サンポグループへの公開提案の分析

アクティビストファンド大手であるエリオットマネジメントが、2021年2月2日にフィンランドに本拠を置くSampo Oyj(サンポグループ)との公開対話を開始しました。公開提案が提示された背景や提案の内容について分析をしています。

サンポグループ

サンポグループは、1909年に設立された北欧を代表する保険グループです。1998年に上場して以降、買収や合弁を通じて保険・金融コングロマリットを形成しています。現在は、マンダトゥム生命保険(Mandatum Life Insurance)、イフ損害保険(If P&C Insurance)、ヘイスティング自動車保険(Hastings Group)、トップダンマルク (Topdanmark)保険、ノルデア銀行(Nordea Bank)が主要事業会社となっております。

グループストラクチャー

親会社持分%子会社
サンポ→100マンダトゥム生保
100イフ損保
70ヘイスティング損保
46.7トップダンマルク
20ノルディア銀行
本記事作成時点のサンポのグループストラクチャー
出所:同社資料を基にディールラボ作成

エリオットマネジメント

Elliott Management(エリオットマネジメント)は、ポール・シンガー(Paul Singer)氏率いるヘッジファンドです。ディストレス戦略を得意とし、アクティビストとしても有名です。過去豪英資源大手のBHPグループに対する米石油事業の分離、米国の通信タワー大手であるクラウンキャッスルや韓国のサムスン電子への特別配当の支払い、塗料大手アクゾ・ノーベルの会長解任等を要求しています。

サンポの株価推移

Sampoの株価推移
Sampoの過去3年間の株価推移 ©ディールラボ

エリオットマネジメントが公開対話を行った時点で株価は3年前の高値である46ユーロから約20%低い36ユーロ程度でした。また同社の競合である北欧の保険グループであるTRYG(トリグ)とのPERの比較でも約5倍程度低いマルチプルとなっています。

公開提案の骨子

エリオットマネジメントは、サンポグループの更なる企業価値向上のために、以下の3点の経営戦略の遂行を提案しております。

2021年末までに保有するノルディア銀行株式売却

ノルディア銀行はフィンランドの最大手銀行グループで、上場をしています。保険会社が、上場する銀行株の20%のみを政策保有していることに対して、エリオットは売却を求めています。

域外大型M&Aの見合わせ

サンポがイフ損保の安定した保険料収入を配当に最大限回すことで、株主へのリターンを最大化させることを求めています。ヘイスティング損保はイギリスの損保会社で2020年に買収を行いましたが、サンポが北欧域外で買収した初の案件ということもあり、期待する株主リターンを上回るシナジー効果が得られるのかを見定めるまでは、大型の域外M&Aを中断するが合理的との主張です。

サンポによる明確なKPIの公表

北欧地域に特化した保険会社グループになったサンポが、企業価値向上と明確にリンクするKPI(Key Performance Indicator)を発表することを求めています。イフ損保とマンダトゥム生保は北欧の強力なブランドであり、地域と事業を絞り込むことで、同業他社を上回るパフォーマンスをあげることが可能としています。

公開提案書

エリオットマネジメントは、2021年2月24日に予定されているサンポグループのキャピタルマーケットデイで、上記提案がきちんと織り込まれるように、キャンペーンサイトを開設の上で、2021年2月2日にソンポグループ宛てに40ページの公開提案を行いました。⇒参照したデータの詳細情報

キャピタルマーケットデイ

2021年2月24日に予定通りサンポのキャピタルマーケットデイが開催されました。61頁にわたる株主への経営陣による戦略発表資料(⇒参照したデータの詳細情報)において、
(1)焦点のノルディア銀行株式は18ヶ月以内に売却
(2)その他政策投資を行っていたSAXO銀行、Nordax銀行、決済処理プロセッサーのnets株式など、ノルディア銀行の資産と合わせ総額50億ドルの売却
(3)北欧の保険市場に集中し、新規のM&Aは周辺領域のボルトオンに限る
(4)売却による超過資本は株主へ還元
(5)ヘイスティング損保含め主要KPIの設定
を公表しました。株価もポジティブに反応し、2月24日の37ユーロから2月25日の38ユーロへ約3%上昇しました。

参照したデータの詳細情報について


このコンテンツを閲覧するにはログインが必要です。
会員の方はログイン下さい。
会員登録はこちらです。