井関農機は、1926年の創業以来、国内外での事業拡大を積極的に推進してきました。1962年にはドイツのポルシェ・ディーゼル社と業務提携し、トラクターの輸入を開始。その後、1965年に自社製トラクター「TB20型」を開発し、製品ラインを強化しました。さらに、1971年にはベルギーに「ヨーロッパヰセキ株式会社」を設立し、欧州市場への進出を果たしました。2000年代以降も中国、インドネシア、タイ、フランスなどに海外拠点を次々と開設し、グローバルな販売網を構築しています。これらの戦略的な提携や海外進出により、井関農機は事業の拡大と国際的な競争力の向上を実現しています。
2020年度
売上高は前年度とほぼ同額の149,304百万円になりました。営業利益は前年度比24%減の2,084百万円になりました。営業利益率は1%となりました。国内においては、補修用部品および修理整備等のメンテナンス収入が堅調に推移したほか、施設工事で大型物件の完工があり増収となった一方、消費増税前駆け込み需要の反動減に加え、新型コロナウイルス感染拡大に伴う展示会中止など、営業活動の自粛により農機製品が減少し、国内売上高は1.5%の減少となりました。海外において は、北米向けコンパクトトラクタの巣ごもり特需があったものの、仕入エンジン入荷遅れに伴う 出荷減少、アセアンは、タイで干ばつ等の天候影響が徐々に薄れてきたものの、コロナ影響によ る農家所得の低下に伴う減少や、インドネシア向けトラクタの出荷減などにより減少、一方、中国、韓国および台湾向けの出荷が伸びたことに加え、欧州では、上期にロックダウンの影響が あったものの、下期からは回復傾向となったことやフランス連結子会社の決算期を統一(15ヶ月 決算)したことにより増加し、海外売上高は 3.8%の増加となりました。
2021年度
売上高は前年度比6%増の158,192百万円になりました。営業利益は前年度比99%増の4,147百万円になりました。営業利益率は3%となりました。国内においては、消費増税反動減からの回復や経営継続補助金などに伴う需要喚起もあり農機製品及び作業機が増加したほか、修理整備等のメンテナンス収入が堅調に推移し、国内売上高は1.3%の増加となりました。海外においては、ライフ スタイルの変化に伴い、北米では好調なコンパクトトラクタ市場を背景に増加、欧州ではコン シューマー向けを中心に販売が伸長、為替円安影響もあり、両地域で増収となりました。また、 アジアでは前期末にタイの販売代理店を連結子会社化したことや、中国向け生産用部品の出荷増 などにより、海外売上高は22.2%の増加となりました。
2022年度
売上高は前年度比5%増の166,629百万円になりました。営業利益は前年度比15%減の3,534百万円になりました。営業利益率は2%となりました。【国内売上】農機 製品はサプライチェーン混乱に伴う生産遅延や米価低迷・資材価格高騰による購買意欲減退に加 え、前期にあった経営継続補助金の反動もあり減少しました。また、作業機も補助金反動により 減少となりました。一方で、補修用部品及び修理整備等のメンテナンス収入は、農機製品の売上 が減少する中でも前期を維持しました。【海外売上】北米はコンパクトトラクタ市場が調整局面に入るも、現地在庫レベル回復に向けた当社出荷は続伸しました。欧州はライフスタイルの変化に伴う市場の動き を捉え、コンシューマー向けを中心に販売が伸長、加えて景観整備向け需要の回復に伴うプロ向 け販売も増加しました。また、Iseki-Maschinen GmbHの連結子会社化による増加もありました。 アジアは韓国向けが増加しましたが、中国向け半製品の出荷減などをカバーできず減少しまし た。
2023年度
売上高は前年度比2%増の169,916百万円になりました。営業利益は前年度比36%減の2,253百万円になりました。営業利益率は1%となりました。【国内売上】農機製 品は需要の減少を受けましたが、収支構造改革の柱である補修用部品及び修理整備等のメンテナ ンス収入や施設工事の伸長により、国内売上高全体では増加となりました。【海外売上】北米は コンパクトトラクタ市場の調整局面が継続しましたが、欧州では値上げ後も小売店の需要が堅調 に推移したことに加え、前年下期よりIseki-Maschinen GmbHを連結子会社化したこともあり増加 となりました。アジアでは中国向け生産用部品は出荷増も、米価低迷などにより韓国向け製品は 出荷減となりました。
2024年度
売上高は前年度比1%減の168,425百万円になりました。営業利益は前年度比15%減の1,920百万円になりました。営業利益率は1%となりました。【国内売上】農機製品 は、第1四半期は需要低迷を受け減少となりましたが、年央以降の米価上昇による需要回復を捉え一部カバーし、通期では微減となりました。一方、収支構造改革の柱である補修用部品や修理 整備等のメンテナンス収入は伸長し、国内売上高全体では前年並みとなりました。【海外売上】北米は コンパクトトラクタ市場が弱含みに推移、アジアは韓国での在庫調整実施とアセアンで需要軟調 となりました。一方、欧州は景観整備向け製品と仕入商品の売上が堅調に推移しました。
井関農機の業績推移
2023年第4四半期(10ー12月)
売上高は前年同期比10%減の36,939百万円になりました。営業利益は1,361百万円の赤字となりました。
2024年第1四半期(1ー3月)
売上高は前年同期比4%減の43,972百万円になりました。営業利益は734百万円、営業利益率は2%となりました。【国内売上】前年同期は4月の価格改定に伴う駆け込み需要で伸長しましたが、当期は改定時期を1ヶ月前 倒ししたこともあり減少となりました。【海外売上】北米はコンパクトトラクタ市場の調整局面が継続、アジアは中国で排出ガス規制による反動から回復しましたが、アセアン・韓国では需要軟調となりました。一方、欧州は仕入商材の拡充とプレシーズンの需要を確実に捉え続伸し、海外売上高全体では増加となりました。
2024年第2四半期(4ー6月)
売上高は前年同期比1%増の47,162百万円になりました。営業利益は1,476百万円、営業利益率は3%となりました。【国内累計売上】 主に農機製品及び施設工事で減少となりましたが、補修用部品や修理整備等のメンテナンス収入 は堅調に推移しました。 【海外累計売上】 北米はコンパクトトラクタ市場の調整局面が継続、アジアはアセアン・韓国で需要軟調となりま した。一方、欧州は仕入商品の売上増加と景観整備向け需要を確実に捉え続伸し、海外売上高全 体では増加しました。
2024年第3四半期(7ー9月)
売上高は前年同期比8%減の37,445百万円になりました。営業利益は899百万円、営業利益率は2%となりました。【国内累計売上】主に農機製品及び施設工事で減少となりましたが、補修用部品や修理整備等のメンテナンス収入は堅調に推移しました。 【海外累計売上】 北米はコンパクトトラクタ市場が弱含みに推移、アジアはアセアン・韓国で需要軟調となりまし た。一方、欧州は景観整備向け製品と仕入商品の売上が堅調に推移しました。
2024年第4四半期(10ー12月)
売上高は前年同期比8%増の39,846百万円になりました。営業利益は1,189百万円の赤字となりました。
井関農機の四半期業績推移
希薄化後EPSは-133.63円になりました。1株当たりの配当は前年度と同額の30円になりました。
井関農機のEPS・1株配当・配当性向の推移
2025年2月
2024年度第四四半期の決算短信において、2025年度通期の売上は170,500百万円、営業利益は2,600百万円を予定していると掲載されています。
セグメント区分は無く、農業関連事業の単一セグメントです。製品区分別の売り上げ構成は以下の通りです。
井関農機の売上構成(2023年度)
2024年 連結子会社である国内販売会社6社による合併を実施し、株式会社ヰセキ関西中部を存続会社とし、商号変更を行うことを決定