活性炭業界の世界シェアと市場規模について分析をしています。クラレ、大阪ガス、インゲビティ、キャボットといった活性炭に強いメーカーの概要や動向も掲載しています。
【活性炭とは】
活性炭とは、石炭やヤシ殻等を高温で熱することでできた網目状の孔(微細孔)構造を持つ炭素の総称です。物質を吸着する力があり、水の浄水、空気の浄化、電極、気体の分離といった場面で使用されています。石炭火力発電所の排ガス装置としても使われています。活性炭の中でも高機能品分野は高い成長をしています。

さらに詳しくなるためのお薦め書籍と関連サイト
活性炭ハンドブック
活性炭読本
水処理薬品業界の世界市場シェアの分析
水処理機器業界でM&Aや再編対象となる会社の分析
【活性炭業界の世界市場シェア】
活性炭業界の2024年度の売上高⇒参照したデータの詳細情報を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2024年の活性炭業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はクラレ、2位はインゲビティ、3位は大阪ガスとなります。
.png)
*2024年度数値が未発表、2023年度数値
活性炭メーカーの世界市場シェアと業界ランキング(2022年)
順位 | Company name (English) | 企業名(日本語) | 世界シェア |
---|---|---|---|
1位 | Kuraray Co., Ltd. | クラレ | 21.17% |
2位 | Ingevity Corporation | インゲビティ | 11.75% |
3位 | Osaka Gas Chemicals Co., Ltd. | 大阪ガス* | 7.27% |
4位 | Fujian Yuanli | 福建元力活性炭 | 3.83% |
*2024年度数値が未発表、2023年度数値
1位は日本を代表する機能性化学メーカー、クラレです。2位は米国に本拠を置く自動車向けの素材メーカー、インゲビティです。3位は大阪ガス、子会社である大阪ガスケミカルが活性炭事業を展開しています。4位は中国に本拠を置く活性炭メーカー、福建元力活性炭です。
【活性炭業界の世界市場規模】
当データベースでは、2024年の活性炭業界の市場規模を39億ドルとしております。参照した各種調査データは次の通りとなります。調査会社エキスパートマーケットリサーチによると、2024年の同業界の市場規模は39億ドルです。2033年にかけて年平均3.8%で成長し、規模は55億ドルへと拡大することを見込んでいます。⇒参照したデータの詳細情報
年 | 市場規模 | 成長率見込み |
2024 | 39億ドル | – |
2033 | 55億ドル | 3.8% |

【M&Aの動向】
2012年 キャボットが同業のノリットを買収
2013年 大阪ガスがジャコビを買収
2015年 ウェストロックよりインゲビティが分社化独立
2016年 カルゴンカーボンが仏アルケマよりCecaを買収
2016年 ドナウ・カーボンがStandard Purificationとの合併を発表
2018年 インゲビティがPurification Cellutionsを完全買収 2018年 大阪ガスグループ、Daigasグループに社名変更
2022年 キャボットコーポレーションがTokai Carbon (Tianjin) Co., Ltdを買収
2022年 One Equity Partnersがキャボットコーポレーションからノリットを買収 2022年 インジェビティ、舗装マーキング材大手オザークマテリアルズの買収を完了 2025年 クラレは、幅広い基材に対するユニークな表面改質技術を有するNelumbo Inc.を買収
さらに詳しくなるためのお薦め書籍と関連サイト
活性炭ハンドブック
活性炭読本
水処理薬品業界の世界市場シェアの分析
水処理機器業界でM&Aや再編対象となる会社の分析
【会社の概要】
Kuraray Co., Ltd.(株式会社クラレ)
日本を代表する機能性化学メーカーです。2017年に米国に本拠を置く活性炭の大手メーカーであるCalgon Carbon(カルゴンカーボン)を買収し、活性炭事業を強化しています。同社は石炭や木材からの活性炭に強みを持ち、汚水処理も手掛けています。仏アルケマ社から活性炭事業のCecaを買収する等して事業を展開していました。
Osaka Gas Chemicals Co., Ltd.(大阪ガス株式会社)
日本の大手ガス会社です。子会社である大阪ガスケミカルが活性炭事業を展開しています。2013年に欧州事業に強みを持つスウェーデンに本拠を置く活性炭メーカーであるJacobi Carbons(ジャコビカーボンズ)を買収しました。
Ingevity Corporation(インゲビティ)
米国に本拠を置く自動車向けの素材メーカーです。2015年に包装材大手のMeadWestvaco(メッドウェストヴェイコー)と RockTenn(ロックテン)が経営統合して誕生したWestRock(ウェストロック)より分社化して誕生しました。
Haycarb (Pvt) Ltd.(ヘイカーブ)
スリランカのココナッツ殻ベースの活性炭製造会社で、1973年に法人化しました。スリランカ、タイ、インドネシアで製造工場を運営し、米国、英国、オーストラリアにマーケティング事務所があります。
Fujian Yuanli Activated Carbon Co., Ltd.( 福建元力活性炭有限公司)
中国に本拠を置く活性炭メーカーです。
Arkema S.A.(アルケマ)
フランスを代表する機能性化学メーカーです。石油メジャーのTotalから2004年に分社化して誕生しました。接着剤、パフォーマンスマテリアル、コーティング事業が3分柱です。2021年にPMMA事業を合成ゴム大手メーカーであるTrinseoへ売却しました。さらに詳しく
Cabot Corporation(キャボットコーポレーション)
1882年に設立された米国に本拠を置く特殊化学品大手です。活性炭事業でも世界大手級です。ニューヨーク証券取引所に上場しています。2012年に活性炭メーカーのノリット(Norit)を買収しました。
Donau Carbon GmbH(ドナウ・カーボン)
ドイツに拠点を置く活性炭と吸着材の生産、供給、サービスに積極的に取り組んでいる会社です。
米国、カナダ、カリブ海市場で事業を展開し、ドイツとオーストリアを拠点とする企業研究開発施設でドナウ・カーボン活性炭の全スペクトラムとサービスを提供しています。
2016年には活性炭製品の独立系メーカーであるスタンダード・ピュリフィケーション社との合併を発表しました。
Century Chemical Works Sdn. Bhd(センチュリーケミカルワークス)
1969年に日本とマレーシアの実業家によって設立された合弁会社であり、技術を駆使し、市場を重視し、顧客重視をモットーに、MALBONという登録商標で粉末活性炭(PAC)を製造しています。
CarboTech AC GmbH(カーボテックAC社)
ドイツに拠点を置く活性炭を製造している企業です。炭素モレキュラーシーブの製造と開発において約30年の経験を持ち、世界中に顧客をもっています。
CarbUSA(カーブUSA)
CarbUSAは、米国を拠点とするグローバル企業であり、活性炭やその他のハイテク製品をベースとしたあらゆる種類の浄化ソリューションを提供しています。
Westrock(ウェストロック)
Westrock(ウェストロック)は、2015年にパルプ製紙大手のRock-Tenn(ロックテン)と包装材大手のMeadWestvaco(メッドウエストヴェイコ)が経営統合をして誕生しました。主力事業は、段ボール紙と商品用包装用紙の製造・加工です。飲料・食品・日用品パッケージなど消費財向け梱包材を得意とします。
なおロックテンは、2011年に段ボール大手のSmurfit-Stone Container(スマーフィット・ストーン・コンテナー)社を買収しました。直近では、SP Fiber、Cenveo Packaging、Star Pizza、MPS、U.S. Corrugated、Island Container、Hannapak、Plymouth Packaging、Schlüter Print Pharma、KapStone、Linkx、UBSを買収し、M&Aによる成長戦略を強化しています。
ADA Carbon Solusions(ADAカーボンソリューションズ)
2008年に設立された米国に本拠を置く活性炭メーカーです。Energy Capital傘下にあります。
参照したデータの詳細情報について
参照したデータは以下の通りです。リンク切れなどありましたら、お問い合わせのページからご連絡頂けますと大変有難く存じます。
参照した市場規模の情報 ※以下のsourceは御覧いただきますタイミングにより上記市場規模と数値が異なる場合がございます。