BOEテクノロジーの市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析


BOE(京東方)は、1951年創立の国営工場を前身に1993年に北京で設立された、中国北京市に本社を置く政府系の世界最大手ディスプレイ・IoT企業です。近年はサムスン電子との特許訴訟から取引を縮小し、AppleやHonorなど顧客の多角化・高度化を推進しています。

モニター、ノートパソコン、タブレットなど主要5大応用分野の液晶(LCD)パネル出荷量で世界首位を堅持し、合肥の第10.5世代や武漢工場などの高世代液晶ラインが強みです。

有機EL(OLED)分野にも巨額の投資を行っており、重慶の約8,000億円工場のほか、2025年現在、成都市に総額約1.3兆円を投じて中国初の第8.6世代IT用OLED最先端工場の立ち上げを前倒しで進めています。

業績推移(年次)

2021年度

売上高は221,036百万人民元で、前年度比63%増となりました。コロナ禍における世界的なリモートワーク需要や巣ごもり消費の爆発に伴い、主力の液晶ディスプレイ事業におけるパネル出荷量・価格が歴史的な高騰(パネルサイクルの大ピーク)を見せたことが要因です。

営業利益は34,957百万人民元になりました。工場稼働率の極大化と需給逼迫によるマージンの急拡大が寄与し、営業利益率は16%を記録しました。

2022年度
売上高は178,414百万人民元で、前年度比19%減となりました。コロナ特需の急激な反動減と世界的なインフレに伴う家電・IT製品向けディスプレイ需要の失速が要因です。地域別では、市場停滞の影響で中国国内が22%減、中国以外のアジア地域が35%減と大きく落ち込んだ一方、Apple向け等の高級有機EL(OLED)パネルの供給本格化によりアメリカでは52%の大幅増を記録しました。
営業利益は、液晶パネル価格の暴落と保有資産の巨額な減損損失の計上が直撃し、-2,549百万人民元の赤字に転落しました。営業利益率は-1%となりました。

2023年度
売上高は174,543百万人民元で、前年度比2%減となりました。世界的なインフレや地政学的リスクに伴う消費支出の冷え込みから、家電製品向けディスプレイ需要の低迷が続いたことが要因です。地域別では中国国内の売上高が8%減少したものの、欧米市場を含むその他の地域へのハイエンド製品の供給が下支えしました。
営業利益は業界全体の「按需生産(需要に応じた柔軟な減産・生産調整)」が徐々に浸透したことで市況が底打ちし、1,476百万人民元の黒字となりました。営業利益率は1%近くまで回復しました。

2024年度
売上高は198,381百万人民元で、前年度比14%増となりました。半導体ディスプレイ市場の回復に加え、車載用ディスプレイや高級有機EL(OLED)などのスマート端末向け製品の出荷が急速に拡大したことが要因です。
営業利益は4,921百万人民元になりました。製品構造の最適化によるハイエンド製品比率の向上と、製造プロセスの徹底的なローコスト運営(自前化・効率化)の推進が寄与し、営業利益率は2.5%へと改善しました。

2025年度
売上高は204,590百万人民元で、前年度比3%増となりました。新興国市場を中心とする大型テレビ向けパネルの堅調な出荷面積拡大と、「1+4+N」戦略に基づくIoTイノベーション事業や新ディスプレイ事業(MLED等)が2桁成長を遂げたことが要因です。
営業利益は6,762百万人民元になりました。スマートフォン向け折りたたみ式OLEDやIT向け液晶(LCD)における業界首位の圧倒的シェアを背景に安定した稼働を維持し、営業利益率は3.3%となりました。

BOEテクノロジーの業績推移

BOEテクノロジーの業績推移

業績推移(四半期)
2025年第1四半期(01ー03月)
売上高は50,599百万人民元になり、前年同期比10.27%増となりました。営業利益は2,277百万人民元、営業利益率は4.50%になりました。
前年同期の営業利益(586百万人民元)がパネル不況のボトム期であった反動もあり、前年同期比営業利益は288.37%増と劇的なV字回復を記録しました。

2025年第2四半期(04ー06月)
売上高は50,679百万人民元になり、前年同期比6.70%増となりました。営業利益は1,823百万人民元、営業利益率は3.60%になりました。
車載ディスプレイやハイエンド有機ELの安定した出荷に支えられ、前年同期比営業利益は12.52%増と堅調なプラス成長を維持しました。

2025年第3四半期(07ー09月)
売上高は53,270百万人民元になり、前年同期比5.81%増と四半期ベースで年間最高の売上高を記録しました。営業利益は1,451百万人民元、営業利益率は2.72%になりました。
前年同期に巨額の資産減損(約4.5億元)を計上した反動もあり、前年同期比営業利益は214.49%増と大幅な伸びを示しました。

2025年第4四半期(10ー12月)
売上高は50,042百万人民元になり、前年同期比8.43%減となりました。営業利益は1,211百万人民元、営業利益率は2.42%になりました。年末の在庫調整や季節要因の影響を受け、前年同期比営業利益は46.25%減と一転して縮小しました。

2026年第1四半期(01ー03月)
売上高は51,001百万人民元になり、前年同期比0.80%増となりました。営業利益は2,462百万人民元、営業利益率は4.83%になりました。前年同期比営業利益は8.11%増となり、前年同期(2,277百万人民元)の高水準な利益ベースをさらに上回りました。

BOEテクノロジーの四半期業績推移

BOEテクノロジーの四半期業績推移

EPS・配当額・配当性向の推移
希薄化後EPSは前年度比14.29%増の0.16人民元になりました。1株当たりの配当は前年度比12%増の0.06人民元になりました。配当性向は35%になりました。

BOEテクノロジーのEPS・1株配当・配当性向の推移

BOEテクノロジーのEPS・1株配当の推移
※希薄化特性を持つ潜在的な普通株は存在しないため、希薄化後EPSは基本的EPSと同額

業績予想
2026年上半期の業績予想は、純利益が50億〜55億元(前年同期比54%〜69%増)、本業を示す非経常損益控除後が30.8億〜33.1億元(同35%〜45%増)と大幅なV字回復となる見込みです。

LCD(液晶)事業:
業界全体の「オンデマンド生産」の定着で需給が改善。画面の大型化トレンドに乗り、出荷面積を拡大したほか、高解像度などのハイエンド製品が伸びて収益性が大きく向上しました。

有機EL(AMOLED)事業:
スマホ市場の減速下でも、折りたたみ式など先端品に注力し、上半期の出荷は8,000万台を突破(BOEのフレキシブルOLEDの出荷台数は中国で常に1位、世界で2位)。
2026年6月には中国初の「第8.6世代OLEDライン」が稼働し、AI PC向け等の量産を開始しています。

ディスプレイ事業:
「1+4+N」体制のもと、次世代ディスプレイやインテリジェント製造への投資をさらに加速させる方針です。

売上構成
セグメントは、ディスプレイデバイス事業、IoTイノベーション事業、スマート医工事業、センサー事業、MLED(ミニ/マイクロLED)事業に分類されます。

セグメント別の売り上げ構成は以下の通りです。

BOEテクノロジーのセグメント別売上構成(2025年度)

BOEテクノロジーのセグメント別売上構成(2025年度)

① ディスプレイデバイス事業(旧:液晶ディスプレイ事業)
液晶(LCD)パネル、有機EL(OLED)パネル、および最先端のフレキシブル・折りたたみ式ディスプレイの開発、製造、販売を一手に担う同社のコアセグメントです。

スマートフォン、タブレット、ノートPC、モニター、テレビの「主要5大応用分野」で世界首位の出荷量を誇るほか、近年は急成長する車載用ディスプレイ(自動車向け)やウェアラブル機器、VR/AR向け超高精細パネルの供給に注力しています。

② IoTイノベーション事業
ディスプレイ技術を核に、ハードウェア、ソフトウェア、システムを統合したIoT(モノのインターネット)製品や総合ソリューションを提供する成長エンジンです。

スマートホーム、スマートオフィス、ウェアラブル機器に加え、スマートシティ、スマートパーク(次世代型産業団地)、スマートファイナンス(金融端末)など、産業・都市インフラ向けのシステム統合ソリューションを展開しています。小売店向けの電子棚札(旧SES-imagotag事業)などのスマート小売もここに含まれます。

③ スマート医工事業(旧:スマート医療事業)
人工知能(AI)やIoTなどのIT技術と、最先端の医学・生命科学を融合させたヘルスケアおよび医療ソリューションセグメントです。

医療用ディスプレイや医療用センサーなどのデバイス開発にとどまらず、デジタルヘルスケアサービス、プロフェッショナルな健康管理プラットフォームを提供しています。さらに、最先端のIT技術・スマートシステムを活用した革新的な病院経営(北京などの総合病院運営)を直接実施しています。

④ センサー事業
ガラスベース(Glass-based)およびシリコンベース(Silicon-based)の2つの先端領域をカバーするセグメントです。医療用イメージング(X線フラットパネル検出器用基板)、スマート調光ガラス(自動車の窓など)、指紋認証センサーなどの開発・製造を行っています。

⑤ MLED(ミニ/マイクロLED)事業
次世代の超高輝度・高コントラスト技術であるミニLED(Mini LED)およびマイクロLED(Micro LED)に特化したセグメントです。液晶(LCD)の画質を劇的に向上させる最高級バックライト製品のほか、次世代の自発光型超大型MLEDディスプレイ製品を製造・販売しています。

M&A情報


2010年 液晶やタッチパネルを製造する中国メーカK-Tronicsを買収
2015年 北京の市立病院OASIS International Hospitalを買収
2016年 小型から中型液晶ディスプレイメーカである香港のVaritronixを買収
2018年 小売り用電子タグ等を製造するフランスのSES-imagotagを買収
2020年 CECパンダ(中電熊猫)の南京・成都工場を買収
2025年 彩虹顕示器件(Rainbow Display)の咸陽子会社へ出資拡大

株主構成


中国政府系・国策ファンドが筆頭株主となっています。

BOEテクノロジーの株主構成TOP10

株主構成TOP10(2026Q1時点)

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