AVIは、クローズドエンド型の上場投資信託であるBritish Empire Trust(現Avi Global Trust、AGT)の資産運用を引き継ぐ形で1985年設立された、ファンド管理会社です。AGTは1889年7月1日に組成された英国最古の投資信託です。
AGTの2019年9月末時点の運用資産は約10億ポンドとなっています。
経営陣と連絡先
最高経営責任者(CEO)
Joe Bauernfreund(ジョー・バウエルンフロイント)氏。ロンドンビジネススクールを修了。2012年にAVIに参画。
連絡先
25 Bury Street, London SW1Y 6AL, England
Tel: +44 (0)20 7659 4800
Fax: +44 (0)20 7659 4801
E-mail: info@AssetValueInvestors.com
投資戦略
AVIの投資戦略は、割安に放置されている優良銘柄の株式の企業価値を向上されることにあります。特に割安の定義としては、純資産価値(Net Asset Value)が時価総額以下となっている企業としています。
この投資戦略を遂行するために、大きく3つの投資分野を定めています。
創業一族が支配する上場会社
クローズド型の投資信託
日本の会社
創業一族が支配する上場会社
創業一族が支配する上場会社へ投資を行う背景としては、株式市場の平均リターンよりも、長期的な戦略的視点を持つ株主(創業一族)の影響もあり、上場同族会社のリターンが総じて高い傾向になるという背景からのようです。
“We look for the presence of a controlling family or shareholder with a strong track record of capital allocation and returns in excess of broader equity markets. Long-term shareholders provide strategic vision; many of our holding companies have been family-controlled for generations.”(同社アニュアルレポート)
投資先の一例としては、イタリアのEXOR(エクソール)Jardine Strategic(ジャーディン・ストラテジック)、Wendel(ウェンデル)、Investor AB(インベスターAB)といった上場ファミリーオフィース系投資ファンドへの投資を通じて、Ferrari(フェラーリ)、Pernod Ricard(ペルノリカード)、Adidas(アディダス)、EQT, AstraZeneca(アストラゼネカ)、Mandarin Oriental(マンダリンオリエンタル)、Cathay Pacific(キャセイパシフィック)、Bureau Veritas(ビューローベリタス)、Zalando(ザランド)等へ間接的に投資を行っています。
クローズド型の投資信託
英国にはクローズド型の投資信託が多数上場しており、その多くの純資産(Net Asset Value)は時価総額を下回っています。こうしたクローズ型の投資信託に投資を行うことで、リスク分散を行うこともできます。
AVI Japan Opportunity Trust (AJOT、AVIジャパンオポチュニティーファンド)
日本の会社には、AVI Japan Opportunity Trust (AJOT、AVIジャパンオポチュニティーファンド)を通じて出資をしています。
日本の会社は総じて最適資本構成の観点からは過大資本(overcapitalised)となっており資金配分が効率的になっていない、日本版スチュワードシップ・コードの策定等コーポレートガバナンスの変化の兆しも見られるというのが、日本にフォーカスしたファンドを立ち上げている背景のようです。実際に自社株買いや株主提案の数も増加しており、経営陣と株主の対話も活発化していると思われます。
純資産価値基準に加え、キャッシュ創出力が強い事業モデルを有し、かつ低いEV/EBIT倍率(企業価値を営業利益で割ったもの、概ね3倍程度)の企業への投資を行うとのことです。
出所:同社アニュアルレポート
日本企業への主な投資先としては、ソニー、TBSホールディングス、フジテック、加藤産業、カナデン、大和冷機工業、東芝プラントシステムズ、帝国繊維、東亜合成、デジタルガレージ、西松屋チェーン、ニューフレアテクノロジーズ、コニシ、積水樹脂、タチエス、ナカノフドー建設、三ツ星ベルト、日産車体が挙げられます。