住友ゴムの市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析

住友ゴム工業株式会社は、1909年に創業されたタイヤメーカーの世界大手です。ダンロップ、ファルケンブランドで世界展開しています。グッドイヤーとの包括提携を2015年に解消しました。テニスやゴルフといったスポーツ用品事業もダンロップブランドで展開しています。テニスボールの公式球であるダンロップFORTは有名です。ゴルフでは、ゼクシオやスリクソンブランドで事業を展開しています。2017年にスポーツ用品のダンロップブランドの商標権を英スポーツダイレクト社から買収して、更なる海外展開を図っています。

業績推移(年次)

2019年度
売上高は893,310百万円で、前年度とほぼ同額となりました。営業利益は33,065百万円になりました。営業利益率は4%になりました。国内新車用タイヤは、納入車種拡大によるシェアアップや低燃費タイヤを中心とする高付加価値商品の拡販により販売数量が増加し、売上収益は前期を上回りました。 国内市販用タイヤは、「ダンロップ」ブランドの低燃費タイヤを中心とした高付加価値商品の拡販に加えて、消 費税率引き上げに伴う駆け込み需要を取り込みましたが、暖冬の影響により冬タイヤ販売が前期を下回ったため、 売上収益は前期を下回りました。 海外新車用タイヤは、欧州、北米のほか、新興国での納入拡大などにより、売上収益は前期を上回りました。 海外市販用タイヤは、アジア・大洋州地域では中国の景気減速の影響を受けましたが、欧州・アフリカ地域は、 欧州を中心に「ファルケン」ブランドの販売を順調に伸ばしました。米州地域では、北米で4WD・SUV用タイヤ 「WILDPEAK(ワイルドピーク)」が好調に推移するなど「ファルケン」ブランドの販売を伸ばしました。

2020年度
売上高は790,817百万円で、前年度比11%減となりました。営業利益は38,701百万円になりました。営業利益率は5%になりました。国内新車用タイヤは、納入車種拡大によるシェアアップや低燃費タイヤを中心とする高機能商品の拡販を進めましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により自動車メーカーの生産台数が大幅に減少したことから、売上収益は前期を下回りました。 国内市販用タイヤは、新商品「VEURO VE304(ビューロ ブイイー サンマルヨン)」をはじめとする「ダンロ ップ」ブランドの低燃費タイヤを中心に、高機能商品の拡販に加えて、新技術の「ナノ凹凸(オウトツ)ゴム」を採 用したダンロップ史上最高の氷上性能を実現したスタッドレスタイヤ「WINTER MAXX 03(ウインター マックス ゼ ロスリー)」の展開・拡販に努めましたが、新型コロナウイルス感染症による影響を受け市場が低迷したことによ り、売上収益は前期を下回りました。 海外新車用タイヤは、新型コロナウイルス感染症の影響により多くの地域で自動車メーカーの大幅な減産が発生 したことにより、売上収益は前期を下回りました。 海外市販用タイヤは、アジア・大洋州地域では、特に上半期の中国において新型コロナウイルス感染症の感染拡 大阻止に向けた大規模な都市封鎖が行われたこともあり、需要は大きく落ち込みました。欧州・アフリカ地域及び 米州地域においても、同様に、新型コロナウイルス感染症の影響により市場が低調となりました。下半期に入り、 地域により市場の回復度合いは異なりますが、中国・北米地域などの市況の回復の早い地域を中心に、高機能商品 の積極的な拡販を進めました。

2021年度
売上高は936,039百万円で、前年度比18%増となりました。営業利益は49,169百万円になりました。営業利益率は5%になりました。国内新車用タイヤは、世界的な半導体不足の影響等により自動車メーカーの生産台数が減少したことが受注に影 響し、販売は前期を下回りました。 国内市販用タイヤは、夏タイヤで高機能商品の販売が増加しました。また、季節に左右されずに安全・安心を提 供できる商品として好評を得ているオールシーズンタイヤのカテゴリーで、乗用車用に加えてタクシーやバン用の タイヤも発売しました。冬タイヤの販売は降雪の影響もあり堅調に推移しました。これらの結果、販売は前期を上 回りました。 海外新車用タイヤは、半導体不足影響による自動車メーカーの減産はありましたが、新型コロナウイルス感染症の影響で大きく落ち込んだ前期よりも受注が回復し、販売は前期を上回りました。 海外市販用タイヤは、アジア・大洋州地域では中国で新商品投入の効果により販売が増加したほか、需要が回復 しているインドネシアでも拡販できました。欧州においてはタイヤ需要が回復する中、レース活動などプロモーシ ョンの効果もあり販売本数を伸ばすことができました。米州地域においては、北米でSUV用タイヤの「ワイルドピ ーク」シリーズが引き続き好調で販売を伸ばしましたが、輸送コンテナの逼迫による制約に加えて、輸送費高騰の 影響を大きく受けました。南米においては地産地消の強みを活かし、旺盛な需要に対応して販売を伸ばすことがで きました。

2022年度
売上高は1,098,664百万円で、前年度比17%増となりました。営業利益は14,988百万円になりました。営業利益率は1%になりました。国内新車用タイヤは、世界的な半導体不足等により自動車メーカーの減産が続いていることの影響を受け低調に 推移しました。足元の販売状況は前期を上回るなどやや回復傾向がみられましたが、累計の販売は前期を若干下回りました。 国内市販用タイヤは、年初より好調に推移しておりましたが、年末にかけては降雪の遅れや物価上昇によるタイヤ消費マインド低下の影響がみられました。夏タイヤでは新商品のグローバルフラッグシップタイヤやプレミアム 商品の販売に注力したほか、季節に左右されずに安全・安心を提供できる商品として好評を得ているオールシーズンタイヤは市場認知度が徐々に上がってきており販売を伸ばしました。冬タイヤの販売は年間ではほぼ前期並みとなりました。これらの結果、販売は前期とほぼ同等となりました。 海外新車用タイヤは、半導体不足影響による自動車メーカーの減産はありましたが、新型コロナウイルス感染症の影響で大きく落ち込んだ前期よりも販売が回復し、前期を上回りました。 海外市販用タイヤは、アジア・大洋州地域では、中国でゼロコロナ政策の影響もあり販売が低調に推移し前期を下回りました。

2023年度
売上高は1,177,399百万円で、前年度比7%増となりました。営業利益は64,490百万円になりました。営業利益率は5%になりました。国内新車用タイヤは、世界的な半導体不足による自動車メーカーの生産制約が下期以降徐々に解消され、前期より大きく増販することができました。 国内市販用タイヤは、冬タイヤの7月からの値上げの影響や暖冬で出荷が低調だったこともあり、前期から微減 となりました。 海外新車用タイヤについては、中国やインドネシアでは減少となりましたが、欧米では増販でき、全体ではほぼ前年並みとなりました。 海外市販用タイヤは、アジア・大洋州地域において、中国での販売は新型コロナウイルスの影響で大きく落ち込んだ前期を上回ったものの、市況低迷の影響を受け低水準にとどまっています。

住友ゴム工業の業績推移

住友ゴム工業の業績推移

四半期業績推移

2023年第1四半期(1ー3月)
売上高は276,761百万円になりました。営業利益は7,767百万円、営業利益率は3%になりました。国内新車用タイヤは、世界的な半導体不足等により自動車メーカーの減産が続いていることの影響を受け低調に推移しましたが、足元の販売状況は前年同期を上回るなど回復傾向が見られました。国内市販用タイヤは、冬タイヤのプレミアム商品が市場の高い支持のもと前年同期を上回る販売を達成しましたが、全体としての販売は前年同期から微減となりました。 海外新車用タイヤについては半導体不足影響による自動車メーカーの減産はありましたが、新型コロナウイル ス感染症の影響で大きく落ち込んだ前年同期よりも販売が回復し、前年同期を若干上回りました。海外市販用タイヤは、アジア・大洋州地域において中国ではゼロコロナ政策が撤廃されたこともあり販売が徐々に回復しましたが、前年同期よりは下回りました。

2023年第2四半期(4ー6月)
売上高は284,400百万円になりました。営業利益は9,043百万円、営業利益率は3%になりました。国内新車用タイヤは、世界的な半導体不足等により自動車メーカーの生産制約は続いているものの、その影響は緩和してきており、足元の販売状況は前年同期を上回っています。 国内市販用タイヤは、冬タイヤの販売が好調だったことに加え、夏タイヤについても前年同期並みの販売を維持しました。値上げ前の仮需要発生もあり、全体としての販売は前年同期から増加となりました。 海外新車用タイヤについては半導体不足影響による自動車メーカーの減産などがあり一部地域では前年同期割れとなりましたが、新型コロナウイルスの影響で大きく落ち込んだ前年同期よりも販売が回復した地域が多く、 前年同期を上回りました。 海外市販用タイヤは、アジア・大洋州地域において中国ではゼロコロナ政策が撤廃されたこともあり販売が徐々に回復し、前年同期を上回りました。

2023年第3四半期(7ー9月)
売上高は289,541百万円になりました。営業利益は24,633百万円、営業利益率は9%になりました。国内新車用タイヤは、世界的な半導体不足等による自動車メーカーの生産制約は緩和してきており、足元の販売状況は前年同期を上回っています。国内市販用タイヤは、市況の停滞に加え、7月からの冬タイヤの値上げの影響もあり第3四半期の販売がやや低調に推移したこともあり、前年同期から減少しました。 海外新車用タイヤにつきましては、主要市場の中国で前年同期割れとなったことなどから、前年同期をわずかながら下回りました。 海外市販用タイヤは、アジア・大洋州地域において中国での販売はコロナ影響で大きく落ち込んだ前年同期を上回ったものの、市況低迷の影響で低水準にとどまっています。

2023年第4四半期(10ー12月)
売上高は326,697百万円になりました。営業利益は23,047百万円、営業利益率は7%になりました。

2024年第1四半期(1ー3月)
売上高は291,360百万円になりました。営業利益は20,696百万円、営業利益率は7%になりました。国内新車用タイヤは、一部の自動車メーカーにおける減産の影響などにより、販売量は前年同期を大きく下回 りました。国内市販用タイヤは、昨年同期の値上げ前の駆け込み需要の反動と、3月下旬までの寒さにより冬タイヤから 夏タイヤへの履き替えが遅れたことにより前年同期より減少しました。海外新車用タイヤについては、主要市場の中国では増販できましたが、東南アジアにおいて出荷量が減少した影響により、全体としても販売減となりました。海外市販用タイヤは、アジア・大洋州地域において中国での販売は市況低迷の影響で低水準にとどまっています。

住友ゴム工業の四半期業績推移

住友ゴム工業の四半期業績推移

EPS・配当額・配当性向の推移

希薄化後EPSは前年度比293%増の140.86円になりました。1株当たりの配当は前年度比66%増の58円になりました。配当性向は41%になりました。

住友ゴム工業のEPS・配当額・配当性向の推移

住友ゴム工業のEPS・配当額・配当性向の推移

業績予想

2024年5月
2024年度第一四半期の決算短信において、2024年度通期の売上は1,200,000百万円、営業利益は61,000百万円を予定していると掲載されています。

売上構成

セグメントは、タイヤ、スポーツ、産業品他に分類されます。セグメント別の売り上げ構成は以下の通りです。

セグメント別売上構成(2023年度))

セグメント別売上構成(2023年度))

タイヤ
タイヤ・チューブ(自動車用、建設車両用、産業車両用、レース・ラリー用、モーターサイクル用等)、オートモーティブ事業(パンク応急修理剤、空気圧警報装置等)
乗用車用のメインブランドは「ダンロップ」と「ファルケン」

スポーツ
ゴルフクラブ、ゴルフボール、ゴルフバッグ、ゴルフシューズ、テニスラケット、テニスボール、テニスシューズ等の用品製造販売、ゴルフトーナメントの運営、ゴルフスクール・テニススクールの運営、ゴルフ場の運営

産業品他
制振ダンパー、OA機器用精密ゴム、印刷用ブランケット、医療用精密ゴム、炊事・作業用手袋、車椅子用スロープ、防舷材、工場用・スポーツ施設用各種床材等

M&A情報

2017年 Sports Direct Internationalから海外のDUNLOP商標権とDUNLOPブランドのスポーツ用品事業およびライセンス事業を買収
2017年 下にタイヤ卸・小売会社であるMicheldever Tyre Services等を保有する持株会社Micheldever Groupを買収

株主構成

住友電工が筆頭株主です。

株主構成(直前期末時点)

株主構成(直前期末時点) 出所:四季報

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