代替魚肉・培養魚肉のカオスマップと資金調達額の分析

人工培養魚肉と呼ばれる細胞を培養して食用可能な代替タンパク質を製造するブルーナル、フィンレスフーズ、ワイルドタイプ、Bluu Biosciences、アバントミーツ、ショークミーツ、グッドキャッチといった代替魚肉・培養魚肉会社の概要や動向について分析を行っています。今後爆発的に需要の増加が予想されるタンパク質を持続可能な形で提供できるため注目を集める業界です。

代替魚肉・培養魚肉のカオスマップ

代替魚肉・培養魚肉会社を直近調達額とシリーズラウンドでマッピングした業界マップ(カオスマップ)を作成すると以下の通りとなります。

代替魚肉のカオスマップ(2021年9月)
代替魚肉のカオスマップ(2021年9月)

シーズからシリーズ初期ラウンドラウンドのステージの会社が多いことが特徴です。下記会社の累計調達額は、本ページの更新時点で234百万ドルとなっております。

代替魚肉スタートアップの調達額のランキング(市場シェア)

代替魚肉スタートアップの資金調達累計額を分子に、上述した業界全体の資金調達額を分母にして、資金調達額の市場シェアを計算し、ランキング化すると、2021年7月時点では、1位はブルーナル、2位はグッドキャッチ、3位はショークミーツとなります。

  • 1位 ブルーナル 36.1%
  • 2位 グッドキャッチ 34.9%
  • 3位 ショークミーツ 13.1%
  • 4位 ワイルドタイプ 6.8%
  • 5位 Bluu Biosciences 3.5%
  • 6位 Kuleana 2.6%
  • 7位 フィンレスフーズ 1.6%
  • 8位 アバントミーツ 1.3%
代替魚肉の調達金額の市場シェア(2021年9月)
代替魚肉の調達金額の市場シェア(2021年9月)

主要な代替魚肉・代替シーフード会社の一覧

BlueNalu(ブルーナル)
本社所在地: 米国
設立年: 2017年
創業者 Lou Cooperhouse、Chris Dammann
BlueNaluは、魚の生体から取り出した細胞の培養による水産加工品を製造・提供しています。魚の組織から生きた細胞を分離し、それを培養液に入れて増殖させます。住友商事が2020年に出資しています。培養肉販売に向け三菱商事と業務提携をしております。2022年にマグロの培養魚肉を販売すると発表しました。

Wild Type(ワイルドタイプ)
本社所在地: 米国
設立年: 2016年
創業者 Justin Kolbeck、Arye Elfenbein
ワイルドタイプはサーモンの培養肉の生産を行っています。サーモンのフィレやベーグル用のロックスの培養もスタートしています。

Finless Foods(フィンレスフード)
本社所在地: 米国
設立年: 2017年
創業者 Michael Selden、Brian Wyrwas
Finless Foodsは培養した幹細胞を土着の培地に導入して成長させ、これを収穫して魚の切り身として販売することを計画しています。

Bluu Biosciences(ブルーバイオサイエンス)
本社所在地: ドイツ
設立年: 2020年
創業者 Sebastian Rakers、Simon Fabich
Bluu Biosciencesは細胞の調達から細胞株の分離、そして細胞に栄養価の高い培地を与え魚介類を培養します。

Avant Meats(アバント・ミート)
本社所在地: 香港
設立年: 2018年
創業者 Kai Chan、Mario Chin
Avant Meatsは細胞ベースの食肉および動物性タンパク質食品を開発しています。

Shiok Meats(ショーク・ミーツ)
本社所在地: シンガポール
設立年: 2018年
創業者 Sandhya Sriram、Ka Ling
Shiok Meatsは魚介類や肉の細胞を培養するスタートアップです。

Kuleana(クリアナ)
本社所在地: 米国
設立年: 2019年
創業者: Jacek Prus、Sonia Hurtad
Kuleanaは植物原料を用いた代替シーフードを開発する会社です。植物ベースの生のマグロを開発しています。

CELL AG TECH(セルAGテック)
本社所在地: カナダ
設立年: 2019年
創業者: Josh Pollack、Valentin Fulga
CELL AG TECH(セルAGテック)は代替魚肉を開発するスタートアップです。

Good Catch(グッドキャッチ)
本社所在地: 米国
設立年: 2016年
創業者: Marci Zaroff、Chad Sarno、Derek Sarno、Eric Schnell
Good Catch(グッドキャッチ)は、エンドウタンパク、大豆などの植物性タンパク質を材料にしてマグロ、サーモン、フィレなどの代替魚肉を開発しています。

代替魚肉・代替シーフード分野に積極的に投資を行っているベンチャーキャピタル

数多くのVCが培養魚肉の分野に投資を行っております。業界の成長性への期待が読み取れます。

Rage Capital、 Lewis & Clark Agrifood、Stray Dog Capital、CPT Capital、New Crop Capital、Port Erin Biopharma Investments、BABEL Ventures、Draper Associates、Break Off Capital、IndieBio、Charles River Ventures、Spark Capital、Root Ventures、Manta Ray、CPT Capital、Vinh Hoan、AngelHub, ParticleX、Aqua Spark、Agronomics、Impact Venture Capital、Agronomics、Henry Soesanto、Y Combinator、Aiim Partners、Boom Capital

影響を受ける業界

魚肉分野でのクリーンミート培養の市場が拡大することによって、生の魚や魚介類の消費は減少することになるでしょう。よって、現在、漁業や養殖を行う会社、水産飼料の製造会社、漁船などの製造(造船)会社が大きな影響を受ける可能性があります。

魚肉の細胞培養の方法

魚が稚魚から食用可能な大きさの成魚までに成長をする時間は早くても1年程度はかかりますが、細胞培養では2か月程度で10尾分を「製造」することができます。細胞培養の方法は下記のステップとなります。

(1)魚から細胞を抽出
(2)バイオリアクター(酵素など触媒として細胞の合成などを行なう)装置に細胞を投入
(3)ブドウ糖、ミネラル、アミノ酸、ビタミン、プロテイン、ホルモン、酸素などの培養液を加える
(4)適切なpH、浸透圧、温度を保つ
(5)細胞が培養されて培養魚肉の完成

細胞の抽出方法、バイオリアクターの機能、培養液の調合、管理方法などは各社ともに凌ぎを削って研究している分野です。現在はデファクトの技術が定まっていませんが、技術が標準化されれば、家庭でも培養肉を製造できる日も遠くないかもしれません。

天然魚肉、養殖魚肉と培養魚肉の比較

項目天然魚肉養殖魚肉培養魚肉
持続可能性乱獲リスク飼料問題
細菌リスク多い少ないなし
価格変動一定高い
新鮮さ輸送次第地産地消可地産地消可
魚肉の比較
©業界再編の動向