日立製作所による日立金属の戦略レビュー

日立製作所グループ会社である日立金属が戦略レビューの対象になっているという報道が相次いでいます。日立金属の売却に関する報道や同社の事業構成、商品別の市場シェア、業績推移について分析を開始しました。

日立金属の戦略レビューに関する報道

ロイターの報道によれば、日立製作所が保有する約53%の日立金属の戦略レビューの手続きに入っているとのことです。時事通信によると、日立製作所は米系の投資銀行を任用して入札を開始しています。2次入札は2021年3月下旬を見込んでいて、KKR、ベインキャピタル、カーライル、日本産業パートナーズ、産業革新投資機構が応札を検討しているとのことです。⇒参照したデータの詳細情報

日立金属とは

1956年に日立製作所の製鉄・金属加工事業が分社化する形で設立された会社です。ルーツを遡れば、1899年に島根県安来市(やすぎし)に設立された雲伯鉄鋼合資会社や1910年に北九州市で設立された可鍛鋳鉄製造を行う戸畑鋳物が源流とも言われています。島根県安来市には現在でも安来工場や冶金(やきん)研究所があります。島根県は、日本独自の製鉄法である「たたら製鉄」が盛んで、鋭利かつ耐久性に優れた刀剣等を産んできました。日立金属も、刃物・金型、高性能機械等向けにヤスキハガネブランドで、硬度や耐久性に優れた鋼材を提供してきたことが同社の発展にも繋がっています。
現在は、金属材料と機能部材が事業の柱となっています。

日立金属の売上高、営業利益、営業利益率、経常利益の推移は以下の通りとなります。

(単位:百万円)2016/3月期2017/3月期2018/3月期2019/3月期2020/3月期
売上高1,017,584910,486988,3031,023,421881,402
営業利益99,95468,26746,32642,442-39,126
営業利益率9.8 %7.5 %4.7 %4.1 %-4.4 %
経常利益96,23366,01646,98543,039-40,614
日立金属の2016年~2020年3月の決算推移
出所:同社有報をもとにディールラボ作成

2020年3月期は、自動車販売台数減の影響、FA・ロボットの需要低迷といった影響をうけ、売上高は前年比マイナス14%、営業損失を計上しています。

TOPIXと日立金属の株価推移

業績は芳しくありませんが、TOPIXとの比較では、インデックスを上回るパフォーマンスを示しています。ロイターや時事通信の報道もあり、今後の再編期待から株価が堅調に推移している可能性もあります。

2018年2月23日の株価を100として指数化しています。©ディールラボ

事業構成

日立金属の事業構成は金属材料と機能部材が柱で、さらに細分すると以下の通りとなります。

産業インフラ用途自動車用用途エレクトロニクス用途
特殊鋼タービンケース
工具鋼
CVTベルト材クラッド材
リードフレーム材
ロール圧延用ロール
自動車鋳物ピストンリング材
耐熱鋳造部品
エンジンバルブ材
配管機器菅継手
ガス用ポリエチレン
磁性材料ネオジム磁石
フェライト磁石
パワエレアルファモス金属
電線鉄道車両用電線
ケーブル
窒化ケイ素基板
自動車部品ブレーキ用ハーネス
日立金属の部材と用途のマトリックス表
出所:同社資料よりディールラボ作成

同社公表資料(⇒参照したデータの詳細情報)によれば、世界1位の市場シェアを占める商品には、モータ磁石、ピストンリング、CVTベルト、トルクセンサー、EPB用ハーネス、クラッド材、リードフレーム材、有機EL背面材があげられています。

今後需要の減少やESG上の問題を指摘されている内燃機関(ガソリンエンジン)自動車向けの部材として、CVTベルト、ピストンリング、タービンホイール等があり、EV化への技術変更対応をする必要があります。電池部材や高周波材料は今後のEV化で需要が伸びることが予想されます。

考察

  • 日立金属は日本古来の冶金技術を伝承し技術立国日本を体現する会社
  • 鋼や冶金技術から派生した商品群の技術的な競争力は随一
  • 主要セグメントである自動車や輸送機は、動力機関の変換期を迎え、必要部材の新規開発が見込まれる
  • 素材間での競争、鉄やアルミといった素材にチャレンジする炭素繊維複合材料等、を見据えた差別化戦略も重要

参照したデータの詳細情報について


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