ペルノリカールの市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析

Pernod Richard(ペルノリカール)は1975年に2つのフランス企業ペルノとリカールが合併して誕生しました。両社ともに元々は食前酒メーカーです。カナダのシーグラムや蒸留酒大手のアライド・ドメックを買収し業容を拡大しています。

主なブランドは、スコッチのシーバス・リーガル (Chivas Regal)、インペリアル (Imperial)、フォア・ローゼズ (Four Roses)、スコッチのバランタイン (Ballantine's)、バーボンウイスキーのワイルドターキー、ロイヤル・サルート (Royale Salute)、カルーア(Kahlua)、シャルドネ・ピノ・ノワール (Chardonnay Pinot Noir)、アブソルート ウォッカ(Absolut Vodka)等です。

ワインでは、豪州ワインのJacob’s creek、スペインワインのCampo Viejo、ニュージーランドワインのBrancottなどのブランドを世界で展開しております。

かつてキリンも同社の一部株式を保有していましたが、ディアジオとの提携に伴い株式を売却しました。

業績推移(年次)

2019年度
売上高は9,182百万ユーロで、前年度比5%増となりました。営業利益は2,375百万ユーロになりました。営業利益率は26%になりました。売上の自立成長率は6%増でした。これは主力ブランドの売れ行きが好調であったためです。

2020年度
売上高は8,448百万ユーロで、前年度比8%減となりました。営業利益は978百万ユーロになりました。営業利益率は12%になりました。年度前半の売上は順調でしたが、年度後半のCovid-19による影響で売上高は前年度より減少しました。営業利益率が大きく減少した理由は、1,007百万ドルの資産減損を計上したためです。

2021年度
売上高は8,824百万ユーロで、前年度比4%増となりました。営業利益は2,361百万ユーロになりました。営業利益率は27%になりました。営業利益率が大きく向上したのは、2020年度に計上した資産減損1,007百万ドルが、今年度は78百万ドルであったためです。

2022年度
売上高は10,701百万ユーロで、前年度比21%増となりました。営業利益は2,963百万ユーロになりました。営業利益率は28%になりました。売上高の自立成長率は17%でした。世界各地での売上高成長率は、アメリカで12%増、アジアその他で19%増、ヨーロッパで19%増でした。旅行関連小売業者の売上が伸びたことが主な要因です。国際ブランドセグメントでは Jameson、Chivas Regal、Ballantine’s、Absolut、Martell の売上が伸びたことで、売上高は18%増となりました。ローカルブランドセグメントでは、Seagram ウイスキー、Kahlua、Olmeca、Seagram’s ジンの売上が伸びたことで、売上高は18%増となりました。ワインセグメントでは、ニュージーランドの不作の影響で4%売上高が減少しました。

2023年度
売上高は12,137百万ユーロで、前年度比13%増となりました。営業利益は3,265百万ユーロになりました。営業利益率は27%になりました。売上が増加した要因は価格戦略の効果によるものです。

ペルノ・リカールの業績推移(FY2017~FY2021)

ペルノ・リカールの業績推移(FY2017~FY2021)

業績推移(四半期)

2021年下半期(01ー06月)
売上高は3,839百万ユーロになりました。営業利益は766百万ユーロ、営業利益率は20%になりました。

2022年上半期(07ー12月)
売上高は5,959百万ユーロになりました。営業利益は1,998百万ユーロ、営業利益率は34%になりました。

2022年下半期(01ー06月)
売上高は4,742百万ユーロになりました。営業利益は965百万ユーロ、営業利益率は20%になりました。

2023年上半期(07ー12月)
売上高は7,116百万ユーロになりました。営業利益は2,423百万ユーロ、営業利益率は34%になりました。

2023年下半期(01ー06月)
売上高は5,021百万ユーロになりました。営業利益は842百万ユーロ、営業利益率は17%になりました。

ペルノ・リカールの四半期業績推移

ペルノ・リカールの四半期業績推移

EPS・配当額・配当性向の推移

希薄化後EPSは前年度比15%増の8.81ユーロになりました。1株当たりの配当は前年度比50%減の2.06ユーロになりました。配当性向は23%になりました。

ペルノ・リカールのEPS・配当額・配当性向の推移

ペルノ・リカールのEPS・配当額・配当性向の推移

事業構成

蒸留酒とワインの二本柱となります。蒸留酒はブランドによってセグメンテーションされています。

ペルノリカールの売上構成(2022年度)

ペルノリカールの売上構成(2022年度)

国際ブランド
国際的に展開しているブランドです。Absolut , Chivas Regal, Ballantine's, Ricard, Jameson, Havana Club, Malibu, Beefeater, Martell, The Glenlivet, Royal Salute, Mumm, Perrier-Jouëtなどが含まれます。

ローカルブランド
限られた数の特定の市場に強く根付いているブランドを取り扱います。以下はそのブランドです。
Pastis 51、ARARAT、Seagram's Gin、Kahlúa、Minttu、Ramazzotti、100 Pipers、Blenders Pride、Imperial Blue、J.P. Wiser's、Royal Stag、Imperial、Long John、Passport Scotch、Something Special、Olmeca、Becherovka、Wyborowa

クラフトブランド
昨今のクラフトニーズに対応した蒸留酒を取り扱います。以下はそのブランドです。
Italicus、Lillet、Pernod、Suze、Augier、Malfy、Jefferson's、Lot No. 40、Powers、Redbreast、Smooth Ambler、TX、Method & Madness、Monkey 47、Plymouth Gin、Ceder's、Green Spot、Aberlour、Scapa、Altos、Del Maguey、Ostoya

ワイン
幅広い産地と味をカバーします。以下は取り扱っているワインブランドです。
Brancott Estate、Campo Viejo、Church Road、George Wyndham、Jacob's Creek、Kenwood、St Hugo、Stoneleigh、Ysios

その他ブランド
裕福な消費者をターゲットとするブランド等がこのセグメントに含まれます。以下はこのセグメントが取り扱うブランドです。
Mumm、Perrier-Jouët、Martell、KI NO BI、Jameson、Midleton Very Rare、Rabbit Hole、Havana Club、Ballantine's、Chivas、Royal Salute、Secret Speyside、The Glenvilet、Avion、Absolut Elyx、L'Orbe

株主構成

2017年 小麦バーボンとライ麦バーボンを製造する Smooth Ambler (米) の買収を完了
2019年 プレミアムジンブランドの MALFY (イタリア) の買収を完了
2019年 プレミアム・バーボンおよびライ・ウイスキーのブランドである Rabbit Hole (米) の買収を完了
2019年 プレミアムウイスキーのTXブランドを所有する Firestone & Robertson Distilling (米) の買収を完了
2019年 プレミアムおよびスーパープレミアム蒸留酒を製造および販売する Castle Brands (米) の買収を完了
2021年 上質な熟成ラムで知られる La Hechicera (コロンビア) の買収を合意
2021年 ウイスキーと高級蒸留酒を専門とする蒸留酒のオンラインおよび実店舗の販売業者 The Whisky Exchange (英) の買収を合意
2022年 高品質のロゼワインと白ワインを生産している Château Sainte Marguerite (仏) の買収を合意
2022年 超高級テキーラを製造する Código 1530 (メキシコ) の買収を合意
2023年 ピーナッツバター風味のウイスキーで知られる Skrewball (米) の買収を発表
2023年 レディ・トゥ・ドリンク飲料を製造する Ace Beverage Group (カナダ) の買収を発表

株主構成

直前決算期末時点の主要株主は以下の通りです。創業家が引続き筆頭株主で、2位株主はファミリーオフィス系の投資会社GBLとなっています。

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