SKFの市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析

1907年に設立されたスウェーデンに本社を置く世界最大級のベアリングメーカーです。創業者のスヴェン・ヴィングクイストは、自動調心ローラーベアリングを発明し、これがSKFの基盤となりました。1926年、SKFは自動車製造事業に進出し、「AB Volvo」を設立しました。これにより、SKFは自動車産業に参入し、製造業におけるプレゼンスを強化しました。Volvoは後に独立した会社となりましたが、この事業の立ち上げはSKFの製品多様化に大きく貢献しました。1980年代から1990年代にかけて、SKFは事業の多角化と成長のために積極的にM&A(合併と買収)戦略を展開しました。この期間には、シール、潤滑システム、メカトロニクスなどの新たな分野への進出が見られました。近年、SKFは持続可能性と再生可能エネルギー分野への取り組みを強化しています。風力タービンや太陽光発電設備向けの製品やサービスを提供し、グリーンエネルギー市場での存在感を高めています。

業績推移(年次)

2019年度
売上高は前年度とほぼ同額の86013百万ユーロになりました。営業利益は前年度比15%減の9395百万ユーロになりました。営業利益率は11%となりました。販売量は減少しましたが(マイナス2.3%)、為替変動などの影響で相殺されました。販売量の減少は主に北米とヨーロッパで発生しており、ラテンアメリカ、アジア太平洋、中東およびアフリカでの販売量はプラスでした。

2020年度
売上高は前年度比13%減の74,852百万ユーロになりました。営業利益は前年度比25%減の7,069百万ユーロになりました。営業利益率は9%となりました。売上の減少は主に、北米とヨーロッパでの販売量の減少によるものです。

2021年度
売上高は前年度比9%増の81,732百万ユーロになりました。営業利益は前年度比52%増の10,758百万ユーロになりました。営業利益率は13%となりました。工業部門ではパンデミック後の需要が引き続き急回復しましたが、サプライチェーン全体では並外れた圧力、物流の制約、大幅なコストインフレもありました。自動車部門でも同じ課題が多くあるなか、大手 OEM 顧客が急な通知で注文をキャンセルするという自体が発生しましたが、売上高は前年度を11%上回りました。

2022年度
売上高は前年度比19%増の96,933百万ユーロになりました。営業利益は前年度比21%減の8,532百万ユーロになりました。営業利益率は9%となりました。ウクライナ戦争、中国でのパンデミックとそれに関連するロックダウン、そして加速する世界的なコストインフレに関連する課題など、予期せぬ混乱に直面しました。ロシア事業からは6ヵ月以内に撤退を完了しましたが、売上自律成長率は8%の増加となりました。しかしながら、外部からの逆風が収益に大きな影響を与え、年間の調整後営業利益率は10.5%になりました。

2023年度
売上高は前年度比7%増の103,881百万ユーロになりました。営業利益は前年度比30%増の11,084百万ユーロになりました。営業利益率は11%となりました。上半期は事業全体で需要が堅調で成長しました。一方、下半期は主に景気の低迷により、需要が減速しました。

SKFの業績推移

SKFの業績推移

業績推移(四半期)

2023年第2四半期(4ー6月)
売上高は前年同期比15%増の27,123百万ユーロになりました。営業利益は3,213百万ユーロ、営業利益率は12%となりました。売上高は四半期として過去最高を記録しました。売上自律成長率が5%を超えたのは、9四半期連続となりました。

2023年第3四半期(7ー9月)
売上高は前年同期比3%増の25,771百万ユーロになりました。営業利益は2,567百万ユーロ、営業利益率は10%となりました。すべての地域で販売量が減少しましたが、販売価格の上昇と製品ミックス管理により売上高は前年同期比で3%増加しました。

2023年第4四半期(10ー12月)
売上高は前年同期比4%減の24,438百万ユーロになりました。営業利益は1,925百万ユーロ、営業利益率は8%となりました。経済減速によりすべての地域で顧客需要が低下し前年同期比で売上高は減少しましたが、価格調整と製品ミックスの管理により部分的に相殺されました。

2024年第1四半期(1ー3月)
売上高は前年同期比7%減の24,699百万ユーロになりました。営業利益は2,993百万ユーロ、営業利益率は12%となりました。ターゲットとする高成長セグメント(航空宇宙、鉄道、電気自動車)において引き続き好調な業績を上げました。インドと東南アジアでは重工業と小型自動車の売上が好調でした。

2024年第2四半期(4ー6月)
売上高は前年同期比6%減の25,606百万ユーロになりました。営業利益は2,489百万ユーロ、営業利益率は10%となりました。売上高は前年同期比で6%減少しました。これは、市場需要が弱く販売量が減少したことが要因です。ただし、航空宇宙および鉄道部門は売上が増加しました。調整後営業利益は、販売価格の上昇と製品ミックスにより、販売量の減少分がほぼ相殺されました。

SKFの四半期業績推移

SKFの四半期業績推移

EPS・1株配当・配当性向の推移


希薄化後EPSは前年度比43%増の14.04ユーロになりました。1株当たりの配当は前年度比7%増の7.5ユーロになりました。配当性向は53%になりました。

SKFのEPS・1株配当・配当性向の推移

SKFのEPS・1株配当・配当性向の推移

業績予想

2024年7月
2024年度第二四半期のレポートにて、2024年度通期の売上自律成長率は2023年度比で1%~3%の増加を予定していると掲載されています。

売上構成


セグメントは、工業、自動車に分類されます。セグメント別の売り上げ構成は以下の通りです。

SKFの売上構成(2023年度)

SKFの売上構成(2023年度)

工業
工作機械、電子機器、航空機、鉄道車両、農業・食品機器、船舶など、様々な分野にベアリング及びベアリング関連製品を開発・製造しています。

自動車
小型自動車、商用車用のベアリング及びベアリング関連製品を開発・製造しています。

M&A情報


2015年  Erin EngineeringをJensen Hughesに売却
2015年  Canfield TechnologiesをGen Cap Americaに売却
2015年  フライ・バイ・ワイヤ事業をLORD Corporationへ売却することを合意
2016年  KaydonをStabilusへ売却することを合意
2017年  ReelcraftをMadison Industriesに売却することを合意
2018年  直動アクチュエータ事業をTritonへ売却
2019年  RecondOilを買収
2019年  Presensoを買収
2019年  Form Automation Solutionsを買収
2021年  Rubico Consultingを買収
2021年  EFOLEXを買収
2022年  Laser Cladding Ventureを買収
2022年  Tenute Srlを買収
2023年  Spandau PumpenをEBARA Pumps Europeへ売却することを合意

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