ウラン濃縮業界の世界シェアと市場規模の情報について分析をしています。米国のウラン濃縮大手であった合衆国濃縮公社(USEC)が経営破たんした結果、ロシアの トベルフュエル(ロスアトム) 、英独蘭共同企業体のウレンコ、仏オラノ(旧アレバ)、中国核工業集団公司が市場をほぼ寡占しています。
【市場シェア】
世界原子力委員会が発表したウラン濃縮会社各社の2022年の濃縮ウラン分離キャパシティ⇒参照したデータの詳細情報を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2022年のウラン濃縮業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はトベルフュエル、2位はウレンコ、3位は中国核工業、4位はOranoとなります。
ウラン濃縮会社の世界市場シェアと業界ランキング(2022年)
| 順位 | Company name(English) | 企業名(日本語) | 市場シェア |
|---|---|---|---|
| 1位 | Rosatom/TVEL Fuel | ロスアトム / トベルフュエル | 44.1% |
| 2位 | Urenco | ウレンコ | 29.1% |
| 3位 | China National Nuclear Corporation | 中国核工業 | 14.5% |
| 4位 | Orano | オレノ | 12.2% |
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1位は、ロシアの Rosatom が依然として最大の事業者となっており、ノヴォウラルスク、ゼレノゴルスク、アンガルスク、セヴェルスクの4工場を合わせて年間2,700万SWUを超える能力を保有しています。
2位は Urenco で、英国、ドイツ、オランダ、米国に濃縮施設を持ち、ニューメキシコ州のUUSA工場では年間70万SWUの能力追加が計画されるなど、拡張が進んでいます。
3位には中国核工業集団(CNNC)が入り、推定約900万SWUの能力を持っています。ロシア製遠心分離機による150万SWUに加え、2018年以降は国産遠心分離機の生産ラインが稼働し、能力を拡大してきました。
4位はフランスの Orano で、トリカスタンのジョルジュ・ベスII(GBII)プラントが年間750万SWUの能力を持ち、2023年には250万SWUの増強計画が決定され、2024年には定礎式が行われています。
5位以下にはブラジル、日本、アルゼンチン、インド、パキスタン、イランなどが続きますが、いずれも世界市場におけるシェアは1%未満にとどまり、商業的な影響力は限定的です。
【市場規模】
当データベースでは、2022年の濃縮ウランの市場規模(キャパシティベース)を615億SWU/年としております。参照した各種調査データは次の通りとなります。
World Nuclear Associationによると、2025年の同業界の市場規模は629億SWUです。2030年には、その規模は703億SWUへと拡大することを見込んでいます。※SWUは分離作業量 (Separative Work Unit, SWU) の意味です。
| 年 | 市場規模(千 tSWU/年) | 成長率見込み |
| 2022 | 61,500 | – |
| 2025 | 62,900 | – |
| 2030 | 70,300 | – |

燃料ウランの作り方
燃料ウランを作るには、ウラン鉱石を製錬しウラン精鉱にした後、転換と濃縮と再転換を行う必要があります。ウラン濃縮(Uranium Enrichment、ウラニウム・エンリッチメント)とは、 核分裂に伴う熱エネルギーを放出するウラン235の濃度を高め、原子力発電に適した燃料にするプロセスです。ウラン精鉱には核分裂を行わないウラン238も含まれており、ウラン235の比率を高めないと燃料としては利用できません。

ウラン濃縮方法には、ガス遠心分離とガス拡散法がありますが、ガス拡散法を主導していた合衆国濃縮公社(USEC)が経営破たんしたことも影響し、現在はロシアのTVEL(トベル)とURENCO(ウレンコ)が開発を行っている、ガス遠心分離法が主流となっています。
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【会社の概要】
TVEL Fuel Company(トベル・フュエル・カンパニー)
2009年に設置されたロスアトム(Rosatom)傘下にあるAtomenergoprom(アトムネルゴプロム)の子会社です。ウラン転換、濃縮、再転換、燃料成型加工業務を専門に手掛けています。下の図表の通り、ロシア、中国、インド、イラン、アルメニア、ブルガリア、ウクライナ、フィンランド、スロバキア、ハンガリー、チェコ等にある原子力発電所への燃料の供給を行っています。

ウラン濃縮は、アンガルスク電解化学コンビナート (Angarsk Electrolysis Chemical Complex (AECC))、ウラル電気化学コンビナート(Ural Electrochemical Integrated Plant (UEIP))、生産合同電気化学コンビナート(Production Association “Electrochemical Plant” (PA ECP))、シベリア化学コンビナート(Siberian Group of Chemical Enterprises (SGChE))のロシア国内4か所で行われています
ウラン燃料の加工における世界シェア(2018年)では、トップ3に一角を占めています。

Rosatom(ロスアトム)について
ロシアの国営原発会社です。ロシア原子力庁を母体として2007年に設立されました。原子力発電所の運営、ウランの濃縮や加工、原子力機器製造などを行う総合原子力会社です。海外展開に積極的で、原子力発電所の開発から運営、廃棄物の処理までを一貫して行う体制に強みがあります。傘下には、中間持株会社のAtomenergomash(アトムエネルゴプロム)、原子力発電所の運営会社であるRosenergoatom(ロスエネルゴアトム)、原子力発電機器メーカーであるАtomenergomash(アトムエネルゴマッシュ)、ウラン濃縮・転換のTvel(トベル)、ウラン探鉱・採掘のARMZ(アルムズ)、ウラン輸出のTenex(テネックス)、海外の原子力発電所建設のAtomstroyexport(アトムストロイエクスポルト)などを傘下に擁します。
URENCO(ウレンコ)
1970年代に、イギリス、オランダ、ドイツ政府によって設立されたウラン濃縮会社です。現在もイギリス政府、オランダ政府、ドイツの電力会社連合(E. ON及びRWE)が、各1/3づつの株式を保有しています。濃縮工場は、イギリスのCapenhurst、オランダのAlmelo、ドイツのGronau、アメリカニューメキシコ州Euniceにあります。
Cogema(コジェマ )
フランスのOreno(オレノ、旧アレバ)傘下にある、ウラン濃縮会社です。2001年にアレバ設立に伴いフランス原子力庁傘下でウランの採掘・製錬・濃縮までを担ってきたフランス核燃料公社(COGEMA)が、アレバ傘下となり、アレバの再編の過程でアレバNCとなりました。ウラン濃縮はフランスのGeorges Besse II工場でおこなわれています。
中国核工業集団公司(CNNC)
1999年に核工業総公司から独立して誕生した中国の国有原子力事業会社です。中国国有資産監督管理委員会(国資委)直轄の中核国有会社の1社です。もともとは、核兵器の開発を担った軍事企業でしたが、民生利用の観点から、現在は原子力発電と核燃料サイクルの分野に注力しています。原子力事業の、ウラン探鉱・製錬、ウラン濃縮、燃料加工、再処理、廃棄という、上流から下流までのすべてのバリューチェーンを手がけています。
同じく国有の原子力発電所の建設・運営を手掛ける中国広核集団(CGN、China General Nuclear Power Group)とは発祥も異なり、別会社でもあります。
日本では日本原燃が青森県の六ヶ所村でウラン濃縮を行っています。
参照したデータの詳細情報について
