タチエスの市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析

自動車用シートの設計・製造を手掛ける企業で、国内外の自動車メーカーに製品を供給しています。1954年に「立川スプリング株式会社」として自動車シートの組立に必要なばね部品を扱う会社として創業しました。1986年に社名を「株式会社タチエス」に変更し、自動車シート一貫メーカーとして活動しております。どこの系列にも属さない独立系の自動車シートメーカーで、ホンダ、トヨタ日野、日産、三菱、EVメーカー各社に納品しています。日本、中国、北米、中南米の事業本社を中核に、地域の事業会社が一体となったグローバルワンチームでの事業運営を進めています。

業績推移(年次)

2019年度
売上高は前年度比6%減の282,302百万円になりました。営業利益は27百万円の赤字となりました。北米でのEVメーカー向け次世代シート開発の本格稼動、メキシコ でのトリムカバービジネスの拡大、南米での新規顧客向けの生産開始、上海モーターショー出展に伴う中国市場で の拡販など、グローバルで堅実な収益性と売上シェアの向上に努めました。フレーム事業強化のための取組みとしては日本・米州・中国を中心としたタチエスグループの開発から生産まで一貫した対応で、品質及びコスト競争力の強化と一元管理によるオペレーションの効率化に取り組みシナジーを創出しています。また中国では浙江泰極愛思汽車部件有限公司と浙江富昌泰汽車零部件有限公司を結合した新会社を設立し、今後、集中生産体制による更なる生産力の強化を実現し、新規受注の獲得と次世代自動車シート部品の生産を目指します。縫製事業においては、グループ一体となり、縫製製造技術力強化へ取組んでいます。

2020年度
売上高は前年度比30%減の198,500百万円になりました。営業利益は7,753百万円の赤字となりました。北米でのEVメーカー向け次世代シート開発及びメキシコでの新規顧客向けのトリムカバービジネスの本格稼働、南米での新規顧客向けの生産開始など、グローバルで堅実な収益性と売上シェアの向上に努めました。フレーム事業強化のための取組みとしては日本・米州・中国を中心とした開発から生産まで一貫した対応で、連結子会社である株式会社TF-METALとのシナジー創出を含め、品質及びコスト競争力の強化と一元管理によるオペレーションの効率化に取組んでいます。なお、縫製事業においては、当社の縫製機能と連結子会社である株式会社Nui Tec Corporationの連携を強化し、グローバ ルな縫製技術力強化にスピードを上げて取り組んでおります。

2021年度
売上高は前年度比4%増の206,441百万円になりました。営業利益は4,203百万円の赤字となりました。日本・中南米・北米を中心に構造改革をはじめとする収益構造の改善、モノづくり競争力の強化によるコスト低減活動に取り組み、事業のスリム化・効率化、徹底的なコスト低減 をグローバルで進め、収益性向上に努めました。また、3つの“シンカ”「深化」「進化」「新化」により事業ポートフォリオを変革すべく、「深化」ではフロントシートの骨格であるTTK-Xフレームや機構部品、トリムカバー、一体発泡といった部品ビジネスの受注が決まり量産に向けた活動が始まっています。「進化」では空間プ ロデューサーとして異業種とのコラボレーション活動を進め、将来モビリティにおける新しい空間体験価値の企画・提案を行っており、「新化」では新組織を発足し、オープンイノベーション活動をスタートさせました。また、カーボンニュートラルへの取り組みとしては中国、メキシコで太陽光発電パネルを設置し、国内では既に稼働 している技術モノづくりセンターに加え複数の工場への導入に向け取り組んでいます。

2022年度
売上高は前年度比18%増の243,436百万円になりました。営業利益は1,367百万円になりました。営業利益率は1%となりました。日本・中南米・北米を中心に構造改革をはじめとする収益構造の改善、モノづくり競争力の強化によるコスト低減活動に取り組み、事業のスリム化・効率化、徹底的なコスト低減 をグローバルで進め、収益性向上に努めました。自社でコントロールができない半導体不足等による得意先の急激な生産変動、原材料費、物流費の高騰による費用増加に対しては、増加費用を最小限に抑える生産調整を実施したうえで、お客様と適切にコミュニケーシ ョンをとりマネジメントを行いました。事業ポートフォリオである3つの“シンカ”において、「深化」ではシートビジネスだけではなく、トリムカバー、機構部品、フレーム等のシート部品ビジネスの拡大を図っており、機構 部品ビジネスではインドに新しい合弁会社を設立いたしました。「進化」では、空間プロデュ―サーとして将来モビリティにおける新しい空間体験価値の企画・提案と共に具現化に必要な基盤技術として、システム制御技術の開発に取り組んでおり、他社と協働して統合ECUの試作機を完成させました。「新化」では、オープンイノベーショ ンによりアイデアを発散させ、概念検証を行っております。また、カーボンニュートラルへの取組みとしてはTCFD への賛同を表明しており、気候変動関連リスク及び機会に関しての情報開示準備を行いました。

2023年度
売上高は前年度比20%増の292,947百万円になりました。営業利益は前年度比427%増の7,205百万円になりました。営業利益率は2%となりました。現在2024年度が最終年となる中期経営計画 「Transformative Value Evolution(TVE)」に取り組んでおりますが、2021年度策定時からの3つの事業環境変化(①グローバル生産台数の減少、②中国での大幅な台数の低下、③グローバルでのインフレによる物価上昇) の影響を考慮し、当初2022年度末迄を予定していた収益確保を主眼とするWave 0期間を延長し、収益改善に向けた 追加施策を実施しています。本追加施策は3つの領域で進めています。1つ目は、事業縮小や工場集約などの不採算事業の収益改善。2つ目は、材料費や物流費の自社による更なる低減に加え、インフレに伴うコスト上昇分の販売価格への反映を通じた限界利益の向上。3つ目は開発・管理体制の見直し等による固定費の最適化です。この結果、日本・北米・中南米において収益構造改革が進み、各地域が確実に営業利益を創出できる利益構造 への変革が見込める状態になってきております。主な事業活動成果としては、昨年10月に日本で最量販車種である 本田技研工業株式会社向け新型N-BOXのシート生産を立ち上げたほか、グローバルで活動を強化している部品ビジネスの拡大が進んでいます。今後、自動車市場の拡大が見込まれるインド市場において合弁事業会社が量産を開始 したほか、タイでは新しい拠点を開設しました。

タチエスの業績推移

タチエスの業績推移

業績推移(四半期)


2023年第2四半期(7ー9月)
売上高は前年同期比20%増の69,803百万円になりました。営業利益は1,608百万円、営業利益率は2%となりました。当第2四半期連結会計期間末の資産合計は、1,822億3千万円と前連結会計年度末に比べ122億2千6百万円増加して おります。これは主に、現金及び預金が56億7千万円、投資有価証券が24億9千3百万円それぞれ増加したことによる ものでます。 負債合計は、888億7千4百万円と前連結会計年度末に比べ53億5千1百万円増加しております。これは主に、支払手形及び買掛金が30億8千万円、未払費用等の増加により流動負債その他が41億8千4百万円それぞれ増加したことによ るものです。 純資産合計は、933億5千6百万円と前連結会計年度末に比べ68億7千5百万円増加しております。これは主に、為替換算調整勘定が51億7百万円増加したことによるものです。

2023年第3四半期(10ー12月)
売上高は前年同期比21%増の78,610百万円になりました。営業利益は1,983百万円、営業利益率は3%となりました。第3四半期連結会計期間末の資産合計は、1,790億7千9百万円と前連結会計年度末に比べ90億7千4百万円増加しております。これは主に、現金及び預金が58億6千1百万円、投資その他の資産が19億1千4百万円増加したことによるものです。 負債合計は、868億1千3百万円と前連結会計年度末に比べ32億9千万円増加しております。これは主に、短期借入 金が45億8千万円減少したものの、支払手形及び買掛金が14億3千万円、未払費用等の増加により流動負債その他が 61億円それぞれ増加したことによるものです。 純資産合計は、922億6千6百万円と前連結会計年度末に比べ57億8千4百万円増加しております。これは主に、為替 換算調整勘定が51億5千4百万円増加したことによるものです。

2023年第4四半期(1ー3月)
売上高は前年同期比9%増の76,611百万円になりました。営業利益は3,430百万円、営業利益率は4%となりました。

2024年第1四半期(4ー6月)
売上高は前年同期比8%増の73,119百万円になりました。営業利益は793百万円、営業利益率は1%となりました。第1四半期連結会計期間末の資産合計は、1,860億2千3百万円と前連結会計年度末に比べ52億1千7百万円増加しております。これは主に、未収入金等の減少により流動資産その他が18億9千4百万円減少したものの、現金及び 預金が53億6千7百万円、受取手形及び売掛金が16億1千9百万円それぞれ増加したことによるものです。 負債合計は、871億8千9百万円と前連結会計年度末に比べ26億8千1百万円増加しております。これは主に、支払 手形及び買掛金が9億7千2百万円、未払費用等の増加により流動負債その他が11億9千3百万円それぞれ増加したこ とによるものです。 純資産合計は、988億3千4百万円と前連結会計年度末に比べ25億3千6百万円増加しております。これは主に、為替換算調整勘定が28億9千2百万円増加したことによるものです。

2024年第2四半期(7ー9月)
売上高は前年同期比3%増の72,065百万円になりました。営業利益は1,838百万円、営業利益率は3%となりました。中間連結会計期間末の資産合計は、1,775億3千4百万円と前連結会計年度末に比べ32億7千2百万円減少しております。これは主に、現金及び預金が20億1千4百万円、原材料及び貯蔵品が12億7千万円それぞれ増加したものの、未収入金等の減少によりその他流動資産が28億8千2百万円、投資有価証券が25億5千万円それぞれ減少したことによるものです。 負債合計は、800億8百万円と前連結会計年度末に比べ44億9千9百万円減少しております。これは主に支払手形及 び買掛金が11億4千8百万円、未払法人税等が8億6千2百万円それぞれ減少したことに加え、未払金等の減少により流動負債その他が16億4百万円減少したことによるものです。 純資産合計は、975億2千5百万円と前連結会計年度末に比べ12億2千7百万円増加しております。これは主に、その 他有価証券評価差額金が11億8千1百万円減少したものの、為替換算調整勘定が30億7千9百万円増加したことによるものです。

タチエスの四半期業績推移

タチエスの四半期業績推移

EPS・1株配当・配当性向の推移


希薄化後EPSは前年度比7%減の158.25円になりました。1株当たりの配当は前年度比26%増の92.8円になりました。配当性向は59%になりました。

タチエス電子のEPS・1株配当・配当性向の推移

タチエスのEPS・1株配当・配当性向の推移

業績予想


2024年11月
2024年度第二四半期の決算短信にて、2024年度通期の売上は279,800百万円、営業利益は6,750百万円を予定していると掲載されています。

売上構成


セグメントは、日本、北米、中南米、中国、東南アジアに分類されます。セグメント別の売り上げ構成は以下の通りです。

タチエスの売上構成(2023年度)

タチエスの売上構成(2023年度)

日本
自動車座席及び座席部品を製造し、主に国内の得意先に納入しています。国内関係会社は、主に自動車座席並びに座席部品を製造し当社に納入しています。 また、商業施設の賃貸も行っています。

北米
北米における営業・開発拠点であるTACHI-S Engineering U.S.A., Inc.が管理統括し、同社子会社及び関連会社は、自動車座席並びに座席部品を製造し、主に米国内の得意先に納入しています。

中南米
中南米における開発拠点であるTACHI-S Engineering Latin America, S.A. de C.V.が管理統括し、 同社以外の子会社は、自動車座席並びに座席部品を製造し、主に中南米の得意先に納入しています。

中国
中国における営業・開発拠点である泰極愛思(中国)投資有限公司が管理統括し、泰極愛思(鄭州)汽車 座椅研発有限公司は開発を行っています。また、その他の子会社及び関連会社は、自動車座席並びに座席部品を 製造し、主に中国内の得意先に納入しています。

東南アジア
TACHI-S (Thailand) Co., Ltd.が管理統括し、その他の子会社及び関連会社は、主に自動車座席並びに座席部品を製造し、主に東南アジア内の得意先に納入しています。

M&A情報


2014年 自動車業界向けにシートシステムやシートコンポーネントの設計・製造を行っているTACLE Seating U.S.Aを完全子会社化
2014年 自動車業界向けにシートシステムやシートコンポーネントを製造するTACLE Seating Thailandを完全子会社化
2016年 主にスプリング(ばね)の開発・製造を行っている立川発条(現タチエスH&P)を完全子会社化
2017年 富士機工のシート事業を吸収分割により承継したTF-METAL(精密金属部品の設計・製造)の全株式を取得し、子会社化
2019年 シートシステムの開発・製造を行う湖南泰極愛思汽車座椅を持分取得により子会社化
2022年 連結子会社である浙江泰極信汽車部件が、自動車関連の部品やコンポーネントを設計・製造する浙江泰極愛思汽車部件及び浙江富昌泰汽車零部件を吸収合併

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