Suez(スエズ)対Amber Capital(アンバーキャピタル)

Amber Capital(アンバーキャピタル)概要

アンバーキャピタルは、2005年にJoseph Oughourlian氏によって設立された、根源的価値の追求とイベントドリブン戦略を掲げる欧州企業への投資に特化したアクティビストファンドです。2020年6月現在約16億ドルの資産を運用しています。オフィスは、ロンドン(本拠地)、ニューヨーク、ミラノで展開しています。

Suez(スエズ)

スエズは世界トップクラスの水道事業運営・産業用水処理会社(ウォーターバロン)です。電力・ガス大手であるエンジ―(Engie)が主要株主となっています。スエズの源流は1800年代中盤にスエズ運河を建設したスエズ運河株式会社にまで遡ることができます。インドスエズ銀行の売却やフランスガス公社(GDF)と合併によるGDFスエズの誕生、その後エンジ―ヘの社名変更を行っております。2017年にはGEから水処理機器大手であるGEウォーターを32億ユーロで買収し、運営会社から水処理機器製造販売へと事業領域を拡大しております。2019年の売上高は約190億ユーロ、従業員数は約9万人、約64百万人に水道を提供しています。

株主提案と経営陣の対応

攻防戦の時系列
  • 2019年
    アンバーキャピタルがスエズの株式の1.9%を取得

  • 2019年7月18日
    アンバーキャピタルからスエズ経営陣へ株主提案

    「新生スエズの潜在的な価値創造を解き放て」(Unlocking the value creation potential of the “New Suez”)が公開提案されました。

  • 2019年10月2日
    スエズによる中期経営計画の発表

    スエズの2030年への変革ー環境サービス分野でグローバルリーダーとなえるための経営計画(Shaping SUEZ 2030 A comprehensive plan to become the global leader in environmental services)が公表されました。

  • 2020年2月26日
    スエズ経営陣によるFY2019決算発表

    前年比、売上高は+3.6%、営業利益+4.3%、フリーキャッシュフロー+7%を達成しました。

  • 2020年4月30日
    スエズ経営陣によるFY2020の1Q決算発表

    コロナ禍の影響にも関わらず前年同期比+0.5%の売上高成長を達成しました。

  • 2020年5月12日
    スエズ株主総会

    経営陣の提案が全て株主よって承認されました。

スエズとアンバーキャピタルとの対話は、大株主であるエンジーのストラテジックレビューを機に、ヴェオリアによる非友好的なアプローチへと進展していきました。
  • 2020年7月31日
    エンジーによるストラテジックレビュー

    エンジーがノンコア事業のストラテジックレビューを発表しました。

  • 2020年8月30日
    ヴェオリアからの提案
    • ヴェオリアがエンジーに対してスエズの持分の買収を提案しました。
    • 7月30日のスエズ株価の終値に対して50%のプレミアムを乗せた15.5ユーロでの29.9%の買取
    • エンジー持分の買取後、スエズに対して公開買付を実施
    • 本件買収は、1)フランス企業同士の文化的な同質性、2)水道業界における技術革新の促進、3)地域補完性、4)両社の経営計画であるスエズの「2030年への変革」とヴェオリアの「Impact 2023」の親和性、5)全ステークスホルダーへの価値創出、という観点から戦略的な合理性がある
  • 2020年8月30日
    スエズの経営陣のアナウンス

    ヴェオリアの提案は事前相談のない非友好的なものであり、取締役会にて検討を至急行う予定

  • 2020年9月17日
    エンジーの経営陣によるアナウンス

    スエズの持分の売却は、エンジーのストラテジックレビューに則するものであり、ヴェオリア提案の内容に対して改善を求めると同時に他社からの提案についても検討を行う予定である。

  • 2020年10月5日
    エンジー経営陣によるヴェオリア提案の受入

    エンジーは34億ユーロの売却を見込む。

2019年9月18日時点でのスエズの株主構成

エンジ―が約32.1%の株主となっています。

出所:スエズ

「新生スエズの潜在的な価値創造を解き放て」の骨子

スエズの現状の課題

2011年のIPO(新規上場)以降、一株当り営業利益や1株当たり配当金の成長がない。

(No EBIT/Share or DPS growth since IPO)

出所:アンバーキャピタル

方向を間違った戦略(Misguided Strategy)

株式の希釈化やレバレッジをかけて、高水準の資本支出を継続しているものの、利益の成長が限定的であり、その結果ROCE(使用資本利益率)の減少は減少の一途。

例えば、2013年から2018年にかけて約130億ユーロの資本支出が行われていますが、EBITは1億ユーロしか増加していません。

2014年に7.8%だったROCEは、2018年に6.2%となっています。同時期にレバレッジ倍率(EBITDAに対する有利子負債額)は3.1倍から3.8倍に増加しています。

ROCE/WACC(加重平均資本コスト)倍率も1倍になってしまいました。

正しい戦略の策定をしよう!

資本効率を高めるために、定期的なポートフォリオレビューを実施し、低収益な資産は売却し、より収益性の高い事業へ投資、自己株償却、負債の返済をしましょう。その結果、ROCEが向上するはずです。

例えば、子会社で保有しているスペインの上下水道会社であるAgbarは、

  • 成長性に乏しく
  • スエズのWACCよりもROCEが低く

という問題点があります。

一方で、インフラファンドや年金ファンド等は、こうした長期の収入が読みやすい資産をより低い期待利回りで購入したがっています。

スエズの企業価値/EBITDA倍率が7.5倍に対して直近のM&A事例を参照すればAgbarは12.5倍の約30億ユーロで売却できる可能性があります。

売却資金をROCEを高めるために戦略的な支出を行えば、下記の図のようにROCEは向上します。

出所:アンバーキャピタル

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