2022年1月21日の東洋経済の記事(⇒参照したデータの詳細情報)によると、香港を拠点とするリムアドバイザーズが鳥居薬品に対して株主提案を行っている模様です。物言う株主との対話と親子上場の解消という側面からディールラボでは、両社の対話につきモニターを開始しました。
対話の時系列整理
- 2022年1月21日リムアドバイザーズから鳥居薬品への株主提案の噂を東洋経済が報道
鳥居薬品及びリムアドバイザーからの適時開示はありません。
リムアドバイザーズ(Lim Advisors)について
1995年にバークレーズ出身のジョージ・W・ロング氏によって設立された運用会社です。クレディアグリゴール時代は東京支社での勤務経験もあります。香港、メルボルン、東京の3拠点で調査運用を行っています。
鳥居薬品について
JT(日本たばこ産業)傘下で1921年に設立された上場製薬会社です。腎・透析領域、皮膚疾患領域、アレルゲン領域の医薬品に強みを持ちます。リオナ錠(高リン血症治療剤)、レミッチ(透析患者における経口そう痒症改善剤、エナロイ錠(腎性貧血治療薬)、アンテベート(外用副腎皮質ホルモン剤)、シダキュア スギ花粉舌下錠(アレルゲン免疫療法薬)など、競争力のある医薬品を開発販売しています。
JTについて
日本たばこ産業は、1985年に設立されたたばこ会社です。前身は1949年に日本専売公社です。1994年に上場しました。1999年にR.Jレイノルズの米国外のたばこ事業であるRJRインターナショナルや英ギャラハーを買収し、国際展開に積極的です。次世代たばことして加熱式たばこのブルーム・テックも積極展開しています。2017年にはフィリピンのたばこ大手マイティー・コーポレーションを買収しました。さらに詳しく
業績推移(年次)
2021年度
売上高は前年度比12.68%増の46,987百万円になりました。営業利益は15.63%増の4,616百万円になりました。営業利益率は9.82%になりました。アレルゲン領域における販売数量の伸長に加え、コレクチム軟膏の販売を開始したことが奏功し、販促費の増加をこなして、前年度比増収増益になりました。
2020年度
前年度比減収増益です。営業利益率は高まっています。腎・透析領域の減収と抗HIV薬流通手数料収入がなくなったことが響いています。
業績推移(四半期)
2022年第2四半期(4-6月)
売上高は前年同期比4.17%増の12,142百万円になりました。営業利益は29.42%増の1,390百万円になりました。営業利益率は11.45%になりました。
2022年第1四半期(1-3月)
売上高は前年同期比10.72%増の10,960百万円になりました。営業利益は87.52%増の1,292百万円になりました。営業利益率は11.79%になりました。アレルゲン領域、皮膚疾患領域における販売数量の伸長等によって増収、販管費は会計基準の変更もあり減少し、営業利益は増益となりました。
EPS・1株配当・配当性向の推移
2021年度
希薄化後EPSは前年度比-3.50%の120.11円になりました。1株当たりの配当は48.00円になりました。配当性向は39.96%になりました。
業績予想
今期の売上高は49,800百万円、営業利益は6,200百万円、営業利益率は12.45%、1株配当は48円を見込みます。2022年第2四半期決算にて業績を上方修正しました。
2022年第2四半期(4-6月)
売上高の業績予想に対するの進捗率は46.39%です。営業利益の業績予想に対する進捗率は43.26%です。営業利益率は予想比-0.84%です。
2022年第1四半期(1-3月)
売上高の業績予想に対するの進捗率は22.74%です。営業利益の業績予想に対する進捗率は24.85%です。営業利益率は予想より1.00%上回っています。
同業他社比較
物言う株主から指摘されそうな項目を武田薬品、アステラス製薬、ロシュといった同業他社と比較をしました。
ROE
ロシュが断トツです。鳥居薬品は最も低くなっています。
PBR
鳥居薬品が最も低くなっています。
まとめ
鳥居薬品は、ROEが低くPBRが高いという典型的な日本の優良会社です。政策保有株式の時価評価を加味したEQV-EVブリッジ分析は省きましたが、ネット有利子負債がゼロなので、純資産はほぼ現預金+政策保有株式という構図でしょう。親子上場の是非も含めて、今後のJTの動向、鳥居薬品経営陣とリムアドバイザーズの対話など、モニターしていく予定です。
参照したデータの詳細情報について
参照したデータは以下の通りです。リンク切れなどありましたら、お問い合わせのページからご連絡頂けますと大変有難く存じます。