ジャパンディスプレイ(Japan Display)の市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析

中小型液晶ディスプレイを開発・製造する日本企業です。2012年に官民ファンドの旧産業革新機構の支援を受けて、ソニー、東芝、日立製作所の液晶事業が統合して鳴り物入りで発足しました。しかし、中国・韓国メーカーとの競争激化などに加え、新鋭工場を建設した財務の負担が重く、厳しい経営が続いています。2019年9月末で1000億円を超える債務超過に陥り、会社更生法の申請が取り沙汰される中、いちごアセットから1008億円の出資を受けることを発表し、いちごアセットと二人三脚で経営再建に取り組んでいるところです。

業績推移(年次)

2019年度
売上高は前年度比21%減の504,022百万円になりました。営業利益は38536百万円の赤字になりました。経営環境は、スマートフォン市場の成長停滞や、顧客による有機EL(OLED)ディスプレイの採用拡大、中国の競合メーカーとの競争激化等による厳しい 状況が続きました。また、第4四半期連結会計期間(以下「当第4四半期」)には、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、世界的なサプライチェーンの停滞や急速な個人消費の落ち込みが生じました。

2020年度
売上高は前年度比32%減の341,694百万円になりました。営業利益は26226百万円の赤字になりました。経営環境は、中小型ディスプレイ業界における厳しい競争が継 続する中、主要顧客であるスマートフォンメーカーの有機EL(OLED)ディスプレイ採用へのシフトに伴い液晶ディ スプレイの受注が大幅に減少し、厳しい状況が続きました。また、当連結会計年度上半期には、新型コロナウイル ス感染拡大に伴う海外生産拠点での都市封鎖やサプライチェーンの混乱が生じ、下半期には世界的な半導体の需給 逼迫が起きたことで、当社グループの受注や生産に一部影響が生じました。売上高が減少した一方で、費用削減の効果が生じたことから、営業損失は縮小しました。

2021年度
売上高は前年度比13%減の295,946百万円になりました。営業利益は8576百万円の赤字になりました。経営環境は、ディスプレイ業界における厳しい競争の継続、主要顧客であるスマートフォンメーカーの有機EL(OLED)ディスプレイへのシフト進展に伴う液晶ディスプレイ需要 の更なる減少により、厳しい状況が続きました。また、新型コロナウイルスの影響によるサプライチェーンの混乱 や、世界的な半導体等の部材不足、部材・エネルギー費の高騰等が事業に深刻な影響を及ぼしました。売上高が減少した一方、 製品ミックスの改善、コスト削減の継続、製品の値上げ等が奏功し、円安効果もあって営業損失は縮小しました。

2022年度
売上高は前年度比9%減の270,746百万円になりました。営業利益は44386百万円の赤字になりました。経営環境は、従前よりの厳しい 競争状況に加え、スマートフォン用ディスプレイの有機EL(OLED)へのシフト、半導体等の部材不足、世界的なイ ンフレに起因する民生機器出荷台数の減少や部材・エネルギー・輸送費のコスト上昇等、これまで以上に厳しい状況となりました。売上高の減 少に加え、高騰した部材・エネルギー・輸送費の価格転嫁に遅れが生じたことにより、営業損失を計上しました。

2023年度
売上高は前年度比12%減の239,153百万円になりました。営業利益は34145百万円の赤字になりました。半導体等の部材不足の緩和 や円安によるプラス効果があったものの、従前よりの厳しい競争状況に加え、世界的なインフレによるエネルギー 費・部材費・加工費の高止まりが続く、厳しい状況となりました。旧東浦工場での2023年3月を以ての生産停止や茂原工場における液晶パネル生産能力の縮減により製造固定費を 削減いたしましたが、売上高の減少、研究開発費の増加、及びエネルギー費・部材費・加工費の価格転嫁の遅れ等 により、営業損失を計上しました。

ジャパンディスプレイの業績推移

ジャパンディスプレイの業績推移

業績推移(四半期)


2023年第2四半期(7ー9月)
売上高は前年同期比18%減の66,886百万円になりました。営業利益は7,558百万円の赤字となりました。事業環境 は、半導体等の部材不足が概ね解消された一方、世界的なインフレによる民生機器の買い控え、部材・エネルギー 費の高止まり等により、期初予想のとおり厳しい状況となりました。足元では、欧米を中心とする金融引き締めの 継続や地政学的リスクの高まりにより、世界景気の不透明感が増しており、事業環境は予断を許さない状況が継続 するものと思われます。
2023年第3四半期(10ー12月)
売上高は前年同期比13%減の60,492百万円になりました。営業利益は6,223百万円の赤字となりました。事業環境 は、半導体等の部材不足の緩和や円安によるプラス効果があった一方、世界的なインフレによる部材・エネルギー 費の高止まりにより、期初予想のとおり厳しい状況となりました。足元では、欧米を中心とする金融引き締めの継続や地政学的リスクの高まりにより世界景気の不確実性が増しており、事業環境は予断を許さない状況が継続するものと思われます。

2023年第4四半期(1ー3月)
売上高は前年同期比6%減の58,779百万円になりました。営業利益は6,481百万円の赤字となりました。

2024年第1四半期(4ー6月)
売上高は前年同期比6%増の55,917百万円になりました。営業利益は7,043百万円の赤字となりました。事業環境は、円安に よるプラス効果があったものの、従前よりの厳しい競争状況に加え、世界的なインフレによるエネルギー費・部材費・加工費の高止まりが続く、厳しい状況となりました。売上高の増加は、撤退に向けて戦略的に縮小を進める液晶スマートフォン分野において減少した一方、円安及び新製品を含めた顧客需要の増加による増収効果等から主に車載分野で増加したことによるものです。

2024年第2四半期(7ー9月)
売上高は前年同期比30%減の46,996百万円になりました。営業利益は8,438百万円の赤字となりました。売上高は、車載分野が前年同期比で増加した一方、撤退に向けて戦略的に縮小を進める液晶 スマートフォン分野と、VR用ディスプレイの需要減があったスマートウォッチ・VR等分野において減少しました。一方、利益面では、茂原工場における液晶パネル生産能力の縮減により 製造固定費を削減したことに加え、不採算事業や製品からの撤退を進めたことにより、営業損失は改善しました。

ジャパンディスプレイの四半期業績推移

ジャパンディスプレイの四半期業績推移

EPS・1株配当・配当性向の推移


希薄化後EPSは前年度比31%増の-7.16円になりました。この5年間は無配当です。

ジャパンディスプレイのEPS・1株配当・配当性向の推移

ジャパンディスプレイのEPS・1株配当・配当性向の推移

業績予想

2024年11月
2024年度第二四半期の決算短信において、2024年度通期の売上は180,000百万円、営業利益は31,700百万円の赤字になる予定であると掲載されています。

売上構成


ディスプレイ事業の単一セグメントです。分野別には、車載、スマートウォッチ・VR、液晶スマートフォンに分類されます。分野別の売り上げ構成は以下の通りです。

ジャパンディスプレイの売上構成(2023年度)

ジャパンディスプレイの売上構成(2023年度)


車載
計器クラスターやヘッドアップディスプレイ等の自動車用ディスプレイを開発・製造しています。

スマートウォッチ・VR
スマートウォッチやVR機器等の民生機器用ディスプレイ、医療用モニター等の産業用ディスプレイなどを開発・製造しています。

液晶スマートフォン
液晶スマートフォン用ディスプレイを開発・製造していますが、ノンコア事業に位置付けられています。

M&A情報


コーポレートサイトにて、この10年間でM&Aを行った事実は発表されていません。

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