ルフトハンザ航空は、1926年に設立されたドイツ最大の航空会社です。大戦を経て東西ドイツへ分割された時期もありますが、東西ドイツ統一時に東ドイツの事業を引き継ぎました。1994の民営化後は、スイス航空やオーストリア航空を買収して規模を拡大させています。
業績推移
2020年度は新型コロナウィルスの影響もあり、特にエアライン事業が大幅な減収と営業損失となりました。
売上構成
エアライン事業
ルフトハンザ(Lufthansa)、スイス国際航空(Swiss International)、ベルギー航空(Brussels Airlines)、オーストリア航空(Austrian Airlines)、エアー・ドロミティ(Air Dolomiti)、ジャーマンウィングズ( Germanwings)、エーデルワイス航空(Edelweiss Air)が含まれます。
ユーロウィングス事業
格安航空機事業であるユーロウィング(Eurowings)とおよびサンエキスプレス(SunExpress Deutschland)が含まれます。
運輸・物流事業
ルフトハンザグループの物流専門会社であるルフトハンザカーゴAGに加え、航空貨物のコンテナ管理を行うジェットテナーグループ、特に緊急性の高い貨物に特化した子会社のtime:matters、貨物航空会社エアロ・ロジックなどが含まれます。
メンテナンス事業
民間航空機のメンテナンス、修理、オーバーホールサービス(MRO)のサービスを提供しています。
ケータリング事業
LSG Sky Chefsを通じて航空会社向けにクラシックなケータリングを提供しているほか、ラウンジの運営も行っています。
株価推移
過去のM&A
2011年 ブリティッシュ・ミッドランド航空をIAGへ売却
2009年 オーストリア航空を買収
2008年 格安航空会社であるJetBlue航空を買収
2005年 スイス航空を買収
ルフトハンザ航空の市場シェア
ルフトハンザ航空は、エアライン業界、機内食業界、インフライトエンターテイメント業界で市場シェア上位に位置しています。
https://deallab.info/in-flight-entertainment/
https://deallab.info/flightinmeal/
ルフトハンザ航空の再生プロセス
2020年に新型コロナウィルス感染症の影響を受けて、ドイツ政府から公的資金を受け入れました。
- 2020年5月25日公的資金受け入れの表明
ドイツ政府から連邦経済安定化ファンド(Economic Stabilisation Fund、WSF)を通じて資金支援を受けることを表明しました。
- 5月29日監査役会の承認
Supervisory Board(監査役会)も経済安定化ファンドからの出資受け入れを、当局と株主総会での承認を条件にして、承認しました。
- 6月17日Heinz Hermann Thiele氏の反応
ルフトハンザ航空の大株主であるHeinz Hermann Thiele(ヘインズ・ハーマン・ティーレ)氏がファンドからの受け入れ条件について難色を示しました。
- 6月25日臨時株主総会
- 総額90億ユーロの公的資金およびローンの提供
- 3億ユーロでの20%の新株取得も含む、WSFからのルフトハンザ航空への57億ユーロのサイレントキャピタルでの資金提供(計60億ユーロ)
- ドイツ復興金融公庫(KfW)と民間銀行からの30億ユーロのローン
- 8月6日再建プログラム
公的資金の早期返済に向けた再建プログラム(ReNew” restructuring program)を発表しました。主な内容は、
- 2万2000人の従業員削減
- 機材数100機削減し、2023年までに15%の生産性向上
- 経営陣の20%削減
が含まれます。
- 8月19日パイロットの報酬削減
ルフトハンザ、ルフトハンザカーゴ、ルフトハンザアビエーショントレーニングのパイロットの2020年末までの報酬削減を決定しました。