともに好調です。
その他事業
モバイルマーケティング事業およびデジタル事業等を運営しています。
イオンは創業当時からM&Aを経営戦略の根幹にしています。
特に、リテール領域でM&Aを積極的に行っています。
2013年 ピーコックストアを買収
2014年 ウェルシアHDの子会社化
2015年 ダイエー、マルエツ、カスミを子会社化
2018年 フジとの資本提携
2020年 株式会社ツヴァイをIBJに売却
2021年 キャンドゥの子会社化
2023年 イオンビッグ株式会社、マックスバリュ南東北株式会社と合併
2023年 いなげやを子会社化