マヒンドラの市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析

マヒンドラグループ(Mahindra)は、1945年に Kailash Chandra Mahindra(K.C.マヒンドラ)、J.C. Mahindra(J.C.マヒンドラ)とMalik Ghulam Mohammed(マリック・グラム・モハメッド)によって設立されたインドを代表する財閥です。当初はマヒンドラ&モハメッドとして創業しましたが、のちにマヒンドラ&マヒンドラへと社名変更しました。

事業の領域は多岐に亘り、航空宇宙産業、農業、自動車、防衛、エネルギー、農機、金融、物流、不動産、自動車、オートバイ等を行っています。グループ全体の売上高は約2兆円、世界で20万人以上の従業員を有しています。中核企業は、自動車と農機で、約7000-8000億円の売上規模となります。現在は、ハーバード・ビジネス・スクールを修了したJ.C.マヒンドラの孫にあたるアナンド・マヒンドラがCEOを務めています。

単位:百万ルピー 2018 2019 2020 2021 2022
売上高合計 1,058,063 764,106 753,109 911,051 1,224,750
営業利益 111,123 77,741 75,877 105,147 156,419
営業利益率 11% 10% 10% 12% 13%
マヒンドラの業績推移©ディールラボ

業績推移

2018年度
売上高は1,058,063百万ルピーで、前年度比13%増となりました。これは、自動車セグメントの売上高が前年度比で約12%増加し、金融セグメントの売上高が前年度比で約20%増加したことが主な要因です。営業利益は111,123百万ルピーになりました。営業利益率は11%になりました。

2019年度
売上高は764,106百万ルピーで、前年度比28%減となりました。金融セグメントでの売上高は前年度比で増加しましたが、自動車セグメントと農業用機械セグメントでの売上が減少したため、マヒンドラ全体の売上も減少しました。全体の売上増営業利益は77,741百万ルピーになりました。営業利益率は10%になりました。

2020年度
売上高は753,109百万ルピーで、前年度比1%減となりました。営業利益は75,877百万ルピーになりました。営業利益率は10%になりました。

2021年度
売上高は911,051百万ルピーで、前年度比21%増となりました。営業利益は105,147百万ルピーになりました。営業利益率は12%になりました。自動車セグメントの売上高が前年度比で約40%増加したことが、マヒンドラ全体の売上増に貢献しました。

2022年度
売上高は1,224,750百万ルピーで、前年度比34%増となりました。営業利益は156,419百万ルピーになりました。営業利益率は13%になりました。車両販売台数は前年度比で約50%増加し、トラクターの販売台数は前年度比で約15%増加しました。マヒンドラの年間売上台数としては最高記録です。

マヒンドラの業績推移

マヒンドラの業績推移

業績推移(四半期)

2022年度第2四半期(07ー09月)
売上高は300,770百万ルピーになりました。営業利益は39,070百万ルピー、営業利益率は13%になりました。

2022年度第3四半期(10ー12月)
売上高は309,201百万ルピーになりました。営業利益は39,207百万ルピー、営業利益率は13%になりました。

2022年度第4四半期(01ー03月)
売上高は328,496百万ルピーになりました。営業利益は41,555百万ルピー、営業利益率は13%になりました。

2023年度第1四半期(04ー06月)
売上高は346,987百万ルピーになりました。営業利益は47,641百万ルピー、営業利益率は14%になりました。

2023年度第2四半期(07ー09月)
売上高は350,272百万ルピーになりました。営業利益は40,982百万ルピー、営業利益率は12%になりました。

マヒンドラの四半期業績推移

マヒンドラの四半期業績推移

EPS・配当額・配当性向の推移

希薄化後EPSは前年度比56%増の91.96ルピーになりました。1株当たりの配当は前年度比41%増の16.25ルピーになりました。配当性向は18%になりました。

マヒンドラのEPS・配当額・配当性向の推移

マヒンドラのEPS・配当額・配当性向の推移

業績予想

2023年11月
2023年第二四半期の報告書にて、2023通期の具体的な業績予想は掲載されていません。

売上構成

セグメントは、自動車、農業用機械、金融、不動産、観光に分類されます。セグメント別の売り上げ構成は以下の通りです。

マヒンドラ2022年度売上構成

マヒンドラ2022年度売上構成©ディールラボ

自動車
小型自動車、電気自動車、SUV、商業用トラックなど、自動車産業における全ての領域で自動車を製造。

農業用機械
トラクターや作業機、自走式機械など、整地から収穫までのさまざまな農業作業に対応する幅広い製品をを製造。

金融
このセグメントは主に、ムンバイに本社を置くインドの地方金融会社(非銀行)であるマヒンドラ・アンド・マヒンドラ・ファイナンシャル・サービス・リミテッド(MMFSL)を指します。MMFSL はインド国内に 1,000 以上の事務所を構えています。

不動産
このセグメントは主に、ムンバイに本社を置くインドの不動産およびインフラ開発会社であるマヒンドラ ライフスペースズを指します。マヒンドラ ライフスペースズは、インド全土で、住宅スペース、商業施設、持続可能な工業団地など、さまざまな不動産プロジェクトを開発しています。

観光
このセグメントには、バケーション オーナーシップ メンバーシップを通じて家族旅行を提供するマヒンドラ ホリデイズ & リゾーツ インディア Ltd. (MHRIL) が含まれます。 MHRIL 傘下のブランドであるクラブ マヒンドラは、インド国内外の 100 以上のリゾート地を提供しています。さらに、マヒンドラ ホリデイズ & リゾーツ (MHRL) は、急成長する需要を取り込むために高級ホテル分野に参入することで、ホスピタリティ分野での存在感を拡大しています。

同社の自動車部門ではインド国内で乗用車及び商用車を含め約5百万台の車を販売しています。販売台数ベースでみると、2020年の時点で、乗用車ではインド国内で3位、商用車ではインド国内で2位となっています。特に小型商用車やピックアップトラックの分野に強みがあります。韓国の自動車5位である双竜自動車へも出資を行っていましたが、2020年に双竜自動車は会社更生法を申請しました。
製造拠点としては、フランス、フィンランド、トルコ、スペイン、北米、日本、アフリカ、韓国、インド等グローバルで展開しています。2015年にプジョーシトロエングループから、二輪車のプジョー・モーターサイクルを買収、日本では三菱重工系の三菱農機(国内の農機市場ではクボタ、ヤンマー、井関農機に次ぐ4位の市場シェア)と資本提携を行っています。2016年には、フィンランドのコンバイン収穫機であるSampo Rosenlew(サンポローゼンルー)へ出資を行っています。
マヒンドラの事業展開

マヒンドラの事業展開
出所:同社

農機は約3百万台をマヒンドラとスワラージブランドで販売しています。農機の分野でも世界大手の1角です。

主要子会社群
自動車と農機以外の主要な子会社は以下の通りです。タタ・グループ等と同じく、上場子会社を多く有しています。

マヒンドラのその他事業一覧

マヒンドラのその他事業一覧
出所:同社

主要上場子会社としては、テック・マヒンドラ(Tech Mahindra)、Swaraj Engines(スワラージ・エンジンズ)、マヒンドラ・ホリデーズ&リゾーツ(Mahindra Holidays & Resorts India)、MMFSL、マヒンドラ・ライフスペース(Mahindra Lifespaces)、EPCインダストリエ(EPC Industrie)、マヒンドラ・ロジスティクス(Mahindra Logistics)等が挙げられます。

マヒンドラグループのストラクチャー
マヒンドラの創業一族は、マヒンドラグループの中核会社であり、自動車や農機の製造販売を行うマヒンドラ・マヒンドラの約25%の株式を保有しています。マヒンドラ・マヒンドラを通じて、主要上場子会社であるテック・マヒンドラの約26%、エンジンのスワラージの約33%、不動産のライフスペースの約51%、金融子会社の約48%、ホテル運営会社の約70%、運輸会社の約60%の株式を保有しています。連邦経営型の財閥と言えます。
テック・マヒンドラ(Tech Mahindra)は、IT開発会社です。2018年に楽天と通信ネットワークの分野で提携を行なっています。
Swaraj Engines(スワラージ・エンジンズ)は1989年に設立された農機向けのエンジン会社です。約100億円弱の売上を計上し、従業員数は約700名です。設立以来22馬力から54馬力超のエンジンを過去70万個以上販売しています。

マヒンドラのエンジン事業

マヒンドラのエンジン事業
出所:同社

マヒンドラ・ホリデーズ&リゾーツ(Mahindra Holidays & Resorts India)は、バケーションメンバーシップを通じて、会員向けに滞在型のホテルやコンドミニアムを提供しています。約23万人以上のリゾート会員がおり、インドを中心に世界50か所以上のリゾート施設を運営しています。
MMFSL(Mahindra & Mahindra Financial Services Limited、マヒンドラ&マヒンドラ ファイナンシャル・サービス)は、主に農機の購入者向けにファイナンスを提供しています。
マヒンドラ・ライフスペース(Mahindra Lifespaces)は、マヒンドラグループの不動産開発グループで、商業・住居用複合施設やビジネスセンターの開発を行っています。
マヒンドラ・ロジスティクス(Mahindra Logistics)は、マヒンドラグループの物流を担う子会社
Mahindra Ugine Steel (MUSCO、マヒンドラ・ユージン・スチール)は、特殊鋼製品の製造・販売及びスタンピング事業を行っています。三井物産と山陽特殊鋼が2012年に出資しました。

M&A情報

2016年 フルーツや野菜などを生産する Origin Group(オランダ)を買収
2017年 トラクターを製造する Erkunt Traktr Sanayii(トルコ)を買収
2019年 インドでライドシェアサービスを提供する Meru を買収
2021年 マヒンドラの子会社である Mahindra Logistics が Meru を買収
2022年 IoT技術を利用した農業用機械を製造する Carnot(インド)を買収

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