カーニバルの市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析

1972年にTed Arison氏らによって創業された米国に本拠を置く世界最大級のクルーズ会社です。上場後も創業家のArison家が大株主として残っています。英海運大手のP&O(当時)からPrincess Cruises(プリンセスクルーズ)の買収、イタリアのCosta Cruises(コスタクルーズ)、オランダのHolland America Line(ホーランド・アメリカン・ライン)、クイーンエリザベスで有名な英国のCunard Line(キュナードライン)、Ocean Village(オーシャンビレッジ)、ドイツの AIDA Cruises(アイーダクルーズ)等のクルーズ会社を買収し、カーニバル・クルーズ・ライン、シーボーンを含めクルーズライン9社を擁する世界最大級のクルーズ会社となりました。

業績推移(年次)

2019年度
売上高は20,825百万ドルで、前年度比10%増となりました。営業利益は3,276百万ドルになりました。営業利益率は16%になりました。過去5年間にわたって利益が堅調に成長してきましたが、2019年度はキューバへの渡航を妨げる突然の規制変更、アラビア湾での問題、ハリケーン、予定外のメンテナンス、 造船所の複数の遅延によりクルーズのキャンセルが必要となり、悪影響を及ぼしました。

2020年度
売上高は5,595百万ドルで、前年度比73%減となりました。営業利益は8,865百万ドルの赤字になりました。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的影響を受けて、世界のクルーズ業界はゲストクルーズの運航を一時停止しました。世界的なパンデミックへの対応として、カーニバル社は2020年3月中旬にゲストクルーズの運航を一時停止しました。26万人を超えるゲストを帰国させ、9万人の乗組員を本国に送還し、数十億ドルのゲストの払い戻しとクルーズクレジットを処理し、19隻を退船させるための交渉を行いました。

2021年度
売上高は1,908百万ドルで、前年度比66%減となりました。営業利益は7,089百万ドルの赤字になりました。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的影響を受け、2020年3月中旬にゲストクルーズの運航を一時停止しました。2021年度末時点で、9ブランドのうち8ブランド、つまり定員の67%がゲストクルーズの運航を再開しました。2021年度の前半には、渡航前の陽性検査結果の増加によるキャンセルの増加や、タイムリーな渡航前検査の利用可能性の課題など、短期の運航の予約に影響を経験しました。

2022年度
売上高は12,168百万ドルで、前年度比538%増となりました。営業利益は4,379百万ドルの赤字になりました。2021年にゲストクルーズの運航を再開し始めました。2022年度末において、カーニバル社の定員の97%がゲストにサービスを提供しています。

2023年度
売上高は21,593百万ドルで、前年度比77%増となりました。営業利益は1,956百万ドルになりました。営業利益率は9%になりました。売上高は過去最高を記録しました。クルーズ船の運航再開以来初めて、第三四半期の純利益がプラスとなりました。クルーズ船チケット価格と稼働率の両方において、過去最高の状態で2024年度を迎えました。広告による需要喚起の取組により、予約数が上がり、売上増加につながりました。

カーニバルコーポレーションの業績推移
カーニバルコーポレーションの業績推移

業績推移(四半期)

2022年第4四半期(9ー11月)
売上高は3839百万ドルになりました。営業利益は1,135百万ドルの赤字になりました。

2023年第1四半期(12ー2月)
売上高は4432百万ドルになりました。営業利益は172百万ドルの赤字になりました。

2023年第2四半期(3ー5月)
売上高は4911百万ドルになりました。営業利益は120百万ドル、営業利益率は2%になりました。

2023年第3四半期(6ー8月)
売上高は6854百万ドルになりました。営業利益は1,624百万ドル、営業利益率は24%になりました。

2023年第4四半期(9ー11月)
売上高は5397百万ドルになりました。営業利益は384百万ドル、営業利益率は7%になりました。

カーニバルコーポレーションの四半期業績推移

カーニバルコーポレーションの四半期業績推移

EPS・配当額・配当性向の推移

希薄化後EPSは前年度比99%減の-0.06ドルになりました。前年度と同様に無配当でした。

カーニバルコーポレーションのEPS・配当額・配当性向の推移

カーニバルコーポレーションのEPS・配当額・配当性向の推移

事業構成

セグメントは、客船料金、船内物販に分類されます。セグメント別の売り上げ構成は以下の通りです。

カーニバルコーポレーションの売上構成(2023年度)
カーニバルコーポレーションの売上構成(2023年度)

客船料金
客船料金の売上は季節によって変動します。クルーズ船の需要は、北半球の夏季である第三四半期に最も大きくなるためです。この第三四半期の需要の高まりにより、客船チケットの価格と占有率が上昇し、営業利益も最大となります。

船内物販
カーニバルが運営する事業の売上に加え、コンセッション業者による売り上げの一部が収入となります。ビバレッジ販売、食事、カジノ、スパ、クリーニング、インターネット提供、美術品販売などが物販の具体的内容です。

M&A情報

クルーズ航路拡充のためのM&Aを積極的に行っています。


1996年 クルーズ船運営会社Seabourn Cruiseの株式を50%買収
1997年 クルーズ船運営会社Costa Cruisesを買収
1998年 クルーズ船運営会社Cunard Lineを買収
1989年 Holland America Lineを買収
2001年 Seabourn Cruise Lineを買収
2003年 P&O Princess Cruisesを買収
2007年 Windstar Cruisesを売却

株主構成

米国を代表する富豪で共同創業者Ted Arison氏の子息であるミッキーアリソン氏が第3位株主となっています。

カーニバルコーポレーションの株主構成(直前期末時点)

カーニバルコーポレーションの株主構成(直前期末時点) 出所:マーケットスクリーナー

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