iPS細胞・幹細胞を用いた再生医療のカオスマップと資金調達額分析

iPS細胞・幹細胞を用いた再生医療業界のカオスマップと資金調達額を分析しています。医薬品の開発は、低分子化合物から生体物質を用いたバイオ医薬品へとパラダイムシフトが進んでいます。バイオ医薬品の中でも、幹細胞を用いて損傷や機能不全を起こした細胞を再生する再生医療は、山中伸弥教授などによるiPS細胞(人工多能性幹細胞)の研究によって大きく進展しました。細胞治療を開発するアスペン・ニューロサイエンス、ヘリオス、スリーフロッグセラピューティック、ルビウスセラピューティックス、サイナタセラピューティックス、ハートシード、Avery Therapeutics、アサーシス、フェイトセラピューティックス、ViaCyte、プロメテラ・バイオサイエンス、タラリスセラピューティックス、Medeor Therapeuticsといった再生医療会社の概要や動向も掲載しております。

iPS細胞・幹細胞を用いた再生医療のカオスマップ

iPS細胞・幹細胞を用いた再生療法開発会社の直近投資ラウンドでの資金調達額(縦軸)とシリーズラウンド(横軸)でマッピングした業界マップ(カオスマップ)を作成すると以下の通りとなります。円の大きさは資金調達累計額となります。またIPOをした会社の場合は、直近1年間の資本金及び資本準備金の増減と合計を直近の資金調達額と資金調達累計額とみなしております。

iPS細胞・幹細胞による再生医療のカオスマップ
iPS細胞・幹細胞による再生医療のカオスマップ
円の大きさは資金調達累計額を示す

幹細胞を用いた再生医療は、1970年代から研究がおこなわれております。iPS細胞(人工多能性幹細胞)、ナノテクノロジーやバイオマテリアルの研究の進展によって、バイオ医療の中でも細胞治療が大きく注目を浴びています。ルビウスセラピューティックス、フェイトセラピューティックスなどを筆頭に上場しているスタートアップが数多くあることも特徴です。日本ではヘリオスが上場しています。上記会社の資金調達累計額は、本ページの更新時点で約3483百万ドルとなっております。

iPS細胞・幹細胞を用いた再生医療業界の市場シェアランキング(資金調達累積額ベース)

iPS細胞・幹細胞を用いた再生療法開発会社の資金調達累計額を分子に、上述した業界全体の資金調達額を分母にして、資金調達額シェアを計算し、ランキング化すると、2021年8月時点では、1位はフェイトセラピューティックス、2位はルビウスセラピューティックス、3位はアサーシスとなります。

iPS細胞開発メーカーの市場シェア(2021年)
iPS細胞開発メーカーの市場シェア(2021年)

市場規模

調査会社のリサーチアンドマーケッツによると、iPS細胞を用いた治療の市場規模は2020年で16億ドルとなっています。2026年にかけて年平均6.6%での成長を見込みます。調査会社のビジネスリサーチカンパニーによると、2020年の同市場規模は22.2億ドルです。2021年にかけて9.5%での成長を見込みます。⇒参照したデータの詳細情報

主なM&A

成長性が見込める業界のため、大手製薬会社が細胞治療を手掛けるスタートアップを買収する流れも続いています。

2019年 バイエルが心臓などの細胞療法を行うBlue Rock Therapeutics(ブルーロック・セラピューティック)を買収
2019年 Smith&Nephewが皮膚や骨の再生のための細胞療法を行うOsiris Therapeuticsを買収
2018年 武田薬品工業が自己免疫疾患などの細胞療法を行うTi Genixを買収
2015年 Vertex Pharmaceuticalsが1型糖尿病の細胞療法を行うSemma Therapeuticsを買収

iPS細胞・幹細胞を用いた再生療法開発会社の概要

Medeor Therapeutics

本社所在地: 米国
設立年: 2014年
創業者: Steven Deitcher
Medeor Therapeuticsは、移植腎ドナー由来の末梢血幹細胞(PBSC)から製造され細胞治療薬の開発を行っています。

Talaris Therapeutics(タラリスセラピューティックス)

本社所在地: 米国
設立年: 2019年
創業者: Suzanne Ildstad
Talaris Therapeuticsは、生体腎移植の耐性を治療するため、骨髄移植の候補者が造血幹細胞(HSC)を受け取ることができる細胞療法の開発を行っています。

Promethera Bioscience(プロメテラ・バイオサイエンス)

本社所在地: ベルギー
設立年: 2009年
プロメテラ・バイオサイエンス社は、同種成体幹細胞技術を用いて肝臓疾患の治療法を開発しています。

ViaCyte

本社所在地: 米国
設立年: 1999年
創業者: Paul Laikind
ViaCyte社は、糖尿病の治療のためのヒト多能性幹細胞を用いた新しい細胞療法の開発をしています。

Fate Therapeutics(フェイトセラピューティックス)

本社所在地: 米国
設立年: 2007年
Fate Therapeutics(フェイトセラピューティック)は癌および免疫疾患の治療のための幹細胞を用いた治療薬を開発しています。

Athersys(アサーシス)

本社所在地: 米国
設立年: 1995年
Athersys(アサーシス)は幹細胞療法による心血管疾患領域の治療法を開発しています。

Shenzhen Beike Biotechnology(深圳市北科生物科技)

本社所在地: 中国
設立年: 2005年
Shenzhen Beike Biotechnology(深圳市北科生物科技)は、主に臍帯血や臍帯組織を用いて幹細胞技術による癌などの慢性疾患の治療法を開発しています。

Avery Therapeutics

本社所在地: 米国
設立年: 2013年
創業者: Jordan Lancaster
人工多能性幹細胞(iPSC)を用いて作製され、心不全の治療のために心臓グラフトを開発する医療スタートアップです。

Heartseed(ハートシード)

本社所在地: 日本
設立年: 2015年
創業者: 福田恵一
ハートシードは、ヒトiPS細胞を用いた心臓疾患の治療を目的とした心筋再生医療を開発しています。慶応義塾大学発のスタートアップです。

Cynata Therapeutics(サイナタセラピューティックス)

本社所在地: オーストラリア
設立年: 1998年
Cynata Therapeuticsは、オーストラリアの幹細胞・再生医療企業です。ウィスコンシン大学マディソン校と提携し治療用幹細胞プラットフォーム技術Cymerusを開発しています。富士フイルムが出資をしています。

Rubius Therapeutics(ルビウスセラピューティックス)

本社所在地: 米国
設立年: 2015年
Rubius Therapeuticsは、造血幹細胞を遺伝的に改変し、生体治療用タンパク質を細胞表面または内部に発現する機能化されたヒト網状赤血球を作り出します。代謝疾患、自己免疫疾患、癌の治療を目指しています。

TreeFrog Therapeutics(スリーフロッグセラピューティックス)

本社所在地: フランス
設立年: 2018年
創業者: Jean-Luc TREILLOU
TreeFrog Therapeutics社は、幹細胞とオルガノイドを開発しています。

Aspen Neuroscience(アスペン・ニューロサイエンス)

本社所在地: 米国
設立年: 2018年
創業者: Andres Bratt-Leal
アスペン・ニューロサイエンス社は、ゲノムに基づいた患者特定の多能性幹細胞治療を提供しています。パーキンソン病などの神経疾患に対するドーパミン神経細胞などの再生細胞治に注力しています。

Healios(ヘリオス)

本社所在地: 日本
設立年: 2011年
創業者: 鍵本忠尚
理化学研究所と共同で、ヒトiPSC(人工多能性幹細胞)由来の網膜色素上皮(RPE)細胞移植による加齢黄斑変性症(AMD)の治療法の事業化を目指しています。

細胞再生医療分野に積極的に投資を行っている事業会社やベンチャーキャピタル

Orbimed、Arch Venture Partners、Domain Associates、Axon Ventures、Flagship Pioneering、東京大学協創プラットフォーム開発、メディカルインキュベータジャパン、JMDC、ジーンテクノサイエンス、アステラスベンチャーマネジメント、ベインキャピタル、 RA Capital Management、TPG、Sanderling Ventures、ソニーイノベーションファンド、Pegasus Tech Ventures、伊藤忠、新生企業投資、Vesalius Biocapital Partners、SRIW、Sofinnova Venturesなど

低分子医薬品とバイオ医薬品の違い

低分子医薬品バイオ医薬品
製造方法化学合成遺伝子組換え、細胞融合、細胞培養
開発費低い高い
分子量小さい大きい
低分子医薬品とバイオ医薬品の違い

バイオ医薬品には、ワクチン、遺伝子治療、体細胞治療、ヒト由来細胞治療薬、血液由来治療薬、血清等が含まれます。

参照したデータの詳細情報について


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