CO2回収貯留利用(CCUS)業界のカオスマップと資金調達額ランキング
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CO2回収貯留利用(CCUS)業界のカオスマップと資金調達額ランキング

CCUSと言われる二酸化炭素を回収・貯留・利用する技術を開発しているC-Capture、Climeworks、Carbon Engineering、Oakbio、Kilimanjaro Energy、Deep Branch、LanzaTechといった有望スタートアップの概要や動向について分析を行っています。温暖化の大きな原因とされる二酸化炭素を回収する技術の開発は社会的な課題として注目を集めています。

CO2回収貯留利用(CCUS)のカオスマップ

CO2回収貯留利用(CCUS)を行う会社を直近の投資ラウンドでの資金調達額(縦軸)とシリーズラウンド(横軸)でマッピングした業界マップ(カオスマップ)を作成すると以下の通りとなります。円の大きさは累計資金調達額となります。

CO2の回収貯留利用(CCUS)業界マップ(2022年10月)
CO2の回収貯留利用(CCUS)業界マップ(2022年10月) 出所:Trancxn、会社情報より作成

資金調達ではシリーズEで調達を行っているClimeworksとLanza Techが先行しています。下記7社の累計調達額は、本ページの更新時点で約1282百万ドルとなっており、累計調達額の市場シェアを計算すると、1位はClimeworks、2位はLanzaTech、3位はCarbon Engineeringとなります。

CCUSの資金調達額のシェアランキング

順位社名市場シェア(調達額)
1位Climeworks59.4%
2位LanzaTech28.8%
3位Carbon Engineering8.2%
4位C-Capture1.7%
5位Deep Branch1.1%
6位Oakbio0.5%
7位Kilimanjaro Energy0.2%
CCUSの資金調達額のシェアランキング 2022年4月時点 出所:Trancxn、会社情報より作成
CO2回収貯留利用会社の資金調達額シェア
CO2回収貯留利用会社の資金調達額シェア 出所:Trancxn、会社情報より作成

市場規模

調査会社のリポートリンカーによると、CO2回収貯留利用(CCUS)の市場規模は、2020年の16億ドルから2025年には35億ドルへと、予測期間中に17.0%のCAGRで成長することが見込まれています。また調査会社のビーシーシーリサーチによると、同市場規模は、2020年から2025年までの予測期間において、年平均成長率(CAGR)4.6%で、2020年の27億ドルから2025年には34億ドルに達すると予測されています。⇒参照したデータの詳細情報

資金調達・提携・M&A

2022年 マイクロソフトがClimeworksと10年間の炭素除去オフテイク契約
2022年 Partners Group、GIC、Baillie Gifford、M&GおよびSwiss ReがClimeworksに650百万ドル出資

主要なCO2回収貯留利用(CCUS)を行うスタートアップ

社名: CleanO2 Carbon Capture Technologies
本社所在地: カナダ
設立年: 2010年
創業者: Jeff Reading
CleanO2 Carbon Capture Technologiesは住宅用のCO2回収装置「CARBiNX」を開発しています。

社名: C-Capture
本社所在地: 英国
設立年: 2008年
創業者: Chris Rayner
C-Captureはリーズ大学発ベンチャーです。メタンガスからCO2を回収する技術を開発しています。

社名: Climeworks(クライムワークス)
本社所在地: スイス
設立年: 2009年
創業者: Jan Wurzbacher、Christoph Gebald
Climeworksは、チューリッヒ工科大学から2009年にスピンオフした会社で、空気中からCO2を回収する技術を開発しています。回収したCO2は、CO2を必要とする食品加工会社、飲食店、農家などへ販売しています。2021年にアイスランドでCarbfix社と協力し、二酸化炭素と玄武岩を作用させるDAC施設を稼働させました。2022年にマイクロソフトを10年間のオフテイク契約を締結しました。

社名: Carbon Engineering(カーボンエンジニアリング)
本社所在地: 英国
設立年: 2009年
創業者 David Keith
Carbon Engineeringは、アルカリ水酸化物溶液を用いて空気中のCO2を回収するDirect Air Captureを開発しています。パイロットプラントでは年間500トンのCO2の回収が可能です。

社名: Oakbio
本社所在地: 米国
設立年: 2011年
創業者: Brian Sefton
Oakbioは微生物を利用してCO2を回収し、化学原料やバイオ燃料に変換する技術を開発しています。

社名: Kilimanjaro Energy(キリマンジャロ・エナジー)
本社所在地: 米国
設立年: 2004年
創業者: Klaus Lackner
キリマンジャロ・エナジーは、大気中の二酸化炭素(CO2)を回収する技術を開発しています。

社名: Deep Branch(ディープブランチ)
本社所在地: イギリス
設立年: 2018年
創業者: Peter Rowe、Robert Mansfield、Bart Pander
Deep BranchはCO2からタンパク質を生成する技術を開発しています。

社名: LanzaTech(ランザテック)
本社所在地: 米国
設立年: 2005年
創業者: Sean Simpson
LanzaTechは微生物を活用して二酸化炭素を含む各種ガスを回収し、燃料や化学製品へと変換する技術を開発しています。ANAが同社よりバイオ燃料を購入すると発表しております。

社名:Storegga Geotechnologies
本社所在地: イギリス
設立年: 2019年
創業者:Nicholas John Cooper
CO2の回収・輸送・貯留を行うAcorn CCSプロジェクトを遂行中です。三井物産、Macquarie Group Limited、GICなどが出資をしています。

CO2回収貯留利用(CCUS)分野に積極的に投資を行っているベンチャーキャピタルや事業会社

IP Group、BP Ventures、BHP、Oxy、Chevron、三井物産、GIC、マッコーリ、Arch Venture Partners、パートナーズグループなどが挙げられます。石油メジャーのBPやシェブロン、マイクロソフト、鉱山開発大手のBHPグループが投資を行っていることが特徴です。

影響を受ける業界

CO2回収貯留利用(CCUS)の市場規模が拡大することで影響を受ける業界は少なく、むしろ恩恵を享受できる業界が大多数と考えられます。影響を受ける業界としては、二酸化炭素の製造を行う産業ガス業界が考えられます。

二酸化炭素の吸収や貯留方法

様々なCO2の吸収、分離、利用方法が日進月歩で考案されています。森林も二酸化炭素吸収という意味では、重要ですが、森林を燃やした時に二酸化炭素が放出されることや伐採などで吸収量の変動があることから、より吸収量の管理がしやすい方法が検討されています。

方法手順
中和反応水産課カリ水溶液に吸収させる(2KOH+CO2→K2CO3+H2O)
圧力をかけるCO2と溶液に圧力をかけ溶液に吸収させる
膜や蒸留で分離多孔質物質や蒸留技術を用いCO2が混ざったガスからCO2を分離させる
物質吸着結晶性アルミノ珪酸塩(ゼオライト)、玄武岩やコンクリートに吸着させる
©ディールラボ

貯留方法は、基本、地底の岩盤層にCO2を放出して隔離する方法が検討されています。隔離されたCO2は地下鉱石と化学反応を起こし吸着されていきます。

利用方法は、コンクリートに吸着、ポリカーボネートを作る、微細藻類に光合成をさせバイオ燃料を作る、農業に利用するなどがあります。

さらに業界に詳しくなるためのおすすめ書籍と関連サイト

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グローバル二酸化炭素リサイクル
温室効果ガス計測会社のカオスマップと資金調達額の分析
カーボンアカウンティング業界のカオスマップと資金調達額の分析

参照したデータの詳細情報について


参照したデータは以下の通りです。リンク切れなどありましたら、お問い合わせのページからご連絡頂けますと大変有難く存じます。

参照した市場規模の情報

Report Linker
BCC Research

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