Nippon Sheet Glass Company(日本板硝子)の市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析

自動車、建築、ディスプレイなどに使われるガラス製品を製造・販売しています。国内外でのM&Aや合弁事業を通じて事業を拡大してきました。1950年代以降、証券取引所への上場やフロートガラス技術の導入を進め、1970年代には海外投資を開始。2006年には英国のピルキントン社を買収し、グローバル展開を加速しました。近年は、太陽電池パネル用ガラス製造の拡大や持続可能な社会への貢献を強化し、成長を続けています。

業績推移(年次)


2019年度
売上高は前年度比9%減の556,178百万円になりました。営業利益は前年度比43%減の21,177百万円になりました。営業利益率は4%となりました。事業環境は、第3四半期以降の事業環境の悪化によりさらに厳しさを増しました。新型コロナウイルス感染拡大に伴い、高機能ガラス事業は2020年1月から、自動車用ガラス及び建築用ガラス事業は2020年3月から、大きな影響を受けました。当社グループの主要顧客である自動車メーカーが欧米の工場を中心に一時的に生産を中止したため、地域によっては自動車生産台数がほぼゼロに近いレベルにまで減少しました。アジアでは自動車生産が継続したものの、生産台数は大幅に減少しました。建築用ガラス事業では、欧州や南米などにおいて新型コロナウイルス感染拡大防止のための外出制限(ロックダウン)の影響を受け、建設活動が年度末にかけて大きく縮小しました。一方で、太陽電池パネル用ガラスの需要は引き続き堅調に推移しています。高機能ガラス事業も新型コロナウイルス感染拡大による悪化影響を受けましたが、年度末にかけてある程度安定した状態に戻りました。

2020年度
売上高は前年度比10%減の499,224百万円になりました。営業利益は前年度比38%減の13,067百万円になりました。営業利益率は3%となりました。事業環境は、新型コロナウイルス感染拡大影響からの回復基調が、当第4四半期においても継続しました。地域によっては、ワクチン接種の広がりやロックダウン規制の緩和によって、消費者マインドが改善しています。一方、新型コロナウイルスの感染者が依然として多い地域では、各国政府の感染防止措置が取られていますが、工場の生産活動を制限する形のロックダウンには至っておらず、当社の生産活動も継続しています。建築用ガラス市場においては、欧州や南米を中心に需要が堅調でした。太陽電池パネル用ガラスの需要は、新型コロナウイルス感染拡大の影響をほぼ受けることなく、引き続き堅調に推移しました。自動車用ガラス市場は、年度初めの落ち込みから回復し、当第4四半期において前年レベルを上回りましたが、多くの地域で自動車メーカーが半導体部品不足の影響を受けました。高機能ガラス市場は、当第4四半期は製品によって好調と不調が混在する状況でした。

2021年度
売上高は前年度比20%増の600,568百万円になりました。営業利益は前年度比53%増の19,980百万円になりました。営業利益率は3%となりました。事業環境は、事業によって濃淡がありました。第3四半期までと同様に、当第4四半期においても好調な建築用ガラス及び高機能ガラス市場が反映されましたが、自動車用ガラス市場の低調な需要により相殺されました。建築用ガラス市場は、多くの地域での強い建築活動および改修改築活動の回復を受け、全般的に好調でした。太陽電池パネル用ガラスの需要も堅調でした。また、高機能ガラス市場も様々な分野での強い消費者需要の恩恵を受けました。一方で自動車用ガラス事業は、半導体を中心に自動車部品不足の影響を受け、自動車生産台数が制約されたため、需要は低調でした。

2022年度
売上高は前年度比27%増の763,521百万円になりました。営業利益は前年度比74%増の34,812百万円になりました。営業利益率は5%となりました。市場環境は、概ね安定していました。建築用ガラス市場は、欧州での需要は引き続きやや軟調に推移しましたが、その他の地域では比較的堅調でした。エネルギーに関連する投入コストは当第4四半期において下落しましたが、過去の水準と比較すると依然として高い水準にあります。原材料も含めた投入コスト高は、引き続き販売価格の上昇により吸収しました。太陽電池パネル用ガラスの需要も堅調でした。自動車用ガラス市場は、半導体を中心とした自動車部品不足の影響から引き続き緩やかに回復しました。また、上昇した投入コストの取引先に対する転嫁もさらに進展しました。高機能ガラス市場は当第4四半期においてやや減速しました。

2023年度
売上高は前年度比9%増の832,537百万円になりました。営業利益は前年度比3%増の35,860百万円になりました。営業利益率は4%となりました。市場環境は一部の主要市場でさらに減速しました。特に建築用ガラス事業最大の市場である欧州において、市場が一段と厳しくなりました。自動車用ガラス事業の市場は引き続き徐々に回復し、長く続いた取引先におけるサプライチェーンの問題による制約も正常な状態への回復が進み販売数量が増加しました。高機能ガラス事業においては、改善の兆しが見られた市場もありましたが、多くの市場で需要はやや低調でした。

日本板硝子の業績推移(年次)

日本板硝子の業績推移

業績推移(四半期)


2023年第3四半期(10ー12月)
売上高は前年同期比1%増の192,528百万円になりました。営業利益は6,065百万円、営業利益率は3%となりました。市場環境は全体としては引き続き堅調でしたが、一部の主要市場で悪化しました。建築用ガラス市場では太陽電池パネル用ガラスの需要は好調でしたが、当事業の最大市場である欧州と北米で需要が軟化しました。自動車用ガラス市場は引き続き徐々に回復し、取引先におけるサプライチェーンの問題による制約も解消が進んだため販売数量が増加しました。高機能ガラス市場は、改善の兆しが見られた市場もありましたが、多くの事業で需要はやや低調でした。売上高の増加は、自動車用ガラス事業が好調であったことによるものです。

2023年第4四半期(1ー3月)
売上高は前年同期比11%増の219,841百万円になりました。営業利益は3,767百万円、営業利益率は2%となりました。

2024年第1四半期(4ー6月)
売上高は前年同期比4%増の216,423百万円になりました。営業利益は4,762百万円、営業利益率は2%となりました。事業環境は多くの主要市場で逆風を受けました。特に建築用ガラス事業の欧州市場は前年を大きく下回り、その他の地域でも市場は減速しました。一方、太陽電池パネル用ガラスは堅調でした。自動車用ガラス事業も多くの地域において販売数量が横ばいまたはわずかに減少し、厳しい事業環境でした。高機能ガラス事業は全般的に改善しました。売上高の増加は、自動車用ガラス事業が好調であったことによるものです。

2024年第2四半期(7ー9月)
売上高は前年同期比3%減の206,014百万円になりました。営業利益は5,467百万円、営業利益率は3%となりました。事業環境は、引き続き多くの主要市場で逆風を受けました。特に建築用ガラス事業の欧州市場は前年を大きく下回り、その他の地域でも市場は減速しました。一方、太陽電池パネル用ガラスは堅調でした。自動車用ガラス事業も多くの地域において販売数量が横ばいとなり、厳しい事業環境でした。高機能ガラス事業は全般的に改善しました。自動車用ガラス事業と高機能ガラス事業での増収は、建築用ガラス事業の減収により相殺されました。

2024年第3四半期(10ー12月)
売上高は前年同期比8%増の207,529百万円になりました。営業利益は577百万円、営業利益率はほぼ0%となりました。事業環境は引き続き多くの主要市場で逆風を受けました。特に欧州の建築用ガラス市場は前年から大きく悪化しました。一方、太陽電池パネル用ガラスは堅調でした。自動車用ガラス事業も多くの地域において販売数量が横ばいまたは若干減少し、厳しい事業環境でした。高機能ガラス事業は全般的に改善しました。売上の増加は自動車用ガラス事業と高機能ガラス事業での増収によるものです。営業利益の減少は、主に建築用ガラス事業の減益によるものです。

日本板硝子の四半期業績推移

日本板硝子の四半期業績推移

EPS・1株配当・配当性向の推移


希薄化後EPSは前年度比119%減の74.85円になりました。1株当たりの配当は0で、配当性向は0%です。

日本板硝子のEPS・1株配当・配当性向の推移

日本板硝子のEPS・1株配当・配当性向の推移

業績予想

2025年2月
2024年度第三四半期の決算短信において、2024年度通期の売上高は850,000百万円、営業利益は16,000百万円を予定していると掲載されています。

売上構成


セグメントは、建築用ガラス、自動車用ガラス、高機能ガラス、その他に分類されます。セグメント別の売り上げ構成は以下の通りです。

日本板硝子の売上構成(2023年度)

日本板硝子の売上構成(2023年度)

建築用ガラス
建築材料市場向けの板ガラス製品及び内装外装用加工ガラス製品を製造・販売しています。太陽電池パネル用ガラス事業も、ここに含まれます。

自動車用ガラス
新車組立用及び補修用市場向けに種々のガラス製品を製造・販売しています。

高機能ガラス
ディスプレイのカバーガラスなどに用いられる薄板ガラス、プリンター用レンズ及び光ガイド、並びにエンジン用タイミングベルト部材などのガラス繊維製品の製造・販売など、いくつかの事業からなっています。

その他
全社費用、連結調整、前述の各セグメントに含まれない小規模な事業、並びにピルキントン社買収に伴い認識された無形資産の償却費が含まれています。

M&A情報


コーポレートサイトにて、この10年間でM&Aを行った事実は発表されていません。

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