次世代の太陽電池と言われているペロブスカイト型太陽電池の開発・量産化がいよいよ佳境に入ってきました。ペロブスカイト型は、基盤に直接液体を吹きかける形でより柔軟な形状になる太陽電池で、かつ従来のシリコン型に比べてコストも安いというメリットがあります。
ペロブスカイト型太陽電池開発会社のカオスマップ
ペロブスカイト型太陽電池開発会社の直近投資ラウンドでの資金調達額(縦軸)とシリーズラウンド(横軸)でマッピングした業界マップ(カオスマップ)を作成すると以下の通りとなります。円の大きさは資金調達累計額となります。またIPOをした会社の場合は、直近1年間の資本金及び資本準備金の増減と合計を直近の資金調達額と資金調達累計額とみなしております。
ペロブスカイト型太陽電池開発会社は、まだ実装段階にないため投資ステージの初期の会社がほとんどとなっています。日本では東芝やホシデンが開発で先行していると言われてみます。上記会社の資金調達累計額は、本ページの更新時点で約215百万ドルとなっております。
市場シェアランキング(資金調達累積額ベース)
ペロブスカイト型太陽電池開発会社の資金調達累計額を分子に、上述した業界全体の資金調達額を分母にして、資金調達額シェアを計算し、ランキング化すると、2021年9月時点では、1位はオックスフォード・フォトボルテック、2位はサウレテクノロジーズ、3位は大正微納科技となります。
- 1位 オックスフォード・フォトボルテック 93.52%
- 2位 サウレテクノロジーズ 5.56%
- 3位 大正微納科技 0.93%
- 4位 フロントマテリアルズ 0.46%
市場規模
調査会社の360リサーチによると2020年にペロブスカイト太陽電池モジュールの市場規模は671百万ドルです。2026年にかけて年平均33%での成長を見込みます。調査会社のリポート&データによると2020年の同業界の市場規模は450百万ドルです。2028年にかけて年平均30.8%での成長を見込みます。⇒参照したデータの詳細情報
業界の主な再編
今後社会実装フェーズになるとM&Aも活発化すると思われます。
2019年 ペロブスカイト太陽電池開発のGreatCell Solarが経営破綻
ペロブスカイト太陽電池とは?
2009年に宮坂力教授によって開発されたペロブスカイト構造を持つ有機と無機のハイブリッド材料(CH3NH3PbI3)などを用いた太陽電池です。インクジェット印刷などで簡単に製造できるために、現在のシリコン型より価格面で優位性があると言われています。
電池種類 | 価格 | 重さ | 柔軟性 | 変換率 |
---|---|---|---|---|
ペロブスカイト | 安い | 軽い | あり | 低い |
シリコン | 高い | 思い | なし | 高い |
色素増感: カラーフィルムからペロブスカイト太陽電池まで
ペロブスカイト太陽電池の開発最前線
ペロブスカイト太陽電池開発会社の概要
FrontMaterials(フロントマテリアルズ)
本社所在地 台湾
設立年 2014年
フロントマテリアルズは台湾に本拠を置くペロブスカイト材料および有機光電子材料の開発会社です。
Oxford Photovoltaics(オックスフォード・フォトボルテック)
本社所在地 イギリス
設立年 2010年
創業者 Henry Snaith、Kevin Arthur
オックスフォード・フォトボルテックは、オックスフォード大学の物理学部からスピンアウトし誕生しました。ペロブスカイト型の太陽電池など新型電池を開発しています。
Saule Technologies(サウレテクノロジーズ)
本社所在地 ポーランド
設立年 2014年
創業者 Olga Malinkiewicz、Piotr Krych、Artur Kupczunas
サウレテクノロジーズは、ペロブスカイトをベースにした、インクジェットプリントによる超薄型でフレキシブルな太陽電池を開発しています。
大正微納科技(DaZheng Micro-Nano Technology)
本社所在地 中国
設立年 2012年
大正微納科技はフレキシブルなペロブスカイト太陽電池モジュールの製造開発を行なっています。パナソニックや富士フィルムなど多数の日系メーカーと提携をしています。
ペロブスカイト太陽電池分野に積極的に投資を行っている事業会社やベンチャーキャピタル
Meyer Burger、Goldwind, Equinor、Statoil、Legal & General Capital、European Investment Bank、Columbus Energy、Bergen Asset Management
参照したデータの詳細情報について
参照したデータは以下の通りです。リンク切れなどありましたら、お問い合わせのページからご連絡頂けますと大変有難く存じます。
参照した市場規模の情報