日本たばこ産業の市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析

日本たばこ産業(JT)は、世界的なたばこ会社であり、70か国以上で事業を展開し、130以上の国と地域で商品を販売しています。同JTは、世界中で有名なグローバルフラッグシップブランドであるWinston(ウィンストン)、Camel(キャメル)、Mevius(メビウス)、LD(エルディー)などを展開しています。また、JTのウェブサイトによれば、20歳以上の喫煙者を対象としたオンラインプラットフォーム「CLUB JT」があり、喫煙者向けの情報や喫煙所の検索などが提供されています。
国内たばこ事業の落ち込みに対処するために、2022年1月より国内外たばこ事業運営体制を一本化の上、新体制をスタートし、たばこ事業の本社機能をスイスのジュネーブに統合しました。
また、2024年12月に米たばこ大手のベクターグループを3780億円で全株式を取得する見通しです。

業績推移(年次)

2018年度
売上高は前年度比3.6%増の22,160億円になりました。営業利益は0.7%増の5,650億円になりました。営業利益率は+25.50%になりました。売上収益は、海外たばこ事業において主に新興国通貨安に伴うネガティブな為替影響及び国内たばこ事業における紙巻販売数量減少影響を受けたものの、海外たばこ事業における単価上昇効果及び買収による数量効果に加えて、国内たばこ事業における RRP 関連売上収益の増加及び紙巻単価上昇効果、医薬事業におけるロイヤリティ収入の増加により増収となりました。

2019年度
売上高は前年度比1.82%減の21,756億円になりました。営業利益は11.08%減の5024億円になりました。営業利益率は23.09%になりました。2019 年度の為替⼀定ベースの調整後営業利益は、医薬事業での減少はあったものの、たばこ事業での成⻑により前年を上回る実績となりました。

2020年度
売上高は前年度比3.82%減の20,926億円になりました。営業利益は6.63%減の4691億円になりました。営業利益率は22.42%になりました。コロナ禍における厳しい市場状況でしたが、多くの主要市場においてプライシングの機会を捉えるとともに、シェアも伸長させています。

2021年度
売上高は前年度比11.10%増の23,248億円になりました。営業利益は6.37%増の4990億円になりました。営業利益率は21.46%になりました。海外たばこ事業の販売数量は過去最高を記録しました。

2022年度
売上高は前年度比14.32%増の26,578億円になりました。営業利益は30.98%増の6536億円になりました。営業利益率は24.59%になりました。売上収益については、たばこ事業及び加工食品事業での増収に加えて、ポジティブな為替影響が寄与しています。

日本たばこ産業の業績推移

日本たばこ産業の業績推移

業績推移(四半期)

2022年第1四半期(1-3月)
売上高は前年同期比6.23%増の5,815億円になりました。営業利益は11.4%増の1,784億円になりました。営業利益率は30.68%になりました。

2022年4-6月
売上高は前年同期比1.71%減の6,853億円になりました。営業利益は26.30%増の2,046億円になりました。営業利益率は29.86%になりました。たばこの販売数量は減少しましたが、為替の影響や販売価格の改定の効果もあり、前年同期比増収増益になりました。懸念のロシア事業については、分離も含めストラテジックレビュー中です。

2022年7-9月
売上高は前年同期比23.83%増の7,417億円になりました。営業利益は23.83%増の1,964億円になりました。営業利益率は26.48%になりました。円安の恩恵も受け、前年同期比増収増益となりました。

2022年10-12月
売上高は前年同期比16.2%増の 6,493 億円になりました。営業利益は742億円、営業利益率は11.43%になりました。

2023年1-3月
売上高は前年同期比14.41%増の6653億円になりました。営業利益は2,064億円、営業利益率は31.02%になりました。売上収益については、たばこ事業及び加工食品事業での増収に加えて、ポジティブな為替影響による増収となっています。

日本たばこ産業の四半期業績推移

日本たばこ産業の四半期業績推移

EPS・1株配当・配当性向の推移

2022年度
希薄化後EPSは前年度比30.7%の249.45円になりました。1株当たりの配当は前年度比34%増の188円になりました。配当性向は75.37%になりました。

日本たばこ産業のEPS・1株配当・配当性向の推移

日本たばこ産業のEPS・1株配当・配当性向の推移

業績予想

今期の売上高は1.1%減の 2 兆 6,290 億円、営業利益は6.4%減の 6,120 億円、営業利益率は23.27%、1株配当は188 円を見込みます。

203年第一四半期(1-3月)
売上高の業績予想に対するの進捗率は25.3%です。営業利益の業績予想に対する進捗率は33.7%です。

売上構成

セグメントは、たばこ事業、加工食品事業、医薬事業に分類されます。セグメント別の売り上げ構成は以下の通りです。

日本たばこ産業の売上構成(2022年度)

日本たばこ産業の売上構成(2022年度)

たばこ事業
JTグループの利益成長の中核かつ牽引役として、中長期的に持続的な利益成長を目指します。HTS(heated tobacco sticks-加熱式たばこ)とCombustibles(燃焼性のたばこ製品)を最重要カテゴリとし、経営資源を集中的に投入しています。Combustiblesは今後10年間は最大のカテゴリであり続ける見通しで、RRP(Reduced-Risk Products-喫煙に伴う健康リスクを低減させる可能性のある製品)において、HTSが持続的な利益成長をもたらすポテンシャルの最も高いカテゴリとなっております。

食品事業
JTは1987年より医薬事業に進出しました。医薬事業は次世代戦略品の研究開発および各製品の価値最大化を目指します。腎性貧血を治療する錠剤やアトピー性皮膚炎の為の軟膏などを製造しています。

医薬品事業
加工食品事業では、冷食・常温事業、調味料事業を展開しています。
冷食・常温事業はテーブルマーク(株)を中心として、冷凍うどん、冷凍お好み焼、パックごはんなど画期的な製法にてつくられた製品をお客様にお届けすることで、多様化するお客様のニーズに応え続けています。
調味料事業は富士食品工業(株)を中心として、手軽に本格的な調味香を付与できる調味料や酵母エキスなど、独自技術を活用した製品を外食産業、加工食品メーカーにお届けするとともに、米国、アジア各国の海外4カ所にも拠点を持ち、多岐にわたる分野で事業展開しています。

M&A情報

たばこ事業の国際化を図るために積極的にM&Aを行っています。

1998年 鳥居薬品を子会社化
1999年 RJRナビスコからたばこ事業を買収
2007年 イギリスのギャラハーを買収
2008年 加ト吉(現テーブルマーク)を買収
2011年 スーダンのたばこ会社ハガーシガレット&タバコ ファクトリーを買収
2012年 ベルギーのたばこ会社グリソンを買収
2012年 エジプトの水たばこ会社ナハラを買収
2015年 イランのたばこ会社アリヤンタバコインダストリーを買収
2015年 レイノルズ・アメリカンの米国外のたばこ事業を買収
2016年 ブラジルのたばこ流通会社フラクソを買収
2016年 エチオピアのたばこ会社ナショナルタバコエンタープライズを買収
2017年 インドネシアのたばこ会社カリヤディビアマハディカを買収
2017年 フィリピンのマイティー・コーポレーションを買収
2018年 ロシアのJSC Donskoy Tabak(ドンスコイ・タバック)を買収
2018年 バングラデシュのたばこ会社アキジグループを買収
2024年 米たばこ大手のベクターグループを3780億円で全株式を取得する見通し。

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