シスコシステムズの市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析

Cisco Systems(シスコシステムズ)は、1984年にスタンフォード大の学生によって設立されたネットワーク機器大手です。中興の祖であるジョンチェンバース(John Chambers)氏の強いリーダーシップのもとで、法人向けネットワーク機器を強化し、法人向けのスイッチ、ネット接続用ルーター、電話会議やビデオ会議システムで世界最大手となりました。SaaS型でWebex等のビデオ会議システムを提供しています。M&Aにも積極的です。

業績推移(年次)


2019年度
売上高は51,904百万ドルで、前年度比5%増となりました。営業利益は14,219百万ドルになりました。営業利益率は27%になりました。製品による売上高は6%増加し、サービスによる売上高は2%増加しました。製品売上高は、中国で 16% 減少し、ブラジルで 1% 減少しましたが、メキシコ、ロシア、インドでの製品売上高がそれぞれ 26%、6%、5% 増加したことによって相殺されました。

2020年度
売上高は49,301百万ドルで、前年度比5%減となりました。営業利益は13,620百万ドルになりました。営業利益率は28%になりました。製品による売上高は8%減少し、サービスによる売上高は3%増加しました。新興国の製品収益は、インド、中国、メキシコ、ブラジルで減少し、合計で25%減少しました。

2021年度
売上高は49,818百万ドルで、前年度比1%増となりました。営業利益は12,833百万ドルになりました。営業利益率は26%になりました。ネットワーク事業での売上額減少(543百万ドル減)を、インターネット事業とセキュリティ事業の売上増で相殺しました。ネットワーク事業においては、ワイヤレス部門を除いた部門全てで減収となりました。

2022年度
売上高は51,557百万ドルで、前年度比3%増となりました。営業利益は13,969百万ドルになりました。営業利益率は27%になりました。ネットワーク事業で1,107百万ドルの増収、インターネット事業で764百万ドルの増収となり、全体の売上増に貢献しました。ネットワーク事業においては、エンタープライズルーティング部門(企業内のネットワークでデータが移動するための経路を管理するプロセスやテクノロジーを提供)を除く全ての部門で成長を記録しました。インターネット事業の増収は、ウェブサービス部門(主に大規模なウェブサービスやオンラインプラットフォームを提供)の増収によるものです。

2023年度
売上高は56,998百万ドルで、前年度比11%増となりました。営業利益は15,031百万ドルになりました。営業利益率は26%になりました。売上高増加の要因は、ネットワーク事業で5,274百万ドル売上が増加したことが主な要因です。キャンパススイッチング製品とデータセンタースイッチングネットワーク製品が、ネットワーク事業の売上増に貢献しました。

シスコシステムズの業績推移

シスコシステムズの業績推移

業績推移(四半期)


2023年第1四半期(08ー10月)
売上高は13,632百万ドルになりました。営業利益は3,540百万ドル、営業利益率は26%になりました。

2023年第2四半期(11ー01月)
売上高は13,592百万ドルになりました。営業利益は3,292百万ドル、営業利益率は24%になりました。

2023年第3四半期(02ー04月)
売上高は14,571百万ドルになりました。営業利益は3,946百万ドル、営業利益率は27%になりました。

2023年第4四半期(05ー07月)
売上高は15,203百万ドルになりました。営業利益は4,253百万ドル、営業利益率は28%になりました。

2024年第1四半期(08ー10月)
売上高は14,668百万ドルになりました。営業利益は4,276百万ドル、営業利益率は29%になりました。

シスコシステムズの四半期業績推移

シスコシステムズの四半期業績推移

EPS・1株配当・配当性向

希薄化後EPSは前年度比9%増の3.07ドルになりました。1株当たりの配当は前年度比3%増の1.54ドルになりました。配当性向は50%になりました。

シスコシステムズのEPS・1株配当・配当性向の推移

シスコシステムズのEPS・1株配当・配当性向の推移

業績予想

2023年11月
2024年度第一四半期のレポートにて、2024年度通期の売上は53,800百万から55,000百万ドル、EPSはGAAPで2.97から3.08ドルを予定していると掲載されています。

売上構成

セグメントは、ネットワーク事業、インターネット事業、コラボレーション事業、セキュリティ事業、アプリケーション事業、サービス事業に分類されます。セグメント別の売り上げ構成は以下の通りです。

シスコシステムズの売上構成(2022年度)

シスコシステムズの売上構成(2022年度)

ネットワーク事業
ハードウェア部門と、ソフトウェア ライセンスや SaaS を含むソフトウェア部門で構成されており、顧客のネットワーク構築、自動化、異なるコンポーネントやプロセスにおける統一的かつ効率的管理、統合、データのデジタル化を支援します。

インターネット事業
ルーテッド・オプティカル・ネットワーキング部門、5G部門、シリコン・光学ソリューション部門で構成されており、低遅延と高速化に対する高まる需要に効率的に応えることで、インターネットとクラウド環境への接続を変革することに注力しています。

コラボレーション事業
ミーティング部門、コラボレーションデバイス部門、通話部門、コンタクト センター部門、通信プラットフォーム部門で構成されています。ハードウェアだけでなく、永久ライセンスやサブスクリプション契約を含むソフトウェアも提供しています。企業活動におけるチームが容易くコラボレーションできるテクノロジーを提供することで、従業員と顧客のエクスペリエンスをより包括的で魅力的なものにすることに注力しています。

セキュリティ事業
クラウド&アプリケーションセキュリティ部門、産業用セキュリティ、ネットワークセキュリティ、ユーザーデバイスセキュリティ部門で構成されます。

アプリケーション事業
あらゆるデジタルエクスペリエンスを確認、解析、改善し、最新のデジタル環境でのシームレスな接続を確保する技術を提供します。

サービス事業
顧客が購入した製品に関して幅広いサービスとサポートを提供します。

M&A情報

ネットワーク機器やインターネットコミュニケーション分野での技術的な補完を狙った買収を積極的に行っています。

2017年 広域ネットワークを効果的かつ柔軟に制御するための技術開発をする Viptela の買収を完了
2017年 データセンター向けの分散ファイルシステムを開発する Springpath の買収を完了
2018年 新しい見込み客を見つけ、販売プロセスをナビゲートし関係を強化するための AI 主導インテリジェンスプラットフォームを提供する Accompany の買収を完了
2018年 アクセスセキュリティと多要素認証ソリューションを提供する Duo Security の買収を完了
2019年 シリコンフォトニクステクノロジーを使用して、サービスプロバイダーの市場セグメントやその他の顧客向けに統合光学機能を構築する Luxtera の買収を完了
2019年 会議のトランスクリプト、音声検索、およびハイライトを提供するサービスを開発する Voicea の買収を完了
2019年 豊富な API、予測分析、統合感情分析によりカスタマーエクスペリエンス管理ソリューションを提供する CloudCherry の買収を完了
2020年 通信ネットワークソリューションを提供する Fluidmesh Networks の買収を完了
2020年 ネットワークの健全性に関する豊富なデータを提供するネットワーク監視テクノロジーを提供する ThousandEyes の買収を完了
2020年 人間の音声を不要なノイズから区別し、通信および会議アプリケーションの音声品質を向上させるテクノロジーを開発する BabbleLabs の買収を完了
2021年 クラウド通信ソフトウェアとサービスを提供するプロバイダ企業である IMImobile PLC の買収を完了
2021年 急速に増大する消費者のデータ需要に応えることを可能にする高速光相互接続テクノロジーを開発する Acacia Communications の買収を完了
2021年 企業や組織が遭遇する潜在的な脆弱性やセキュリティ上の脅威に対処するためのソリューションを提供する Kenna Security の買収を完了
2021年 会議、セミナー、展示会、ウェビナーなどのイベントを管理するテクノロジーを提供する Socio Labs の買収を完了
2023年 サイバーセキュリティとシステム監視サービスを提供する Splunk を買収する両社の最終合意を発表
2023年 オープンソースのクラウドネイティブネットワーキングとセキュリティのリーダーである Isovalent を買収し、パブリッククラウド全体にわたるセキュリティネットワーキング機能を強化する意向を発表

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